イケ!イケ!レッドイーグルス③野球選手と背番号

 今日はあいにくの雨だ。雨ではキャッチボールもできない。ぼくはこんな日がキライだ。部屋の中で、(あー雨止まないかな〜)と、ずっと窓の外を見つめている。ぼくはあまりにもヒマなので、徹くんのウチに遊びに行くことを思い立った。きっと徹くんもヒマしてるはずだ。ぼくは、支度をして、徹くんの家に遊びに出かけた。徹くんの家は、いつもキャッチボールをしている広場の横だ。家の呼び鈴を鳴らすと徹くんのお母さんが出てきた。「あら、誠司くん。いらっしゃーい。徹、誠司くんが来たわよー」と、中にいる徹くんに声をかけている。「おー誠司くん。さすがにこの天気じゃ、キャッチボールはできないねー。今、これ、書いているんだー。見て、見て。」徹くんの見せてくれたノートには、番号と何やら英語が書いてあった。ぼくには、その意味がわからなかった。徹くんの机には、野球カードが置かれていた。「これは、プロ野球選手の背番号と、名前なんだ。この、野球カードを見て、書いているんだよ。」と教えてくれた。ぼくが知っている野球選手の番号は「1」だけだ。ジャイアンツのホームランバッター王貞治選手の番号だけだ。ぼくは、丁寧に書かれた番号と英語の字にもビックリしたが、それ以上に、たくさん書かれていた選手の番号と名前の多さにビックリした。徹くんは、「ぼくが好きな選手はコレ」と言って「8」を指で差した。「TAKADA」と番号の上に書いてある。「ジャイアンツの高田選手だよ。長嶋監督の後の三塁手だよ。」と教えてくれた。ぼくも、同じように書いてみたいと思った。

ぼくは、家に帰ると父の帰りを待ち、父が帰ってきたら、野球カードを見せて、質問した。「この番号は何?」「これは、野球選手のユニフォームの背中についている番号で背番号と言うんだよ。王選手の番号は「1」だから、背番号は1ということだね。でも、他のチームにも背番号1をつけた選手はいるんだよ。ジャイアンツの背番号1は王選手だけど、ドラゴンズなら、高木守道選手とかね。」「背番号かー、お父さんの好きな選手は?」「そりゃあ、背番号3、4番サード長嶋だな」長嶋監督は選手時代は背番号3だったのかあ。今は90なのに。そして、ぼくがノートの一番最初に書いたのは、ジャイアンツの「7SHIBATA」1番センターの柴田勲選手だ。野球カードを見て、その赤い手袋に目がいき、テレビでプレーを見て、大好きな選手になった。ぼくが、父とテレビで野球を見るようになったらのも、このころからだ。

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