三井住友_新カード__2_

三井住友カード デザイン刷新の裏側を考える

初めまして。里田 一(さとだ はじめ)と申します。

さて、本日2020年1月15日。
少しばかりびっくりなニュースがありました。


三井住友カード、デザイン刷新。
この件について、私的な見解を書いていこうと思います。

1.現カードからの変更点

まずは、現カード・新カードの画像をご覧ください。
こっちが現カード。

三井住友_現カード

続いて、新カードです。

三井住友_新カード

(画像はどちらも三井住友カード公式ページから)

公式プレスリリースでは、変更点として以下の3つが挙げられています。

(1)カード情報を裏面に集約
→現カードは、表面に「カード番号」「有効期限」裏面「セキュリティコード」が記載されています。新カードでは、これらの情報が全て裏面に記載されます。

(2)デザイン性の向上
→情報を裏面に集約することで、カード表面のデザイン性を高めたとのこと。現カードには「パルテノン神殿」が描かれていますが、新カードでは「未来を映し出す光と足元を照らす光」のイメージが描かれることになります。

(3)Visaのタッチ決済を標準搭載
→Visaのタッチ決済が標準搭載されます。よかったですね。
(これには全く触れないので適当に書いています)

(参考)公式プレスリリース
https://www.smbc-card.com/company/news/news0001500.pdf


2.変更点のポイント

変更点のポイントは、ズバリ『カード情報を裏面に集約』そして、それに伴う『エンボス加工の廃止』でしょう。
これにより、三井さんサイドには以下2つの嬉しいことがあります。
【1】カード作成工程の簡略化
【2】カード在庫管理の効率化
【3】カード割当のスピード化

解説します。
【1】カード作成工程の簡略化
1項でも軽く触れましたが、現カードでは表面に「カード番号」「有効期限」が、裏面に「セキュリティコード」が記載されています。
このとき、例えばAさんのカードを作るケースを考えると、

①カードの表面に、Aさん用の「カード番号」「有効期限」を印刷する
②カードの裏面に、Aさん用の「セキュリティコード」を印刷する

という2つの工程が必要になります。
おまけに、表面の「カード番号」「有効期限」はエンボス加工(文字の凸凹)が施されているので、①の工程は②よりも長い時間・コストを要すると考えられます。

一方、新カードでは、「カード番号」「有効期限」「セキュリティコード」が全て裏面に集約されます。
この場合、Aさんのカードを作るためには

①カードの裏面に、Aさん用の「カード番号」「有効期限」「セキュリティコード」を印刷する

の1工程だけで済むのです。
また、新カードでは「カード番号」「有効期限」のエンボス加工が廃止されているので、その分のコスト削減も期待できます。

【2】カード在庫管理の効率化
上述の通り、現カードには表面にエンボス加工が施されているため、
(カード全体の厚み)=(カード下地の厚み)+(エンボス加工の厚み)
となります。
エンボス加工自体は数mm程度の厚さしかありませんが、それが数十枚・数百枚と重なると馬鹿にならない厚みとなります。
そのため、現カードでは以下の2系統で在庫の管理を行っているのではないでしょうか。

①:カード情報を印刷したカード(少数)
②:カード情報を印刷していないカード(大多数)

カード作成の申し込みを受けた場合、①の在庫から各個人に番号を割り振る運用になっているのでは、と推測します。
この運用のケースだと、「①のカード残数」「②のカード残数」「番号の割当がされていない契約数」「②を①に繰り上げるタイミング」の4要素を管理する必要があります。

一方、新カードにはエンボス加工がありませんので、
(カード全体の厚み)=(カード下地の厚み)
となります。
また、【1】で示したように、カード情報の印刷が1工程で完了するため、「カード情報を印刷していないカード」の在庫を保有する意味がなくなります。
そのため、

①:カード情報を印刷したカード

だけの在庫管理してあげればよいのです。
つまり、「①のカード残数」「番号の割当がされていない契約数」の2要素だけを管理すれば良い、ということになります。

【3】カード割当のスピード化
ほぼ【2】の解説で述べてしまったのですが、、、
管理対象の要素が減るため、カード番号の割当を速やかに行えるようになるとの推測です。

新サービスとして、「5分でカード番号発行」が可能になります。
これは、カード作成工程の簡略化と在庫管理の効率化がなされ、カード割当スピードが向上したからこそできることなのではないでしょうか。

3.まとめ

整理すると、以下のようになります。

<1>三井住友カードのデザインが刷新され、カード情報が裏面に集約される
<2>カード情報が裏面に集約されることで、カード作成工程の簡略化・在庫管理の効率化が期待できる
<3>カード作成工程が簡略化・在庫管理が効率化されることで、カード割当を素早く行えるようになる

結論

三井住友カードのデザイン刷新は
・管理コストの削減
・サービスの向上
を同時に実現するソリューションである。

所感とか

初ノートが結構な長文になってしまいました。
ここまで見て頂いた方、いらっしゃいますかね。
本当にありがとうございます。
今回の三井住友カードのデザイン刷新について、設計職の人間の見解を書いてみました。
「なるほどね」「ほーん」位に思って頂ければ嬉しいです。

正直な所、パルテノン神殿デザインのほうが好きだった筆者でした。


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