シンスプリントに対するアプローチ三選
参考にした文献から一部抜粋
「要旨」Medial tibial stress syndrome(以下, MTSS)は脛骨内側骨膜と筋膜の結合部の微細損傷と考えられており, MTSS好発部位には長趾屈筋がヒラメ筋よりも高い割合で付着する. したがって, MTSSの発症には足趾底屈筋の機能や筋の硬さなどの力学的特性が関連する可能性があると考えられる. また, MTSSのリスク因子としてMTSS既往歴が挙げられることから, 既往者には再発を起こしやすい何らかの身体的要因がある可能性がある. 我々は新規に開発した足趾底屈筋力測定装置およびせん断波エラストグラフィを用いて, 下肢に疼痛を有さないMTSS既往者の筋力および筋硬度の特徴を横断的に検討した. その結果, MTSS既往者では長趾屈筋および後脛骨筋が硬く, 第1MTP関節底屈筋力が大きいことが示された. これらの結果はMTSSと長趾屈筋および後脛骨筋の硬さの関連と, それに伴う代償的な第1MTP関節底屈筋力の増加を示唆している.
まずは引用から紐解く。そこから話す内容を抜粋する。
MTSS(脛骨内側ストレス症候群)(medial tibial stress syndrome:MTSS)
"運動時に生じる脛骨後内側縁の疼痛で疲労骨折や虚血性疾患を除いたもの"と定義しており、脛骨疲労骨折や遅発性コンパートメント症候群を除いたものがMTSSと表現されている。好発部位は長趾屈筋がヒラメ筋よりも広い範囲で付着している。
なので足趾底屈筋が広く関係していると考えられる。
(長趾屈筋、後脛骨筋、およびヒラメ筋腱の伸張ストレスが脛骨内側骨膜のストレスを増加させることから、下腿の筋などによる繰り返しの伸張ストレスが原因で起こると考えられている)MTSS既往歴のある人は再発しやすい。
この研究の結果、「MTSS既往者では長趾屈筋および後脛骨筋が硬く, 第1MTP関節底屈筋力が大きいことが示された」とされている。
それは「足関節内がえし筋には後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋の3筋が含まれるため、足関節内がえし筋力はこれら3筋の作用が混在していると考えられる。」ので長趾屈筋と後脛骨筋の代償で長母趾屈筋がより作用している。MTSSは長趾屈筋の影響をかなり受けていることになる。
「長趾屈筋は解剖学的にMTSS好発部位に付着する一方で、後脛骨筋は MTSS好発部位に付着しないことが報告されているが、隣り合う筋同士には筋膜を介した張力の伝達があることが報告されており、後脛骨筋の硬さが筋膜を介してMTSS発症に関連している、もしくは後脛骨筋の張力が長趾屈筋の張力の影響を受けて高まっている可能性が示唆されている。」参考。
要点はこれくらい。
シンスプリントに対するアプローチ三選
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