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フィンセント・ファン・ゴッホ / メトロポリタン美術館
納得いかない理由
流れるようなトークに乗せられて、
かなり高額な買い物をしてしまった。
その場所に行くまでは、慎重に考えようとしていたのに、
気付くとクレジットカードの暗証番号を嬉々として打ち込んでいた。
予定では、1時間の枠があるはずであったのに、
10分程度遅れて始まり、1時間にはあと10分を残すのだから、正味40分で私を送り出そうとしているのだ。
日に焼けた顔をマスクで覆いながら、
「ゴルフ焼けです笑」
おそらく、この短時間でこの売り上げを出す彼の年収の一部は、
ゴルフというお金の掛かるスポーツに向かっているのだろう。
そういう想像も苦々しく、
それならば、クレジットカードを引っ込めればいいのに、
提示された未来の欠片が魅力的に見えて、
私は好奇心を宥め切れなかった。
そうだ、私はこの好奇心に、お金を払ったのか。
彼の目が、私を絶好のカモ🦆だと言っている(ように見える)ことが、
自分の賢さを信じたい私には屈辱である。
もう認めよう。
私はおめでたい人です。好奇心に抗えず、
なけなしの身銭をはたく人です。
信じやすく、夢を見てしまう人です。
少々自虐的になりながら、
まあ、いいか、とも思う。
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