見出し画像

梅干しの未来〜食品衛生法改定に思うこと


、食品衛生法改定とその影響

平成30年に改定され令和3年6月1日に施行された「食品衛生法」ですが、3年間の経過措置期間を経て今年の6月1日より全面施行されます。

すべての食品事業者に食品営業許可が必要になり、HACCP(ハサップ)に沿った衛生管理が求められることになります。

各地の特産物、農家直売などとして売られている漬物には土地や作り手の個性が出やすく、それを楽しみにされている方も多いと思います。

しかし残念なことながら6月の全面施行を目前にし、資金の問題でHACCPに対応する設備を作るのが難しいなどの理由から、作り手であった農家や土地の人が出品の取りやめたり、取りやめと同時に廃業する人も増えているそうです。

梅干しなど漬物の多くは日本の伝統食です。その主たる担い手はお年を召した方が多く、一度途絶えればその復活は困難だということは安易に予測されます。このことからも今回のこの改定は「漬物の危機」「伝統食への迫害」としてSNS上でも多く取り上げられています。

改定に至る経緯、そして知るべき側面

そもそも改定に至るには一つの大きな事件がありました。それは平成24年8月に札幌市の食品メーカーが製造した浅漬けによるO157集団食中毒です。この事件では患者169名、死者は8名を数えました。この事件に関する厚生労働省の中間管理報告を読むと製造会社の衛生管理に問題があったことがわかります。

しかしこの「問題」は報告書からは、衛生対策において特に高い専門的な知識や工程を必要とされるような問題とは感じられませんでした。いわゆる通常の台所仕事においてもごく普通にあると思われる衛生管理がなされていなかった、という印象です。衛生の規制強化ということよりも企業の体質改善の方が求められると思いました。会社の体質とは作り手のモラルでもあります。

多様な伝統食の世界を今回の改定のように「衛生」という観点だけで規制してゆくことには疑問を感じます。現在、菌やウイルスという見えない世界に対し人は過度に怯え、「法」を作って防御しようとしていますが、その結果はどうでしょうか?添加物や訳のわからない素材から作られた食べ物・・・先に規制の検討をすべきものはたくさんあります。

「調達」に頼り切ってしまった食生活への警鐘

現在社会では、わたしたちの多くが自分の食を流通に委ねて生きています。「食べるものを買いに行く」私もこれが当たり前のことだ思って長いこと過ごしてきました。

しかし、2年前に初めて自分の手だけで梅干しを作り切った時「自分の命を養うものを自分で作ることができるんだ」という感覚を得ました。調達に頼らない、自分の命を育むもを自分で作れるというこの体験は、ずっと付きまとっていた「自分という存在の不確かさ」を和らげました。それはこれまでに何十回受けたヒーリングやセッション以上に癒しをもたらし、自分を取り戻すことができた体験でした。

自分も含め多くの人は
自らの命を他に委ねすぎていたのかもしれません。

傍らから始める〜今、始める3つのアクション提言

今回の食品衛生法改定に対してできる行動は幾つか考えられます。HACCP認証の通る施設を作るというのも大きなアクションの一つで、それに対して賛同したり資金を提供することもできます。

そしてもっと行動を身近に小さくしてみれば
わたしたちに何ができるでしょうか?

家族、友だち、大切な人・・・
側(かたわら)から楽に嬉しくしてゆくには
どんなことができるでしょうか?

そこでわたしから
梅を通してできる「側楽(はたらく)3つの行動」
を提案です。

1、梅干しを食べる
2、梅干しを作る
3、梅干しを分かちあう


1、梅干しを食べる
梅干しを守りたいと言っても必要とされなければ意味がありません。
歴史的に梅干しには多くの効能があると言われてきました。そして今、科学的側面も伴いその効能が再評価されきています。日々の食卓に取り入れることで梅干しから受ける恩恵は多いです。味の酸っぱいのが苦手な方も多いと思います(私もそうでした!)まずは気が向いた時にほんのちょっとだけ、一粒食べようとしなくてオッケー。人の味覚は変わります、梅干しが食べたくなる日がくるかもしれません。気長に待ちましょう。まずは生活の傍らに梅干しをおいておく事から始めてみませんか。

2、梅干しを作る
「添加物が多い」「値段が高い」
梅干しを食べたいけど買わない、と思う方の2大理由です(私見です)
この2つをクリアする方法が「自分で作る」です。

そして、「時間がない」「難しい、失敗しそう(した)」
梅干しを作ろうと思っているけど作らない、という方の2大理由です(これも私見)
この2つをクリアするのが
「試しにやってみませんか(笑顔!)」です。

私にできることはこの「試しにやってみませんか」のハードルが低いことを伝え、サポートし、試しに梅干しを作る人を増やしてゆくことだと思っています。

3、梅干しを分かちあう
この先おそらく一般流通で「本当の梅干し」を手に入れることは難しくなると思います。コミュニティや人の縁で本来の梅干しは生き残ってゆくのだと思います。私も今は、大きな流通に乗ることを目指すのではなく、自分の最善を尽くした梅干しを縁のある方へ、必要としてくれる方へ届けてゆく流れを作りたいと思っています。

わくむすび にっぽん のこれから

私は上記3つの流れを広げる広報活動としてSNSなどの発信を続けます。食という側面のほかにも、写真や文章、言葉を通して文化・芸術的側面としての梅と、それが取り巻く世界の美しさをお伝えする活動を続けてゆきます。

わたしにとっての側(はた)はこの記事を読んでくださっているあなたでもあります。側を楽に。梅を通じてあなたの人生の楽しみと喜びのお手伝いができたら本当に嬉しいです。

ここまでお読みくださり
誠にありがとうございました。
応援のほどよろしくお願いできれば幸いです。

心より御礼申し上げます。

愛と感謝を込めて

令和6年4月吉日
わくむすびにっぽん
香取梅道研究所主催

わたべさとえ


よろしければサポートお願いいたします!いただいたサポートは梅や梅仕事に関する研究と活動のために大切に使わせていただきます!