煙草

煙しか吐けない生物みたい。
あたしが夢中になったのは彼の書く文章と煙草の匂い。
あたしが切望したのは一瞬間の恋心による苛立ちと深い眠り。
あなたが吹いた口笛を似たような旋律で奏でてほしい。
好きだよ、なんてしんどいだけ
愛してる、なんて一生言いたくない
どうしてもこの籠から出られないなら
ずっと煙にまみれて歩いてでも行くわ
煙しか吐けない生物みたい。