見出し画像

28. ロバートのための楽器 / An Instrument for Robert

⭐️バーバラ⭐️

オクラホマ州タルサにて、ある友人が、彼の馴染みの楽器屋は、ほんとうにさまざまな楽器を取り扱っているから、覗いてみるといいよと勧めてくれた。

店に入る前、自分たちの真の目的を思い出すために、ふたりのお気に入りの祈り、「私は真に助けとなるためだけにここにいる……」を唱えた。

店の中に入ると、愛想の良い販売員から、何かお探しですかと声をかけられた。

私たちは彼に、自分たちは何が欲しいのかわからないのだが、神はそれをご存じだということはわかっている、と話した。店のなかを見て回って、何かに「呼ばれる」かどうか、みてみるつもりだ、と。
彼は驚いた様子だったが、自分も私たちに付いて回っても構わないか、と尋ねてきた。
「こりゃどうなるか見てみないと」と彼はつぶやいた。
私たちは笑って、ぶらぶらと店内をうろつき始め、ギター、ドラムス、フルートなど、手当たり次第に見て回った。
すると私の目が、ガラスの展示ケースの下段に、ごちゃごちゃと積み上げられた何ものかを捉えた。
私は立ち止まり、金属の細い板の束を指さして、「あれは何なの?」と尋ねた。

私たちのあたらしい友人は、あれはあなた方にとってはおもしろくもないものですよ、と言って歩き出そうとした。が、私は、ものすごく興味を引かれていた。

展示ケースには鍵がかかっていたので、販売員を呼び戻し、中のものを見てみたいので鍵を開けてほしいと頼んだ。
彼は、その展示ケースの中身はどれもこれも、私たちにとっては絶対におもしろくなどないものだ、と請け合おうとした。
私たちは笑っていたけれど、彼にもまもなく、私が本気なのだとわかったようだった。
私は彼に、たぶん、あなたの言うとおり、展示ケースの中身のどれひとつとして欲しくないと思うことになるかもしれないけれど、それでも見てみたいのだ、と頼んだ。

私の目が捉えたものは、段ボール箱いっぱいに詰められた金属の細い板で、それらは長さのサイズごとにそれぞれ、2オクターブにわたる音階を奏でるためのものだった。

私たちはそれらを取り出して順番に並べ、箱からマレットを手に取って、金属のバーのひとつを打ってみた。
とっても素敵!
鐘のように澄んだ音で、とてもよく響く。
ロバートと私は、すぐにマレットを持ってポンポンと叩き、透き通る美しい旋律を奏でた。

まもなく我々の友なる販売員が言った。「さあ、もう行きましょう。これはあなた方が求めるのに相応しい『大人びた』楽器とは思えませんから。」

それに対し私たちはクスクス笑いを返して、演奏を続けた。
ほかにも何人もの店員たちが見物にやってきた。

ロバートと私にはこれが私たちが手に入れることになっている楽器かどうかの確信がなかったので、ランチでも食べに行って、聖霊が私たちのこの鉄琴に対する情熱を維持するかどうか、確かめてみることにした。

その場を離れるとき私たちは、集まっていた店員たちがそれぞれマレットを手にし、楽しそうに鉄筋を鳴らしているのに気づいた。
彼らも鉄琴が気に入ったようだ……それが『大人び』ていようがいまいが!

鉄琴はたしかに私たちのものとなりそうだと思えたが、もしそうであるなら、その感覚は「続く」はずだ、とわかっていたので、私たちはランチに向かうことにした。

私たちはふたたび聖霊に、鉄琴を買いたいという私たちの気持ちを強めるか、さもなくば私たちの心から消し去るかしてください、とお願いした。
私たちはくつろいでランチを楽しみ、その間鉄琴のことなど話題にも上らなかった。

私たちは、鉄琴についてそれ以上何も話し合うことなくダイナーを後にしたが、ふたりとも、くるりと楽器屋の方角へと足を向けたのだった。
私たちは笑って言った。「オーケー、聖霊、つまりはそういうことね。もしこれが間違いなら、いますぐ私たちを止めてちょうだい!」

そして、私たちは鉄琴を買い求めた。

以来、鉄琴はオートハープにぴったりの伴奏として活躍している。
ロバートとロバートの父が、金属のバーを据え付けて固定するための、素敵な木の台を作ってくれた。
重ね重ね、ありがとう、聖霊。
私たち、この鉄琴が大好きよ。

(ところで、私たちがランチから戻ったとき、店員たちはまだ鉄琴で遊んでいた!)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?