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言葉のことばかり【満足】

満ぞく亭

道を歩いていたら「満ぞく亭」
というカンバンがあった。
何気なく通り過ぎればいいんだが、
やっぱり気になってしまう。
居酒屋さんなんだろうが、
なんで「ぞく」がひらかななんだろうか…。

あまりの満足感に
背筋が「ぞく」っとしてしまう。
…違うよな。

たぶんこれは「ぞく」を漢字に
できなかった理由があるんである。

と、ひっぱるほどの
ネタではないので結論を急ぐと
(ぜんぜん急いでない)

食べ物屋さんに「足」という漢字を
使いたくなかったんですね。たぶん

だからどう…ってことはないんだが、
名前を考えているときの、
店主の心理状態を考えると
ちょっとだけおもしろい。

ここで選択肢としては、満足を
「満族」と当て字にする方法もある。
満族亭。これはこれでどっかにありそう。

苦節15年(たぶん)
やっと持てた自分の店に名前をつけるときに
縁起を担ぐキモチはよーくわかる。
「だから言ったのに、
 あんな縁起の悪い名前をつけるから
 つぶれちゃったんだよー」とか、
あとで言いたくないもんね。

そこまでして
「満足」というコトバに
こだわる理由もないと思うが、
いやいや、師匠の口癖だったのかもしれん。
「お前が店を出すときには、
 一に満足、二に満足だぞ」とかね。

などと想像しながら歩いていると、
商店街は店主の願いと欲望が渦巻いている
カンバンワンダーランドに見えてくる。
なかなかの満足感だ。

満足の足

そもそも何で満足は「足」なのか。
足が満ちてるのか。ムカデか?

まあ「満ち足りる」ってことなので
何の不思議もないんではあるが、

じゃあ何で足りるは「足」なのか。
これまで知らずに満足してた自分が情けない。

これ、足りるだとわかりにくいけど、
「足す」と考えるとちょっとわかる。
器の足つけたり、テーブルの足(脚)とか、
足って見方によっては付け足しっぽい。
(付け足しも足か…)

蛇に足つけて蛇足とか、
足って本体にくっつけたり外したりする
そんな感覚はあるみたいですね。
人間の足がそれだと怖いけど…。

なんか付属品みたいですが、
足りない、不足って言うとこを見ると
足がすごく大事だものだという
気持ちも強いと思います。
足は体を支えてるものなので。

自給自足、なんてのもあるね。
足があることで進める、生きていける、
みたいなことも感じます。

関係ないけど、
「足りない」と「足らない」と
同じ意味なのに二種類あるのも不思議。
調べてみたらそれぞれ
「足りる」の否定と「足る」の否定らしい。
「足る」の方が古いですね。

なので「足りる」に収束すれば
いいようなものなんだけど、
「10分足らずの出来事」みたいな言い方が
普通にあるので無くすわけにもいかず。
(別に無くそうとしてる人はいないが)
「10分足りず」だと意味変わっちゃうからね。

話が広がって足りてるのか足らないのか
わかんなくなってきました。(ほぼ蛇足)
ご満足いただけたでしょうか。

次回の言葉は「顔」です。

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