【MTG レガシー】《鏡に願いを》による変態 ~《創造の歌》ストームがダークサイドに落ちるまで~
はじめに
皆様、楽しいTCGライフをお送りでしょうか。
前回の記事から5ヶ月近く空いてしまいましたが、元気にやっております。
夏真っ盛りのころはプライベートの事情で自粛しており、秋口にかけては仕事がなかなか忙しかったため(今もですが)、あまりMTGにリソースを割くことができず、新カードを満足に擦れないまま時間が過ぎてしまいました。
しかし、「エルドレインの森」で収録された 鏡に願いをを無視するなんてことは、ストーム使いの1プレイヤーとしてできるわけがなかったのです。
MagicOnlineのオールアクセスのタイミングで、ちょこちょこデッキを作って回すくらいのことはやっていたり、おうちでレガシーに出たりしていました。
指輪物語からエルドレインの森にかけて、黒が強化されたので黒をベースにしたデッキの構築と調整を行い、個人的に満足の行くデッキができた(ここ重要)ので久しぶりにnoteを書こうという次第です。
というわけで今回は独断と偏見と自分語り成分強めで、好き勝手に色々書いていこうと思います。
環境認識
黒の隆盛
指輪環境はそもそもあまりMTGをプレイできなかったのですが、一つの指輪とオークの弓使いが特に注目されてレガシーでも色々試行錯誤がなされているのを見ていました。
カザド=ドゥームのトロールの沼サイクリング、オークの弓使い、再活性、悲嘆の組み合わせが強力で、クロックパーミッション系デッキの主流がURからUBへと変化したことが衝撃的でした(URの天下はしばらく不動であると思っていたため)。
(このUBタイプのデッキは私のメインデッキであるSong of Echoの天敵であるため、この時期にMTGから少し離れていてよかったと思っています。)
鏡に願いをの収録
指輪のリリースからしばらくして、再び黒へのテコ入れが入りました。
「エルドレインの森」収録の、鏡に願いをです。
このカードの効果は、まずライブラリーから好きなカードをサーチして追放します。この呪文を唱えた際に協約の追加コストを支払っており、サーチしたカードが4マナ以下であればそれのマナコストを支払わずに唱えることができる、というカードです(協約コストを払わなかった場合はサーチしたカードを手札に加える)。
簡単に言うとライブラリーから4マナ以下の呪文を踏み倒してキャストできるというものです。悪いことに使えそうな事が書かれていますね。
現状、これの一番強いであろう使い方は、ガイアの意志と組み合わせて実質4マナのヨーグモスの意志として運用することが知られています。
これはすでに皆様御存知だと思いますのであえて解説はしないです。相手に墓地対策がなければこれ一枚(と、協約コスト)で簡単に勝てるすごいカードだということがわかっていればいいでしょう。
さんざん創造の歌を擦り倒してきた身としては、「4マナのエンチャントをライブラリーからサーチして直接戦場に出すことができる」このカードは本当に喉から手が出るほど欲しかった待望のカードでした。
いままで、創造の歌を確実にプレイできるようにするための相方は、なかなかベストマッチとは言い難いものが多かったのです。
例えばアカデミーの学長は、創造の歌を設置するのにわざわざ使うほどではないしそもそもそれを使うと別デッキになるし(全知等のほうが強いため)、悟りの教示者の白タッチも容易ではなく、きらめく願いも白タッチでテンポも悪い。
「エンチャントをサーチする」「さらにそれを踏み倒す」ことができるカードは使いにくいものが多いというのが今までの創造の歌デッキの常識でしたが、鏡に願いをは、この常識を打ち破るカードなのです。
(そもそもサーチして唱える呪文はカードタイプには制限が無い、ということは当然エンチャント以外でもなんでも良いわけで、いやいやそんなのどう考えてもおかしくないか?)
アカデミーの学長や悟りの教示者の令和バージョンが出ないかなー出てほしいなーとずっと思っていた自分にとっては、細かなアップデートの過程をすっ飛ばしていきなり超解答がドーン!と降ってきたのでそれはそれは衝撃だったのです。
そりゃあ一枚数千円だって買いますよってハナシな訳です。
しかし、とんでもないカードが刷られたものの、ただ一つだけ右上に気になる箇所があります。
マナコストの「①黒黒黒」。
赤緑青の③色と黒黒黒が共存できるマナベース…そんなもの実現できるのか?
結論から言うとそんなことは無理なので、創造の歌はダークサイドに堕ちることとなったわけです。
鏡に願いをを使用したデッキ
自分のデッキの解説に入る前に、2023/10/09時点で鏡に願いをを使ったデッキにはどんなものがあるのかを少し見てみたいと思います。
ここでのデッキ名は私が勝手につけています。
黒単ヘルムヴォイド
鏡に願いをが一番フィットしている(と私が勝手に思い込んでいる)デッキ。アグロプランとヘルムヴォイドコンボプランがあり、メインから墓地対策もできる。鏡に願いをは状況に応じてヘイトカードもコンボパーツも引っ張ってこれる汎用サーチとして運用される。ツヨイ。
キレイでまとまりのある良いデッキですよね。
鏡ストーム
鏡に願いを+ガイアの意志のコンボ成立を、冥府の教示者、思考囲い、夏の帳などでサポートするデッキ。
勝利手段は苦悶の触手か巣穴からの総出。
このタイプには創造の歌が1枚差しされていることが多い。
鏡AnT
AnTに鏡に願いを+ガイアの意志コンボを合体させたようなデッキ。むかつきで鏡に願いをがめくれると痛そうですが、従来のデッキも炎の中の過去が入っていたりするので大きな違いは無いのかもしれない。
AnTタイプには基本的に創造の歌なんて入る余地はありませんので勘違いしないように!
鏡TES
TESに鏡に願いを+ガイアの意志コンボを合体させたようなデッキ。
燃え立つ願いか鏡に願いをを打てればだいたいなんとかなるやつ。
従来型では採用されていなかった創造の歌が1枚差しされている。
BryantCook氏が5-0したデッキはこのタイプです。
鏡に願いをを使用したストームデッキは、細かい違いを上げるといくつもバリエーションがあります。
ですが大別すると、結局AnTかTESの延長上に位置していることが多いです。
まあ、対面する側としてはアーティファクトやストーム対策を1ターン目に叩きつけることに神経を集中すれば細かいアーキタイプの違いをそんなに意識することは無いと思います(ホントに?)。
あとは虚空の力線をちゃんと入れて、永劫のこだまもガイアの意志もケアしておくと99点です。
ちなみに余談ですが、レガシーフォーマットで最初にメインデッキに創造の歌と鏡に願いをを同時に採用したのは私が世界初ですからね!(mtg Goldfish調べ)
ダーク創造の歌ストーム
デッキリスト
上にあげたデッキは2023/10/09時点のもので、私が回しているデッキ自体は一ヶ月前の2023/09/09から存在しています。早速リストを見てみましょう。リストを2種類載せていますが、メインデッキはほぼ変わらず、サイドボードが迷走しているだけです…
ダーク創造の歌ストームとはいうものの、このデッキは
「LEDオークシェオル納墓エコー悲嘆再活性グリセル鏡に願いをガイアの意志テンドリル創造の歌ストームサーガ」お子様ランチです。
黒のパワーカードをふんだんに盛り込みつつ、それをいにしえのマナ加速カードでサポートするため、そもそもデッキの地力が高いです。
上の「鏡に願いをを使用したデッキ」のどれとも一線を画していると思います。
メインボードについて
■創造の歌
創造の歌がダークサイドに堕ちる(鏡に願いを4枚と共存する)にあたり、まずは創造の歌の採用枚数自体を見直すことに。
■マナファクト
創造の歌を採用するということはマナファクト(オパールのモックス、金属モックス、水蓮の花びら)を中心としたマナベースになる。
これでティムール3色を出すことは不可能では無い。不可能では無いものの安定させることはかなり厳しいので、創造の歌を1ゲームで2枚以上引くことは絶対に避けたい。
すると必然的に創造の歌は1枚になります。鏡に願いをのサーチを前提として考えるならば、一応5枚創造の歌を積んだことになるので、従来よりもアクセス性はアップするはず。
創造の歌を素キャストすることは不可能ではないものの、それはイレギュラーな展開と割り切り、マナベースとデッキ内容は黒単に調整する方向に舵をきりました。
■鏡に願いを
エターナルフォーマットのストームデッキに新風をもたらした一枚。
サーチしたカードは「唱える」のでストーム稼ぎに貢献する。
また、協約コストがデメリットのように見えるが、協約コストにしたカードをガイアの意志で再び唱えることができるので、結果的に本家ヨーグモスの意志よりもストーム数を稼ぐ事ができる。
これらの特徴のおかげでストーム10稼ぐことが容易になり、新しいストームデッキが生まれたのである。
かなり強いカードだと思っていますが、実際のところそんなに使用率は上がらず最近値下がり傾向。不思議だなぁ。これの強さを強さを理解して使いこなせるのはほんの一握りの人間だけだったようだな。
■ガイアの意志
鏡に願いをが収録されたおかげで脚光を浴びた一枚。鏡に願いをの最高の相方その1。
何か可能性を感じさせてくれるカードではあったが、しかし今まではうまいこといかなかった。そんな彼が今、スーパースターである。
■暗黒の儀式
鏡に願いをの黒黒黒を捻出するためには、暗黒の儀式が最も手っ取り早い。ということでこれは4枚必須。最強レベルのマナ加速呪文。
■ウルザの物語
マナファクトを中心としたマナベースになるということは、ウルザの物語のトークンのサイズアップが期待できるためウルザの物語も4枚採用。
鏡に願いをの協約コストにもなり、ますます隙がなくなった。
■ライオンの瞳のダイヤモンド
ウルザの物語からサーチが可能で、オパールのモックスの金属術に貢献するライオンの瞳のダイヤモンドも4枚採用。実質8枚体制。
(以降文中ではLEDと略します。)
■永劫のこだま
ライオンの瞳のダイヤモンドが採用されるなら、永劫のこだまも必須。これはストーム稼ぎにもかなり貢献する。
ストームデッキの7ドローは実際インチキ。
(以降文中ではエコーと略します。)
■納墓
黒が足されたことによって納墓の採用が可能になり、永劫のこだまの実質8枚体制を可能にする。
エコー→納墓→エコーは実際インチキ。
■オークの弓使い
ライオンの瞳のダイヤモンドと永劫のこだまが実質8枚体制になるのなら、ドローを咎めるいわゆるナーセット枠は必須。この枠にはレガシーを席巻したオークの弓使いを採用。
軍団トークンは鏡に願いをの協約コストにもなる。
創造の歌はオークの弓使いに弱いため、創造の歌に否定的な意見もあるが、オークの弓使いはオークの弓使いに弱いので、こちらもオークの弓使いを採用すれば良いだけである。簡単なことである。
目には目を歯には歯を、オークの弓使いにはオークの弓使いを。
■グリセルブランド
納墓が採用できるということは、リアニメイトプランも採用できる。すでにグリセルストームというデッキもあることから、グリセルブランドをリアニメイトするパッケージを採用。グリセルブランド1枚、リアニメイト呪文に4枠とる。
■悲嘆
リアニメイト呪文が入るならば、暴露ではなく悲嘆を採用することで流行りのScamムーブが取れる。
また、グリセルブランド着地7ドローから、悲嘆で相手の手札をボロボロにするだけで勝利は目前である。
■黙示録、シェオルドレッド
グリセルブランドを採用するならば、ドローを咎める枠に一枚だけ黙示録、シェオルドレッドを採用する。グリセルと並べてデッキをほぼ引ききり、ストームを稼ぐなりシェオル+エコーするなりして勝利するルートも生まれる。
暗黒の儀式から早期着地も十分に強力。
■リアニメイト呪文
リアニメイト呪文には再活性、動く死体、死体発掘を採用。
再活性4でない理由として、
・マナ的に暗黒の儀式から納墓+動く死体も可能でグリセルブランドの起動回数を増やしたい、虚空の杯X=1避け。
・グリセルブランドが手札に来てしまったときに、死体発掘キャスト+LED起動することで釣り上げ可能、グリセルブランドの起動回数を増やしたい、虚空の杯X=1避け。
ただし死体発掘を採用しているのは趣味みたいなものなので、普通に動く死体で良いのかもしれない。
■苦悶の触手
メインデッキのストーム用フィニッシュ呪文は苦悶の触手一枚。
鏡に願いを4+ガイアの意志1+苦悶の触手1は固定パッケージとして採用。
サーガビートダウン、オークエコーやシェオルエコーでも十分勝ち手段になるため、巣穴からの総出などは不必要。
■古えの墳墓
2マナ土地は入れ得だが、黒マナのほうが欲しいような気もする。
サイドボードに防御の光網を積むのならば、枚数は4枚が必須。
ウルザの物語とも相性◯。
■囁きの大霊堂
アーティファクト土地。
オパールのモックスの金属術達成に貢献し、鏡に願いをの協約コストにもなる。
■ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
無色土地から黒マナを出せるようになる土地。
あると便利だが、絶対に2枚引きたくないため、デッキに採用する枚数は1枚のみ。
サイドボード
サイドボードについては、上で挙げたリストのものも固まってはいませんが、「晴れる屋レガシー杯マジック30周年特別版」に参加したあとに必要だと感じたものを挙げます。
■仕組まれた爆薬
おもにマナ総量1,2のヘイト置物対策。
0マナで唱えるため、創造の歌と相性が良い。
0マナで設置できるため、ストームを稼ぎながらマナをかけずに鏡に願いをの協約コストとして使用できる。
このデッキと非常に相性の良いカード。
上のリストは3枚採用でしたが、これは4枚に変更したほうが良い。
■防御の光網
クロックパーミッション系への対策。
強迫や思考囲いで永劫のこだまを通すことはできるが、永劫のこだまで自分も相手も手札がリフレッシュされるため、7ドローで相手に妨害カードを引かれることが頻発した。
これが結構ストレスなので4枚採用の必要性アリ。
■四肢切断
ヘイトベア対策。言わずもがな定番除去。
■大いなる創造者、カーン
アーティファクト対策。鏡に願いをからサーチすること前提で運用する。
しかしカーンは入れなくても良いかもしれない。
■真髄の針
不毛の大地や土地コンボを止めるためのカード。
■トーモッドの墓所
墓地対策は0マナのアーティファクトであるトーモッドの墓所を採用する。
プレイングについて
このデッキは、シナジーやコンボがたくさん入っているため、「特定のコンボのためにパーツをかき集める」動きをするよりも、「初手を見てプランの方向性を決め、現状のリソースの中で一番強い動きをする」ということを意識することが重要です(書いていて思いましたけど、このデッキに限らず普通のことですよね)。ダブルマリガンまでは許容できるので、何かしらのコンボを狙っていきましょう。
トリプルマリガンに突入したらLEDエコーを求めてマリガンし続けることも一つの選択肢なので覚えておくと良いです。
このように初手のマリガンないしエコーの7ドローをすれば何かしらの強い動きをできるやろ!の精神でやっていくデッキです(そんなにうまく行かねーよ!というツッコミはさておき、そういう構築を目指しています)。
相手の動きに対する対応力などは乏しいので、如何にこちらの動きを押し付けていくかを考えることが最も重要です(相手のドローだけはオークで対応可)。
後手の際、先手相手のT1で呪文のキャスト制限をかけてくると途端に厳しいのですが、現状仕組まれた爆薬程度しか対策方法が思いつきません。青くないデッキなので万能とはいかないのです。
相手のメタカードが間に合ったら負けるデッキなのでそういうものだと割り切るメンタルが重要です。
ただしそれを補って余りあるほど、ブン回りは爽快なので回していて楽しいデッキです(相手はちっとも楽しくない)。
すべてのゲームで異なるプランを取ることも理論上は可能なため、相手のサイドボーディングを無駄にする噛み合いが発生することもあります(墓地対策されていても、悲嘆・サーガビートダウンで攻めきることができた、等)。
このデッキの対策としては、ストーム対策・アーティファクト対策を最優先に、次に墓地対策をしておけばだいたい機能停止するのでサイド後はそんなに怖くないデッキですよ。
直近の結果
簡単に直近の結果をまとめておこうと思います。
MOレガシーリーグでほぼ回していないので試行回数が少ないですが、まあまあ勝てているんじゃないですかね。
第85回おうちでレガシー
3-0
R1 Bye
R2 WLW 80デスタク
R3 WLW 赤単ペインター
Bye込ですけれど3-0は3-0。
ここで鏡に願いをと創造の歌の組み合わせを世に示した(起源をしゅちry
第86回おうちでレガシー
2-1
R1 WW アーティファクト人間
R2 WLW イニシアチブ
R3 WLL UBデルバー
晴れる屋レガシー杯
マジック30周年特別版【水蓮の花びら配布対象】
5-2(スイスラウンド9位)
R1 WW 鏡ストーム
R2 WLW RUGデルバー
R3 WLW アブザンマーベリック
R4 WW 青単親和
R5 WLL RUGデルバー
R6 WLW RUGデルバー
R7 LWL Lands
Landsは後手で、相手が先手T1に抵抗の宝球をおいてきたのでダメでした。
全ラウンドを通して1ゲーム目のメイン戦の勝率がエグいです。
大体最初に1勝もらえるので2ゲーム目の気楽なこと。
おわりに
今は黒が強いタイミングなので、黒の強い動きを詰め込んだデッキを構築してみました。
鏡に願いを、というカードの可能性はまだまだ検討しつくされないと感じているので、しばらくこのカードの自体の研究は続いていくでしょう。
鏡に願いをを使用した創造の歌ストームも、まだまだ色々なパターンがあると思うので私もしばらくいろいろ試してみようと思います。
ホント面白いカードを刷ってくれましたねWotC。
まったく、MTGは最高だぜ!!
では今回はこの辺で。
皆様に良い構築のアイディアが降ってきますように。
それではまた。
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