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伊勢路8〜やっぱり人は誰かと生きていることに気がつく

2020年1月20日(月)
ここにくるまで殆ど人に会うことはなかった。道でも歩いている人はいないし、宿も私だけ。たまに工事関係や出張の人が止まっているようだったけど、時間帯が会わないから顔をあわせることもなかった。宿の主人のタイプもそれぞれで、話しかけてくれる方もいればそっとしておいてくれる方もいる。両方とも良い塩梅で私にとっては心地よかった。

普段ならこれだけ外部との接触がないと寂しさのようなものが出てくるのだけど、今回は自分の身体を保つのに精一杯で、歩くこと以外の外向きの活動(しゃべるとか)をする体力、気力が残っていなかったので、逆にそれが心地よかった。むしろ人との接触を避けたいとまで感じるようになってきていた。

8日目、この日は最後の峠越えの日。前日に最大の難所である八鬼峠を越えたから、それよりは楽勝だろうと思っていたが考えが甘かった。それは峠に対してではなく峠以外の道だった。これまでは峠以外は殆どが平坦な道だったのだけど、今日は町の中のアップダウンが峠並みにキツかったのだ。峠と海に挟まれた坂だらけの小さな集落を抜ける。しかも道が分かりづらく迷う。指標が沢山設置されている峠を越える方がどれだけ楽か・・・。

そんなとき、助けてくれたのは地元の人だった。地図をじ〜っと見つめている私に、困っているときほど何故か人が現れて私を助けてくれた。ベンチに座っていたおばあちゃんたちも励まされ、今までで一番多い5つの峠を抜け、峠越えの全行程は終わった。

昨日泊まった宿ではお風呂で一緒になった女性とおしゃべりを楽しんだ。人と沢山おしゃべりするのは久しぶりだったけど、とても自然に楽しい時間を過ごすことができた自分がいた。そして今日の宿では若きご主人と巡礼路談義。

誰かといても一人でいても、自然な状態でいられる自分になっていたことが嬉しかった。一人は気楽だ。でも人はやっはり誰かに助けられていて、誰かと共にありたいと思う生物なんだな。

短い時間だったかもしれないけれど旅の間、共に時間を過ごしてくれた全ての人へ、心からのありがとうを伝えたい。

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