マガジンのカバー画像

コピーペーストは一日一回まで

22
詩みたいなもの
運営しているクリエイター

2015年1月の記事一覧

偉人

東山魁夷も
茨木のり子も
どうして死んでしまったの

わたしと人生が被っていたふたり
この目でみとめ
会話を交わせたかもしれないふたり

どうして
わたしの目が覚めるまで
待っていてくれなかったの

好きになったときには遅い
あなたたちはもういない

せめて一度、
せめて一度。

きっとまだ
どこかに
わたしの盲目ゆえに
のちにその死に
激しく動揺することになる人がいる
その人はいまもどこかで

もっとみる

世界のもと

世界のもと
いちばんきれいでやさしくて
うつくしくてあたたかいもの

世界のもと
そもそものはじまり
だっての行き着く先
あたりまえの裏っかわ
おしゃれの真後ろ
曇りガラスの向こう

世界のもと
すぐに忘れてしまう
たやすくばかにされる
さわっただけでくたびれる
空気にふれれば傷つく
でも閉まってはおけない

世界のもと
たくさん
世界のもと
少し
世界のもと
レインボー

ペダル

駅前で
自転車で坂を下る親子をみた
幼稚園へ送られんとする子ども
母はペダルを漕がない

坂をすべるだけが
彼らを動的にするしるし
あとは石のよう
メデューサにでもあったのか
真顔と真顔

その年でもう虚ろを覚えたのか
幼稚園のこども
頬を風が撫ぜても
目を細めることもなく

ゆけよ ゆけよ
幼稚園のこども
その顔面を精一杯育てて
坂を下ってゆけ

わたしからは一つだけ

もし
きみに好きな子がで

もっとみる

痛覚

痛覚はポンポンに悪いので
あらかじめ取り除いておきました

ヤレヤレ
とんだ気さくな言い回し

そうして生まれた
センサーのないこども
世の 人の
そこらの蟻の不安を知らず
ペタリとした笑顔で遊ぶ

センサーのないこども
冬の 夏の 春の
不安を知らず
彼らは滑稽なものに目がない

センサーのないこども
そのうちに彼らは出会う
金斗雲に乗った巨大リス

オイ、きみたち
ポンポンから食

もっとみる

靴紐と⌘Q

靴紐が銀色に光っている!
わたしの靴紐!

ハロー 新規作成
きみはなにか勘違いしている
書かれようとは甘い
⌘Q ⌘Q 私は逃げる

名前をつけろ
思いつかなければハワイと

だれにも捕まらない
カーソルも追いつかない

ばかめ!
だって わたしの靴紐は銀色なのだ

カラカラになるまえに
どこにもないところに
文字を書くのだ

森に連れていくひと
森に連れていかれるひと

どちらがえらい?

森はよそさまのおうち
無礼があってはならない
いらっしゃいが聴こえるまで
無礼があってはならない
手折るときには祈りを
くぐるときには呼吸を
愛情はおいてきましょう
それはよその世界のものです

森に連れていくひと
森に連れていかれるひと

どちらがえらい?

コピーペーストは一日一回まで
コピーペーストは一日一回まで

予告篇

それでは
枕を用意しましょう
思いッ切り叫べるように

ブラジルにも
連絡をいれておきましょう

どちらも
片手があれば すむことです

羽毛をたくさん詰めておくので
ご自由にどうぞ
あなたがいちどすれ違った鳥
あのときのひゃっくりは
しつこかった

さあ あとは
恥ずかしいことを
たくさん詰めて

昨日と今日

昨日と今日は不当にわけられている
昨日と今日は不当にわけられている

個性なくススメ!
滞りなくアユメ!
山も谷もなくワタレ!

ルールの親を
私達はだれも知らない

みなしごたちは
黒々した線に倣って
カレンダーをめくり
住処に帰り
記憶は新規フォルダを作る

ワタレ!
不当を不当と思わず
正しいも正しくないもなく
山も谷もなくワタレ!

山頂が鋭利になる瞬間を
両目かっぴらいて
できるならとび

もっとみる