休むことって難しい

休むことって難しいなと思います。カウンセリングに来ているいろいろな問題を抱えているクライエントの人たち。うつや落ち込みだったり、不安やパニックだったり、人格の問題、トラウマ、いろいろな人たちがいます。つらい状態が続いていますから、まず休みましょう。そして、もう少しだけでも全体を落ち着けつつ問題に対処していきましょうと伝えることから始まります。問題を抱えている人たちも、そうだよな、今はもう精一杯だし、ここらあたりで一休みをしなきゃなと理解はするわけですが、それでも実際に「休む」ことは難しいです。私達はなかなか休むことが難しい文化の中で生きていますよね。


矛盾しているようですが、つらく疲れている中で休むことは難しいことです。例えばうつで休んでいる人の話を聞いていても、こころから休めたというのは回復がだいぶ進んでからという人がほとんどだったりします。落ち込んだり不安を感じたりしている間、こころはずっとソワソワと動き続けているわけですから。本人や周りが「休んでいるよね」と思っていても、意外にしっかり休めていないなんて事が起こってしまいます。


特に「こころを休める」ことは、つらいときには難しくなってしまいます。体は止まっていて、休んでいるはずなのに、こころはずっと忙しく動き続ける。自分を責める考えや不安なことが次から次へと湧き上がってくる、考えたくないのにショックだったできごとが何度も何度も頭の中に浮かんでくる。このような状態で休むことはとても難しいことですよね。こころが苦しいときには、体が動いていても止まっていても休んで回復するという機能自体がうまく働かなくなってしまいます。


ほとんどの人たちは、良く動くためには良く休む必要があります。どうしても問題を抱えている時には、回復することは動けるようになることだ、と思いがちです。けれども、実際にはより良く休む人こそが、より良く動くことができます。強い不安や責任感も動くための力になりますが、そういった理由から動けたとしても少し長い先の日常は心配ですよね。

それではどうしたらつらいときに少しでも休むことができるのか?やはりそこでは話すこと、「言語化」がとても大事なんです。あるいは休むことをどのようにこころの中で納得感のあるものとして構築できるかが大事ですね。私たちの言葉がものごとをとらえ、とらえた内容が次の行動を生み、その行動が周りのリアクションを生み、またそこから影響を受けます。内面の苦しさは信頼できる人にうまく受け取ってもらうことができると、そのつらさを減らすことができます。つらさが減った分だけ、少しだけかもしれませんけれども、こころを休ませることができます。


話すこと、カウンセリングを通して、「ひとつここは休んでみようか」と思える時間を少しずつでも増やしていきましょう。

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