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山口市小鯖の「おさばふれあい市」(まるっとおさばカフェ)へようこそ!

 改めまして。ついに「みんなでつくる中国山地」第2号が発刊しました。私が第2号で担当した記事の中から、今回は「いまつくられている中国山地」コーナーで取り上げた、山口市の地域カフェ&交流スペース「おさばふれあい市」(まるっとおさばカフェ)について、書き切れなかったこぼれ話を綴りたいと思います。

 おさばふれあい市は、地元農産物の直売所とカフェを併設した地域の交流スペース。10月10日には、「みんなでつくる中国山地」第2号発刊&掲載記念イベントをおさばふれあい市で開催しました。地域の皆さんがおそろいのゆるキャラポロシャツで大勢参加して下さり、盛会のうちに終りました。感謝の気持ちでいっぱいです(記事はこちら)。

 おさばふれあい市が入居する建物は、元々はJAのスーパーで、10年ほど空き店舗になっていました。2018年に、すぐそばにあった直売所(ふれあい市)が建物内に移転。これがきっかけとなり、2019年12月に地域住民の交流スペース「まるっとおさばカフェ」がオープンしました。地域住民でつくる運営委員会が主体となって切り盛りしています。ミニコンサートや、地域包括支援センターによる日常の困りごとや介護などに関する相談会も開いています。お客さんのほとんどは地域のお年寄り。毎日のように訪れる人や、病院の待ち時間に立ち寄る人もいます。

まるっとおさばカフェ店内

「まるっと」引き受ける場所


 ふれあい市に併設するカフェの名前は「まるっとおさばカフェ」。ここで相談会を開いている地域包括支援センターのスタッフさんが名付け親です。
 「まるっと」には、「日常生活の中の困りごとが相談できたり、気持ちがほっこり安らいだり、全部まるっと引き受ける場所づくりをしたい」という思いが込められています。
 カフェ(お店)という形を選んだ理由も、誰でも気軽に、用事がなくても立ち寄ってほしいから。「儲ける」ことが目的ではありません。
 代表の米本律子さんは、お店である利点を「小銭の入った財布を持ってふらっときて、ほしいものがなかったら帰る。目的がなくても、気兼ねなく入れる」と語ります。

「小さく始めて、できることから少しずつ」

 始めた当初は午後からのカフェ営業のみでしたが、ランチ、モーニングと少しずつ広げてきました。直売所の品揃えも、日用品や文房具など少しずつ充実させました。米本さんは「私のやりたいことじゃなくて、地域の人がこれがほしいと言うことを少しずつやってきた」と言います。地域の人の声を聞きながら、できることから一歩ずつ取り組んできたからこそ、今の姿があります。

ここは「みんなでつくる」場所

 ふれあい市は、この本「みんなでつくる中国山地」のコンセプトと同様に、みんなでつくってきた場所です。元々はスーパーですから、カフェ営業に必要な物をそろえる必要がありました。奮闘する米本さんらスタッフの力になればと、地域の人がテーブルや食器類、掃除機などを持ち寄ってくれたそうです。「お金をかけて立派なものをつくるより、みんなでつくりたい」(米本さん)。地域の皆さんの温かい気持ちが詰まった場所です。だから、初めて来たのにどこか懐かしい感じがするのかもしれません。

店の前に立つ米本さんと原田さん

誰でも気軽に「おせっかい」

 いつも笑顔が素敵な米本さん。米本さんが地域活動に取り組むきっかけになった、忘れがたい経験があります。 米本さんが南国・高知から山口に嫁ぎ、慣れない子育てに追われていた頃。赤ちゃんをおんぶして歩いて街中に買い物に出たところ、突然の雪に見舞われ、途方に暮れてしまいます。そんなとき、見ず知らずのおばちゃんが「あんた、赤ちゃんかわいそうじゃあね」と声を掛け、家に招き入れてくれたそうです。 この経験がきかっけで、温かい「おせっかい」に目覚めた米本さん。とは言え、「個人の家では、人に声を掛けるのはさすがに躊躇する」。お店のような場所があれば「寄っていき~よ」と声を掛けやすい。そんな思いも、この場所には込められています。

毎週水曜日はお刺身ランチ!

 ランチメニューは、日替わりが2種類。中でもおすすめは、店内に入居する鮮魚店から仕入れる新鮮な魚を使った、毎週水曜日のお刺身ランチです。米本さんは「ワンコインでは食べられないレベルのものを出している」と胸を張ります。メニューが日替わりで固定されているのは、仕入れロスを減らすための工夫です。

 ランチメニューは当初、高齢者が多い地域性を反映し、お年寄り向けの煮物などを中心に考えていたそう。ところが、90代のおばあちゃんに「娘に家で揚げ物をしないように言われているから、トンカツを作って」とリクエストが。「お年寄りだからという枠にはめたらダメだと思い知らされた」(米本さん)。今はとんかつも唐揚げも、定番メニューです。

これからも一歩ずつ前へ

 今後はお弁当の販売や、ちょっとした困りごとを手助けする有償ボランティアをマッチングする仕組みづくりも検討中です。コロナが落ち着いたら、ここを拠点にお鯖の紅葉の名所や神社仏閣を巡るツアーを開きたい、と夢は膨らみます。そんなふれあい市に、お財布片手にふらっと立ち寄ってみてください。

「みんなでつくる中国山地」第2号は、ホームページから購入できます。山口県内の取扱店も載っていますのでお近くにあればぜひ手に取ってみてください。


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