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朗読劇「なななななな」を終えて

爆走おとな小学生 朗読劇「なななななな」
ぶじ全公演終えることができました

本当にありがとうございます。😊

作品を届けるにあたって自分なりに考えたこと、思ったことが沢山ありました。アフタートークでも「演じる上で大変だったこと」というテーマで少し触れたところ、見てくれた方から反応があって嬉しかったのもあり、せっかくなので書き残しておきます。

わたしが演じたヤヨイという役視点からのあらすじです🎋

ヤヨイは2年前にたった1人の家族である兄を交通事故で亡くした16歳の女の子。孤独で、自ら死を選ぶことさえも考えてしまう毎日の中で、「願いを叶えてくれる通話アプリ"織姫ちゃん"」を見つけ電話する。話しているうちに織姫ちゃんの中の人も、兄と離れて暮らす"ナナ"16歳であることがわかる。ナナに「友達になろう」と言われ会う約束をしたヤヨイは絶望に光が差したような気持ちになる。しかし、ナナはヤヨイの兄を轢いてしまった星太の妹であることがわかって・・・・。
というストーリー。ここに星太や、アプリの開発に携わったナナの友人たち、ナナのもう1人の兄である光輝とその学校の様子などが描かれている。
ナナとヤヨイが初めて対面した日。ナナは本当のことを話したい、と語り始める。自分も兄の車に同乗しており、ふざけてちょっかいを出していたことで信号を無視することになりヤヨイの兄を轢くことになったこと。
ヤヨイはナナの告白を受けて、それでも孤独な日々の中で友達になろうと言ってくれたナナによって救われ、いま生きていられるのだと感謝を口にする。そして、「友達になれるかな」と問いかける。

<<<以上、 簡単なあらすじ!>>>

わたしは最初、台本を読んだ時 ナナを許すことができませんでした。稽古中も「ラストに許しの気持ちがほしい、ひとつ大人になって包み込んでほしい」と演出されたけれど、そう言われるのは自分の中に許しの気持ちができていないからだというのは明白でした。

どうやって演じよう、と思っているときに気づけたことがあって。

ヤヨイは「人を許せないことってどうしてこんなに苦しいんだろうね」と語るのですが、きっとヤヨイが1番許せなかったのは兄を轢いた星太ではなく、自分自身だったのだと思うのです。

ヤヨイが「食べたい!」といったお肉を買いにスーパーに向かったところで事故に遭った兄。きっと自分のせいで死んでしまった、死ぬのは自分でよかったのに、という自責の毎日だったのだと思う。

そこで出会ったナナ。ナナもまた、自分を責め続けていました。
そして憎むべき対象であるナナに救われた自分もいるという事実。

責め続けるナナを受け入れることは、きっとヤヨイが自分自身を許し・受け入れ・見つめ、結果的にヤヨイ自身を救うことになるのではないかと思いました。人を認めることは自分を認めること。

Twitterにも短くまとめたけど、それがヤヨイの変化であり、新たな一歩。

そこにたどり着けたとき、自分の中でようやく作品として届けるものを見つけられた気がします。

ナナが織姫ちゃんを始めたきっかけを語るセリフは、ヤヨイがナナを受け入れるところにもリンクしているなと感じたり。読み返すたびに発見がある脚本でした。

あとは通し稽古を見た時に、多いとは言えない自分のシーンが物語全体の構成においてどう使われているか・話の緩急的な視点からも演じ方を考えるきっかけになったのは初めてだったかもしれません。面白い作業でした。

この期間、交通事故に遭われ大切な人を失った方の手記をたくさん読みました。「いってきます」「いってらっしゃい」という言葉を最後に、2度と会話をすることができなかった方の気持ちを読んで心が潰されそうでした。

その思いは日に日に蓄積され実際に心と身体と頭が圧迫されるような感覚で、ステージに立つ足取りが確実に重くなりました。

でも実際に被害に遭われた方のつらさはこんなものじゃない。

そう思うと途端に演じることが怖くもなりました。
実際はこんな簡単に前を向けるものではないのだから。

みんなに元気を与えたくて続けているこのエンタメの仕事で誰かを傷つけたらどうしよう。そうも思いました。

そういう思いもありつつ、それでもこの話が・ヤヨイが伝えようと思ったことが伝えることが今できることだ、と思い丁寧に読ませていただきました。

わたしは割と早口になりがちで、稽古の映像をチェックしていてもそれを感じたので、今回は朗読ということもあってかなり意識的にゆっくりした口調でお届けしました。ひとつひとつの文字をこぼさぬよう。それがヤヨイの個性になっていたらいいな。

全公演噛まずに!というのが1つの目標だったのですが2公演目だけ噛んでしまった、悔しいいいい!

最後に。
本当に気持ち程度の額ですが 交通事故に遭われた方に届くように、寄付をしました。
今回の作品からもたくさんのことを考え気付きを得ることができてよかったです。


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