作業同盟がたいせつ 2

わたしたちが良い方に変わるときには、なるべく安心できてこころをオープンにできる関係があることが望ましいですよね。良い時には頼りになる、パートナー、家族、友人、同僚、あるいは関係の深い人達。そういう人たちであっても、あるいはあるからこそ、つらい時にこころをオープンにするのが難しく感じられることは多くの人が経験することです。

だめだと思われるのでは?責められたれたくない。また同じことを言っていてと思うのでは?こんなことを言ったら見捨てられるのでは?嫌われたくない。弱い自分を見せることなんてとんでもない。周りの人を守るのは自分なんだから強くならなくては。自分の声に耳を傾けてみると、こころや体を閉じようとする声が聞こえてきます。いつもの関係にはいろいろな事情が絡んでしまっていますから、つらいときにはいつもよりももっと「こうあらなければ」とか「こうであるべき」にとらわれてしまいがちになります。

作業同盟はクライエントとカウンセラーとで作り上げていくものです。はじめから良い作業同盟というものがあるわけではなく、カウンセラーの態度、話すトーンと言った、カウンセラーの個人の性質。部屋の雰囲気、料金や守秘義務、カウンセリングの時間の設定といった外形的なこともとても大切です。カウンセリングの目的のための話し合いと共有、カウンセリングで話されること、量と深さも作業同盟の構築に大きな影響を与えます。

良い作業同盟は、クライエントにとっても新しい体験です。共感的に自分の話が受け入れられ、これまでは言ってはいけない、あるいはそのような思いを持っている自分はだめな人間なんだ、責められるんだ、と思っていたことから、そういうことを言っても、思っても、関係が壊れることはない、より良い関係につながることなんだという体験です。なぜか似たようなパターンを人間関係で繰り返してしまって、一生懸命やっているはずなのに、違った人と似通った形でつらくなってしまう。そのようなパターン自体を取り上げ、こころに置いて考える場です。

暖かい共感があって、感じていること、考えていることをオープンにして話ができる。そしてそのことをクライエントが言葉で、感情で、体で理解して、またそれがカウンセラーにも伝わって、カウンセリングの場で共有できている。そのような関係ができると、難しいことやこころが痛むようなこと、つらいことにも向き合い、深く掘り下げて理解しようという思いになりそうですよね。作業同盟自体はとても構築的です。あまりあせらず、時間をかけながら、作業同盟を意識して作っていくこと自体が新しい自分の体験とも繋がっていくのです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?