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2016年上半期に劇場で観た映画の感想まとめ

タイトル通りです。1月~6月までのまとめ。

ちなみに9割方「TOHOシネマズなんば」で観ています。多分「あっ、映画でも観るか」と思ってから20分後には座席に座っていられるくらいの位置関係にあるのが悪いと思う。


「ピンクとグレー」

開始62分でピンクとグレーの意味が分かる。これは事前知識なしで観に行くのが良いと思う。

原作や俳優の「若さ」がよく出ている作品。その若さに行定勲監督が丁寧に寄り添いながら作られているように感じた。

ネタバレになるのであまり内容に触れられないけど、こうした「どんでん返しもの」は結局全て「人には色んな面があり、それでいいのだ」という教訓にしか繋がらないのが何とも残念な印象がある。


「サウルの息子」

何となく、見なければならない気がして。

映像は主人公やメインの登場人物にだけピントが当たっており、その他背景(淡々とユダヤ人たちが殺されていく場面等)は常にボヤけている。ゾンダーコマンドたちの心境を表しているのだろう。非人間的な労働を強制されていても、心はそれに抗おうとしている。

最初から最後まで壮絶な「事実」を伝える映画だったように思う。ラストシーンの僅かな救いも、かえって胸に重くのしかかる。


「キャロル」

いろんな切り取り方の出来る、不思議な作品だった。ただしどこを切り取っても「純粋に美しい」。それだけは言える。

ケイト・ブランシェットは言うまでもなく綺麗なのだけど、むしろこれはルーニー・マーラの代表作となるだろう。彼女の言いようのない魅力は、是非スクリーンで。


「オデッセイ」

何なんだこの映画は…!

火星に1人取り残された主人公(マーク・ワトニー)が残された食料と設備を使って生き残りを図る物語。

全編通して非常に「科学的」でした。改めて「知識や教養があるということは『豊かなこと』なのだ」と教えてくれるような作品だと思う。

火星に残ったワトニーも、それを救出しようと動くNASAのチームも、自身の専門分野の知識をフル活用して動く。ワトニー救出のためにチームで動く。オデッセイはそうした「個々の力を活かしたチームが科学的に偉業を成し遂げる」という物語が下敷きにあるからこそ、ワトニーの持つ「現状を楽しみながら一つ一つ課題を解決していく根性」が浮き立つ。

というのは、イモを作るワトニー、ディスコミュージックを聴くワトニー、火星を探索するワトニー。とにかく全てが楽しそうなのである。結局、確かな教養、諦めない根性、現状を楽しむ力、これらが揃って前に進めるのだ、と。

そういう風に受け取りました。

まぁ、すごく鉄腕ダッシュ的なんですけどね(笑)


「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」

バットマン知らないけどマンオブスティールは観たよ、って人が一番楽しめる感じでした。クリストファーノーランを引きずって観ちゃダメな作品。

さて、「ヒーロー夢の共演」についてはもう何番煎じなのか分からないレベルなので、個人的には、明らかに強すぎるスーパーマンに対してバットマンがどう立ち向かうのか…という所が気になりながら劇場へ。で、感想としては

「最高やないか!!!」

に尽きます。まさに男の子向け映画だよ、こいつは!

150分は長いとか中だるみしてるとか、色々ツッコミどころはあるワケですが、結局ラストの「バットマン対スーパーマン」のシーン、そして…という所で救われます。人類と一緒に観客も救われる。

ライバル同士が共通の敵の出現によって共闘する流れって、なんで何度見ても飽きないんでしょうね。ご馳走様でした。予告ではほとんど顔を出さないワンダーウーマンの活躍も見ものです。まさか、劇中一番の「うおおおおおお!」的場面を持っていかれるとは。

そして、たっぷり次回作を匂わせて終わってくれるので、今後の展開に期待せざるを得ないです。今後も続く夢の共演、最高やでぇ!


「ちはやふる 上の句」

鑑賞券を貰ったので、行ってきました原作は全く読んだことも無いです。

「ちはやふる」は超有名漫画を原作とした映画のため、映像化に対してかなり色々な配慮が必要だったはず。それに加えて今やオンリーワンのアイドル女優である広瀬すずを如何に見せるか、という部分でも下手なものは作れない状況。奇しくも橋本環奈の「セーラー服と機関銃」と公開時期がカブる始末。さて…という所でしたが

非常に良い青春映画でした!

結局は広瀬すずのための映画であるけども、脇のキャラクター達が全く埋もれていない(机くん泣けるよね…!)。そして競技かるたの緊張感を「無音シーン」が引き立てること引き立てること。カルタに文字や絵が浮かぶエフェクトも良い。

広瀬すずは海街Diaryの大人しい少女像から一転、競技かるたに青春を捧げる「ただの元気な女の子」を演じきっていました。いるいるこういう女の子。でもキラキラしてる。

そして恋愛要素は少なめ、現役中高生でなくても普通に楽しめると思います。テンポが良くてサクッと観れるし、おすすめです。

惜しむらくは後編である「下の句」への引きがちょっと甘く、「うわ〜どうなるんだよ後編!!待ちきれないよ!!」とならなかった部分ですかね(´・ω・`)


「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」

お祭り映画、最高!!

スパイダーマンかっこ良かった!

これまでアベンジャーズで話の規模が膨らみすぎてしまったのを修正するような、ちょうどいいサイズ感でした。

でも豪華すぎ。サラッとアントマンが合流してきたのに笑ったw 


「レヴェナント:蘇えりし者」

映像美と生々しすぎる表現、ディカプリオの演技力。これに尽きる。

下から人物を見上げるように撮るカットが目立だった。これによって極寒の山々という極限状態が際立ち、目を背けたくなるほどのリアリティが演出されていた。


「アイアムアヒーロー」

期待以上!日本でこのレベルのゾンビ映画が観られるとは思ってなかった!!

原作はチラッとしか見ていないですが、鈴木英雄という「普通の男」が輝いていく過程は単純に面白かった。大泉洋はハマリ役でしたね。

グロさ含めて、映像的に「しょぼっ」と思うシーンは一切無かった。むしろこれ、良い意味で予告編詐欺ではなかろうか…こんなグロいと思わずに来てる人多いと思う。

とにかく、制服×有村架純=バンザイ!


「ちはやふる 下の句」

まぁよくもこんな直球で小細工なしなのに楽しめる青春映画を「現代で」作ったものだと。

下の句も最高でした。

原作そのものが持っている力も強いが、やはり演者達が輝いている。キャラクター達が生き生きと動いているのが分かる。カルタを通した青春を見ながら、その向こうに若い俳優たち自身の青春すら垣間見える。そういう曇りない作品になっていると思う。

広瀬すずは今回も見事。セカチュー公開当時の16歳の長澤まさみを思い出しながら観たが実際は比べられるものではなく、広瀬すずは10代として「純粋な可愛さ」を突き詰めた存在のように見えた。男女から人気があるのも分かる。

また、劇中において広瀬すず演じる「ちはや」が恋愛に興味を見せないのも1つの面白さである。太一がちはやに触れようとするシーンさえあるものの、それもワンシーンだけ。本作は徹頭徹尾「かるたを通した青春群像劇」である。だからこそ「強敵登場」→「ちはや覚醒」→「次のステージへ」という単純な流れがそのまま楽しめる。

ごちゃごちゃ書きましたが、一言で言うと「カルタ版ドラゴンボールやないか最高」というのが私の感想です。


「ヒメアノ~ル」

鑑賞後、ジワジワと恐怖が襲ってくる。良い意味で「後味の悪い」映画である。

前評判通り、森田剛の怪演はV6「森田剛」とは全く別の印象を与える。人生の底辺で生きることを覚悟し、欲望を満たすことに躊躇がない。そういう人間の恐ろしさをまざまざと感じさせる。

中盤でようやくタイトルロールが流れ、空気感が一変する演出は見事。思わず手足に力が入った。前半のゆるふわなラブストーリーも暫く見ていたい気はあったが…それだけに後半の落差が重く響いた。(これ以上はネタバレですかね)

恐らく2010年代のジャパニーズホラーって、こういう作品のことなんだろうなと思った。幽霊や呪いのような抽象化された恐怖より、どこにでもいる人がどこにでもあるような出来事がきっかけで「完全な暴力そのもの」に生まれ変わる、そういった恐怖。

鑑賞直後は「一体何を訴えたいのか分からない、駄作だ」と思ったが、後から後から増殖してくるこの恐怖。立派なホラー映画だったように思う。


「10 クローバーフィールド・レーン」

続編というより、「クローバーフィールドというタイトルをあげるから映画作ってみなよ」的作品。そういう意味では良い試みだったし、テンプレ化されたSFパニックムービーに斬新なアイデアを盛り込んでいたと思う。

まぁ…個人的には前作のクローバーフィールドが良かったかな…

少なくとも、ラスト15分に至るまでは「観るつもりだった映画と違うけどまぁいいか」と思わせる内容だったことは確か(笑)

こうして「クローバーフィールド」という枠組みだけが生きることで新しい作品が作られていくなら、次回作も観てみたい気はする。


「デッドプール」

最高のコメディや!

文化がわかれば笑えるネタもあったんだろうなぁという部分は多いけども、単純に新しい形のヒーロー映画が観られたので満足。

そこそこにグロいですが、その「ヒーロー映画なのにグロい」ということもネタとして捉えれば面白い。とにかく、ヒーロー映画量産体制の今だからこそ使える皮肉が効きまくっていて、楽しかった。

デートではやめておいた方が良いです。念のため。


下半期はまた来年の年明けにでも。


さとこ




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