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6. ひとりになって / Alone

車での長い旅路にて

⭐️バーバラ⭐️

私は3、4時間ごとに道路沿いの休憩エリアで仮眠を取り、気分をすっきりさせた。
平安と健やかさの感覚は時を経るごとに強まり続け、まるで私が言う必要のあることは、「聖霊、私には、次の休憩エリアが現れるための準備ができています」、ただそれだけのようだった。
すると、次の曲がり角に休憩エリアを見つけることになった。
または、「聖霊、私が次に車を止めるまで、もう1時間運転するための力を与えてください」、と祈れば、その1時間は難なく過ぎるのだった。

休憩エリアでの定期的な仮眠を取りながら、数日間運転し続けた後、私はイエスに、ぜひモーテルに泊まって、熱いシャワーと「本物の」睡眠を取りたい、と伝えた。

そして私は、自分がどのくらい求められるものなのかを試すために、こう付け加えた。
「もしそれがあなたのご意志であるなら、私はモーテル代を払わずに済むことを願います!」
この要望を伝えた後、私は、どんなことが起きるのか、大変興味をそそられた。
このようなテストをするなんて、あまり「聖なる」こととは言えないのかもしれない、とは思ったが、イエスは私がこの道の「初心者」だと知っているはずだし、わかってくれるだろう、と考えることにした。

その後、アリゾナ州キングマンに入ったところで、私はいつのまにか自分がハイウェイを「見失い」、古い住宅街を走っていることに気づいた。

どのように戻るべきか、まったくわからなかった。
私は、地図や標識を読むのがとても上手で、方向感覚も良いので、これは私らしくないことだった。
私は車を道路脇に寄せて、イエスに話しかけた。
「私が何をするのをお望みですか?」
周りを見回すと、ガソリンスタンドが目に入り、あそこに入らなくてはならない、と感じた。
奇跡講座の「テキスト」にある祈りを唱えながら、私はガソリンスタンドへと向かった。

「私は、真に助けとなるためだけにここに居る。
私は自分を遣わした聖霊の代理としてここに居る。
何を語り、何を為すべきかを、案ずる必要はない。私を遣わした聖霊が私を導くからである。
聖霊が私と共に行くと知っているので、私はどこであろうと聖霊が望むところに居ることに満足する。
聖霊に癒すことを教えてもらうなら、私は癒されるだろう。」
奇跡講座 T-2V.A.18

とても太った、不幸せそうな顔をした男性が、ゆっくりと出てきて、私の車へと歩み寄った。

私は彼に、自分はヒューストンに向かう途中だと伝え、ハイウェイに戻るにはどちらに向かうべきなのかと尋ねた。
彼は私の車をざっと見て、こう言った。
「そのタイヤじゃ、どうやったってハイウェイまで戻れませんよ!」
私も自分の目で確認したが、まさにその通りで、私は大変状態の悪いフロントタイヤで走り続けていたのだった。
私は、新しいタイヤを2つ買うのも、それに付け替えてもらうのを待つのも嫌だったけれど、そのままのタイヤでは大して遠くまで走れないことは、はっきりと見てとれた。
それにもちろん、ツルツルのタイヤでハイウェイを走りたくなどない。
「ありがとう、イエス。私のことを、こんなにもきちんとお世話してくださって」
私は、男性に付いてオフィスへと入りながら、そう囁いた。

男性の部下たちが私の車のタイヤを替えてくれるあいだ、私たちは空調の効いたオフィスでおしゃべりをしていた。
彼は身の上話を語り始めた。
その年、彼は何度も心臓発作を起こしており、自分はもう大して長くは生きられないだろうと思っていること、そもそも、どのみち長生きしたいと思う理由も見当たらないこと……
人生とは、ほんとうに、とてもおもしろいものだ。
彼がこの話を始めたとき、私にはわかった。
イエスは、単にタイヤを新しいものにして、私の身の安全を図るためだけに、私をここへ導いたのではない。
私をこの男性と会わせたかったのだ。
私が彼に、自分の新生活について、なぜ私がカリフォルニアを離れてヒューストンへと向かっているのかを話すと、彼は恥ずかしそうに周りを見回し、彼の部下たちに、私たちが「宗教的なこと」について話しているのが聞こえてしまわないか、不安だ、と言った。
私たちはしばらく、居心地の悪い沈黙のなか座っていたが、彼が話し出した。
「たぶん、あなたは、僕には何か隠れた思惑があってこういう申し出をするのだと思われるでしょうが、でも、そうじゃないんです……どうか信じてください。
この町には、僕たちが内緒話をするために行けるような場所がないんです、ここじゃ誰もが僕を知っていますから。
だけど僕は、ぜひあなたの話をもっと聞きたいのです。
そこで、僕の提案はこうです。
僕の車の後に付いて、この町を出て何マイルか走ったところにあるホリデイ・イン(訳注:ホテル・チェーン)まで行ってほしいんです。
僕が部屋代を払いますから、そこでお話しすることができれば、誰かに見られるんじゃないかと心配せずに済むんですが。
僕の家族は、僕が誰かに『信仰』について話したと知れば、腹を立てるでしょう。
あなたの身の安全はお約束しますし、もしよろしければ、僕が出た後、シャワーを浴びて眠るのに、その部屋を使ってください」

その時点で、私はオフィスから走って逃げ出したい気分だったが、そうはせず、深呼吸をしてこう言った。

「少し静かになって、それが聖霊が私たちにさせたいことなのか、確認させてください」
目を閉じ、聖霊のガイダンスを聞き取るために、自分の恐れを落ち着かせようとしたところで、私は、自分が無料でモーテルに泊まりたいと頼んだことを思い出した!
私は声を上げて笑ってしまった。
この事態がどれほど型破りに見えたとしても、私は安全だった。
すべてはイエスのコントロールのもとにあった。
「イエスは、あなたが信頼に足る人だとご存じだわ。だから私には、自分が安全だとわかります」
私の車の準備が整うとすぐに、彼は車で出発し、私は距離を保って彼を追った。

その後に続く物語には、特にびっくりするようなこともなかった。

物事はただ、イエスがそうなるだろうとご存じであった通りに進んだ。
男性と私は、数時間のあいだ、語り合い、祈った。
私は、モーテルの部屋とシャワーと睡眠を、無料で手に入れた。
何よりも素晴らしかったのは、私たちがイエスの与える仕事をしようと意志するとき、彼がどれほど私たちの願いを叶えてあげたいと思っているかを、私が学んだということだ。

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