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コピーペーストは一日一回まで

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詩みたいなもの
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2015年2月の記事一覧

満員電車

それはあさの狂気

この時ばかり 人は皆
自分が液体だということを忘れている
固体として物質として暴力として乗り込んで来る

たぷたぷたぷ
がたんごとん
人が揺れる 人の液体が揺れる

電車が駅にへばりつくと
数々の細かい暴力と意思が
乱反射の矢印になって
人が吐き出される 蹴り出される

たぷたぷたぷ
がたんごとん
人が揺れる 真赤な液体が揺れる

どこかでイタイとだれかが叫ぶ
圧がかかってだれ

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いつかやりたいこと

いつかやりたいこと

高速崇拝者に
一般道の愉快さを
布教したい

目薬の差し方を
出身地別に分類したい

花粉が人類を滅ぼしうる可能性について
議論したい

バランス良く食べなきゃだめよ
と何度でも注意したい

箸が平等に折れなかった時の
ただしい反応に
21世紀の答えを出したい

星を見つけて
どうでもいい名前つけたい

眠りにつく瞬間をつかまえたい
つかまえたら手放したい

やりたいけどきっ

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万年筆

万年筆のインクを怖がれる自分は
なんてしあわせなのだろう

朝があたたかいのは寒がらせたいやつらもまだきちんと起きていないから巨大なイキモノがはっていったその体温が残っているからゴネるのに味をしめた夜がべっとりとまとわりつくから大地の呼吸・水蒸気の手加減・漆黒の悲しさなどなど
つまりは みんな恥ずかしがりだから

絶望は明るみに出したもん勝ち

絶望は明るみに出したもん勝ちの世の中よ

ずるくはないか
逃げてはないか
腹をくくるのが偉いのか

三軒先にあるうちはまだ大丈夫
でももしも
絶望が曲がり角まで来たときに
正しくウゲッてできるよう
バターを丸呑みしている

対・絶望への予行演習だ

家族鍋

こわれたトイレが直るまで
おじいちゃんおばあちゃん
家に来ている
期間限定三世帯

人が増えると
においが変わる
はじめて我が家にやってきた
期間限定三世帯

土日すら集まれなくなった家に
みんなが早く帰ってくる
どこかソワソワした顔で
期間限定三世帯

お風呂上がりぽかぽかの顔
ミッキーパジャマのおじいちゃん
曜日を一度も当てられなかった
困った笑顔のおばあちゃん

「ママ声でかくなったよね」

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