トラウマの心理療法について整理してみよう 1 安全を大切に

それはトラウマだけに限ったことではないですけれども、心理療法・カウンセリングにとって「安全である」ことは大切なことです。道路を歩くときに安全に気をつける。熱いものを扱うときに安全に気をつける、というのはわかりやすことですけれども、こころを扱う心理療法・カウンセリングにとって安全であるとはどういうことなんでしょう。

トラウマや強い落ち込み、不安など、こころに傷を負っていると、そこはとても敏感で痛みを感じやすくなってしまいます。傷があって痛みを感じやすくなっていると、そこはなるべく痛みを感じたくない・思い出したくないと封じ込めてしまいますよね。なんとか痛みを我慢し封じ込めているものを、心理療法やカウンセリングではそのやり方ではありますけれどもある程度オープンにして何らかの対処をすることになります。傷の比喩をそのまま使えば、やはり傷というのは不要に誰かに見せてなにかを言われたくないところでもありますし、変に触られてそれ以上傷を広くも深くもしたくないところです。

心理療法やカウンセリングではその技法によりますが、傷に触れたりつらい記憶をある程度〜かなりしっかり思い出すものまで様々な方法があります。言葉の力を使って処理を進めるものから、催眠を用いるもの、体の感覚を中心に処理を進めるものもあります。

傷をオープンにして触れることは、簡単なことではありませんが、対処する専門家との信頼関係。できるだけスモールステップを用いて必要な分の傷を扱うこと。心理療法の最中ももちろんのこと、カウンセリングとカウンセリングの間の日常生活も視野に入れてなるべく日常生活に現状を維持しながら戻っていく。そういった技術や知識についても伝えたり話し合ったり練習したりしていく。カウンセラーとの関係性、内的な資源、外的な資源。そういったものを利用しながら、なるべく安全を確保していきたいですね。

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