年金の繰下げ受給はここに注意!選択を間違うとかえって減額に?
繰下げ受給をして年金を増額するはずが、選択を間違うとかえって減額になってしまうケースがあります。
そんなことにならないように、知っておきたいのが繰下げ受給と加給年金額の関係です。
加給年金額は繰下げ受給の対象外
厚生年金に20年以上加入した人に扶養家族がいる場合は、65歳から受ける老齢厚生年金に加給年金額という加算がつく場合があります。
(加給年金額の詳細については『厚生年金につく扶養手当「加給年金額」ってなんだろう』をご参照ください。)
加給年金額は繰下げ受給の対象外です。繰下げ期間中は加給年金額を受けることはできませんし、加給年金額には繰下げによる増額もありません。
加給年金額を受けられる人が繰下げ受給をすると、繰下げ待機中はその人の老齢厚生年金につくはずだった加給年金額はそっくり消失してしまうのです。
配偶者加給年金額約40万円が消失
扶養している配偶者(妻または夫)がいる場合に受けられる配偶者加給年金額は、年額約40万円(1943.4.2以降生まれの場合)です。繰下げ受給をすると、繰下げせずに受けた場合と比べてその間の年金額が1年あたり約40万円減るということです。
1年間に繰下げ増額で増やせる金額は元の年金の8.4%ですから加給年金額のマイナス分は到底埋まりません。
加給年金額が受けられるケースとは
配偶者加給年金額を受けられるのは次の4つの条件を満たしている場合です。
加給年金額がつくのは配偶者が65歳になるまでなので、夫婦の年齢差が5歳以上の場合は、最大5年間、総額約200万円の加給年金額が加算されます。
これを知らずに繰下げてしまうと、受けられるはずだった加給年金額を失うことになります。
年金増額のために繰下げ受給を検討するならば、まずは加給年金額を受けられるかどうかを確認しておきましょう。加給年金額の情報はねんきん定期便には載っていません。
自分で判断がつかない場合は日本年金機構の電話相談サービスなどで確認することができます。
年金事務所で繰下げ受給の手続きをする場合は、本人に不利益にならないように繰下げ受給の注意点について詳しく説明されることになっています。
行政サービスも上手に利用して、ご自身にとってベストな年金を選択していただけたらと思います。