作業同盟がたいせつ 1

なるほど、カウンセリングが効果があるというのはよくわかった。エビデンスで支持されていて、適切なカウンセリングにはこころのつらさや人生の問題やとても困っていることに対する効果があるんですね。

オンラインで検索してみると、たくさんのカウンセリングが表示されますよね。公的で無料な機関もあれば、病院でのカウンセリングも、私設のカウンセリングもあります。カウンセリングに効果が期待できるとのことですから、どんなカウンセラーでも大丈夫なんでしょうか?こころに抱えているものを話すってずいぶんと勇気のいることですから、もちろん、誰にでもっていうわけにはいきません。技法・理論背景・人柄・経験・属性。どんなカウンセラーによりよい効果が期待出来るんでしょうか?

■作業同盟がたいせつ

カウンセラーにも若い人も年配の人も、病院での経験が長かったり教育分野で働いてきたりといった経歴も、性も個性も学んできた理論背景も様々な人たちがいます。

一般的にわかりやすいのは、ホームページを見てページの雰囲気と資格がわかるといったところでしょうか。最近の特に私設カウンセリングのホームページはカウンセラーの顔写真も掲載されているところが多いですから、そうかこういう感じのひとか、と。

そしてその次には心理療法の種類やどのような論理に則ったカウンセラーなのかという話がつづきます。認知行動療法、精神分析、家族療法、支持的カウンセリング、対象関係論、トラウマの心理療法、ポリヴェーガル理論、EMDR、相互交流調整、などなど・・・現在は専門家であっても全てを把握することはできない、たくさんの心理療法や理論が存在しています。

そのような状態の中で、それでは「何がカウンセリングのポジティブな効果の要素なんだろう?」あるいはどのような基準でカウンセラーを選んだら良い効果が期待できるんだろう?ということが気になりますよね。

多くのカウンセラーも心理に関わる人達も、「何が」カウンセリングのポジティブな効果をもたらすのか?ということを調べ続けています。うまくいくカウンセリングは、当然ですが、たった一つの要因があるわけではなく、多くの要因が影響を与えています。

現在わかっていることでは、カウンセリングで良い効果が大きいものはクライエントとカウンセラーの「作業同盟」です。作業同盟とはクライエントとカウンセラーとの感情のつながりと治療目標の共有をしている状態を指します。もう少し平たく言えば、気持ちをオープンにでき、あったこと、あり得たこと、良い思いも良くない思いも、まだ形になっていない思いも、安心感を作っていきながら話をすることができる関係です。

これはもちろん、技法や理論が重要ではないということではありません。技法や理論がカウンセラーの態度や雰囲気、個性を作り、そのカウンセラーの態度や雰囲気、個性が、クライエントとの関係に影響を与える。そのような分けにくいものではありますけれども、技法や理論も大事だよねと、そこを踏まえての作業同盟の大切さ、ですね。

そうですよね、カウンセリングはこころを、あるいは関係そのものを扱うものですから、気持ちを表現できない関係では変化をうまく起こすことが難しいですよね。作業同盟はカウンセリングが進む中でいろいろな紆余曲折を経ながら深まっていき、そのこと自体が治療的な効果を持ちます。

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