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【書評】石角友愛さんの「いまこそ知りたいDX戦略」は会社のDX推進を担当している人のマストリードな一冊!

どうもこんにちは。チカトサです。  

先日、石角友愛さんの「いまこそ知りたいDX戦略 自社のコアを再定義し、デジタル化する」を読んだので、書評をしていこうと思います。


この本では、最近話題のDX化について、シリコンバレーに本社を置くパロアルトインサイトのCEO 石角友愛さんの仕事の実体験のお話を交えて学ぶことができます。

会社のDX推進部で働いている
経営している会社もDX化の波に乗っていきたい
何だかDXに興味がある

こういった人にとってはMUST READな一冊です!

一番のポイントは、
DX化というのは、単なるデジタルツールの活用といった局所的なITの導入ではなく、会社のコアを再定義してデジタル化するという点。

多くの人がよく陥りがちな勘違いを丁寧に訂正し、実例を交えて詳しく説明してくれています。

かなり壮大な話になるので、会社のDX推進部とかで働いている人にとっては白目状態になるかもしれません!

すでにDX化に取り組んでいる人は、誤認を正すためにもおすすめの書籍かなと。

というわけで、この記事では「【書評】石角友愛さんの「いまこそ知りたいDX戦略」は会社のDX推進を担当している人のマストリードな一冊!」について書いていきます。

石角友愛さんの“いまこそ知りたいDX戦略”とはどんな本?【概要】


”いまこそ知りたいDX戦略”は 、2021年4月25日に発売された書籍です。

わかりやすい文章で書かれているので、集中して読めば全262ページを【約5時間】で読み終えることができます。

著者の石角友愛さんのプロフィールも紹介しておきます。
石角友愛(いしずみともえ)

2010年にハーバードビジネススクールでMBAを取得したのち、シリコンバレーのグーグル本社で多数のAI関連プロジェクトをシニアストラテジストとしてリード。
その後HRテック・流通系AIベンチャーを経てパロアルトインサイトをシリコンバレーで起業。

といった絵に描いた才色兼備な方です。
他にも“いまこそ知りたいAIビジネス”など多数著書が出版されています。

“いまこそ知りたいDX戦略”の 目次は以下の通りです。

はじめに
第1章 そもそもDXとは何か?
第2章 DXを推進するために超えるべき壁①「何からてをつければいいかわからない」 
第3章 DXを推進するために超えるべき壁②「なかなか実現フェーズに進まない」 
第4章 DXを推進するために超えるべき壁③「リソースが足りない」 
第5章 成功するDXのあるべき姿
おわりに ーダイバージェンスの時代を迎えるにあたって

この本の中で最も印象的だった内容は、

DX = 会社のコアのデジタル化
デジタイゼーション → デジタライゼーション → DX

と言ったところでしょうか。

DX = 会社のコアのデジタル化

先にも述べたように、DXとは単なるツール導入や局所的なIT導入のことではなく、デジタル技術を採用した根本的なビジネスモデルの変換を指すのです。

キャムズ理論で知られるジェフリー・ムーアは著書の中で、

会社は、コアとコンテクストに分けて考えなくてはならない。

と書いています。
マイケル・ジョーダンにとっての「コア」はバスケットボールになります。
一方、「コンテクスト」は関連グッズやドキュメンタリー番組だったりします。

会社で考えてみましょう。
自動車メーカーの「コア」は「自動車製造」で間違いないと思います。
しかし自動運転が普及しているであろう10年後、20年後には「人や物を移動させること」になっているかもしれません。

このように「会社のコア」を再定義し、それをデジタル化することがDXの本質なのです。

デジタイゼーション → デジタライゼーション → DX

日本では、デジタイゼーション、デジタライゼーション、DXを混同している人が多く、これらを一括りにDXと呼んでいる傾向があります。

デジタイゼーションとは、「アナログからデジタルへの移行」を指します。
いわゆる、ツール導入やペーパーレス化、ハンコのデジタル化、省人化などが当てはまります。
また、手書きで書かれたテキストをデジタル形式に変換したりすることもデジタイゼーションに該当します。

デジタイゼーションが「アナログからデジタルへの変換」だとすると、
デジタライゼーションとは、デジタル化されたデータを使用して、作業の進め方やビジネスモデルを変換することを指します。
ツール導入などの表面的なことではなく、より複合的で本質的なビジネスモデルとコアのデジタルによる変革を示します。

デジタイゼーションやデジタライゼーションが技術に関する変革を指すのに対し、DXとは、主に人や組織に関する変革を指します。
人とは、顧客、エンドユーザー、消費者、協力会社、社員などが当てはまり、会社の文化や体制を変えていくことで初めて実現される抜本的構造改革なのです。

以上のデジタイゼーション、デジタライゼーション、DXを段階を踏んで取り組んでいく必要があるのです。

DX推進を阻む三つの壁

これまでDXの本質について述べてきましたが、実現する上での障壁が三つあると言います。

①FOMOの壁
②POCの壁
③イントレプレナーの壁

です。

①FOMOの壁とは課題把握能力が低く、実行できない状態を指します。
FOMOとは、「Fear Of Missing Out(置いていかれることを恐れる)」の頭文字をとった言葉です。
時代の波に取り残されることを懸念し、「課題は見えないが、とにかくDXを推進したい」と押し進める状態です。

「何のためにDXを推進するのか」という問いに答えられないまま(FOMOの壁に突き当たったまま)DXを進めるべきではなく、まずは課題を発見するところから始める
という訳ですね。

②POCの壁とは課題把握能力は低いが、実行力はある状態を指します。
POSとは、「Proof Of Concept(概念実証)」の略で、仮説検証をくり返すが、成果につながらない状況を示します。
この状況を抜けるには、「何を選ぶのか」「いつ投資し、いつ捨てるのか」の目利き力が必要です。

パロアルトインサイトで開発した「FOME分析」といったものを使って、AI導入価値を考えていきます。
FOMEとは、
F:実現可能性(Feasibility)
O:応用力(Opportunity)
M:検証性(Measurability)
E:倫理性(Ethics)
の4つの頭文字からなる造語です。

③イントレプレナーの壁とは課題把握能力は高いが、実行力が足りない状態を指します。
イントレプレナーとは、社内起業家のことです。
課題意識は明確ですが、実行力がないためDXを推進するのが難しいのです。
このイントレプレナーの壁を越えるためには、人やお金も必要ですが、一番の問題は人材です。

AIプロジェクトを進めるにあたり、
❶経営者
❷課題を抱えている現場の人
❸課題を抱える部署の責任者
❹データサイエンティスト、エンジニア、UXデザイナー、AIビジネスデザイナーといった開発者側の人
といった4者が協力しあってこそ実現するのだと述べています。

石角友愛さんの“いまこそ知りたいDX戦略”を読んだ感想

 この記事では、「【書評】 石角友愛さんの「いまこそ知りたいDX戦略」について書いてきました。

この他にも、芸能事務所のホリプロやオンラインフィットネスのペロトン・インタラクティブといった会社がDXを進めていった経緯や、会社の文化について詳細に書かれていてとても面白いです。
個人的にはネットフリックスのオープンで自由な社風には驚きました。

今DX関連の仕事をしている方もそうでない方も、DXという言葉がいまいち理解できていない方もそうでない方も、大変読み応えのある一冊となっていますので、是非手にとって読んでみる価値はあるのかなと思います。

というわけで、今回の記事は以上です。
ぜひ、また見に来てください♪

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