【徒然なる雑感】5.「かわいい」と「素敵」

今年の卒論で、SNSを中心に「かわいい」という語の使用について研究したものがあった。「かわいい」が空間の形容として積極的に使われているのがSNSにおける「かわいい」の使用の特徴の1つとして結論付けていた。「かわいい部屋」「かわいいカフェ」「かわいい庭」(「部屋、かわいい♡」という形でももちろんあり◯)とかのように空間を「かわいい」で形容することってわりとありそうな気がしていたけど、コーパスの検索では数例しかなかったようだ。文字ベースのTwitterでの使用も多くはないみたいだ。SNSでも、Instagramにおける使用にやや偏っているのだろう。たしかに、空間を形容するなら、「かわいい」というよりは「素敵な」のような気もする。「かわいい」が空間を形容するというのはいわゆる「映える」ということに関連しているのだろう(「かわいいケーキ」なども同じく)。つまり、部屋などを写真にしたとき、それは三次元の空間から二次元の画像になり、それを外側から評価しているのかなぁと。一方、「素敵な部屋」というときには自分の身体は「部屋」の内側にあり、空間に内包されている。あるいは、「部屋」に自分の感情が刺激されたことで言語化される。

「かわいい」は対象から離れて評価をする。
「かわいい服」「かわいい犬」「かわいい子」
「素敵」は対象に同化したり、対象に自分の感情や感覚が刺激されて発する。
「素敵な部屋」「素敵な音楽」「素敵な絵」

「かわいい」と「素敵」の違いをまとめれば、こんなとこかしら。「かわいい音楽」というのはあまり言わない気がするけど、「素敵な音楽」というのは普通に使う。空間に身をおいたり、音として身体に刺激をもたらすもののように、身体的な感覚を伴うことが大きい場合には「素敵」が使われやすいのかもしれない。

ということを考えてて、学生時代を思い出した。その頃、私の口癖は「素敵」で(今もかな.笑)、特にサークルの後輩男子たちに口癖を真似されてはからかわれたりしていた。それはさておき、「素敵」が口癖の私は「自分」の感情とか感覚への興味が強いタイプかなと思う。逆にこの研究をした学生は「かわいい」が口癖である。そして、相手の懐に入るのが上手で、「他人」との関係を築くことに興味が強いタイプではないかなと。なんてことをツラツラ考えてみたり。

※画像はTwitterからの拾い物

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