イケ!イケ!レッドイーグルス⑧壁が壊れるくらい

 小学校に入学した徹と誠司。二人の野球熱はどんどん上がっていった。広場では二人のキャッチボールに6年生の平沢君が加わり、3人のキャッチボールと野球談議はいつも盛り上がった。誠司はこの3人の時間が楽しかったが、もっともっと野球が上手くなりたいという思いが強かった。そのために、3人の野球の時間とは別に、毎日毎日飽きることもなく壁当てを行った。誠司はピッチャーになりたいと思っていた。誠司の家は父親の仕事の倉庫兼工場が家にくっついていたので、道路を挟んだ前の家の壁まで倉庫の中から15m程の距離が取れて、いい壁あての距離だった。広場のそばに家がある徹は広場内にある町内会館の壁で壁あてをしていた。誠司はストライクゾーンを想定して、ボールを投げた。ストライクゾーンを外れると、ブロック塀が丁度トタン板になっていて、トタン板は破れてボールが突き抜けてしまう。前の家には犬がおり、トタンを抜いてしまったらボールを取りにいかねばならない。なので、誠司は慎重にブロック塀の部分なな投げる必要があった。このことが誠司のコントロールを拡大に良くした。

 誠司はテレビの実況中継のように、バッターを想定してボールを投げた。壁当てなので、壁からボールはゴロで帰ってくるため、内野ゴロ練習にも最適だった。サードの高田やセカンドの土井になったつもりで内野ゴロをを捕った。自分の中でいい感触で投げられたボールは空振りとした。この練習はメキメキと誠司の野球の実力を上げていき、この実力には、6年生の平沢君も驚いているようだった。ただ、誠司はゴロを捕るカタチは平沢君が上手いと思っていて、その捕り方を真似した。優しくボールを包み込むようにゴロを捕球する平沢君のゴロの捕り方は何度見ても格好良く、誠司の憧れになった。

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