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モンゴル体験、その後の目と耳 2

11 キャンプ / 12 羊の解体 / 13 食べ物 / 14 オプション都市編 / 15 買い物 / 16 モンゴル現代美術 / 17 日本のモンゴル / 18 アイオワ / 19 マヌルネコ

11 キャンプ

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みんな1人で馬に乗れるようになってから、馬で遠出して、そこでゲルを建てて一泊して帰ってくる、という日があった。ゲルは車で。大きなスピーカー、酒や水、寝袋なども一緒に積み込まれた。

なだらかに斜面になっていて、木に囲まれているところにゲルを立てた。ベース音がすごい音楽を大音量でかけながら男性陣がモンゴル相撲で戦う。花いちもんめ的なゲーム。2チームに分かれ、チームは隣同士で腕を固く組んだり手を繋いで一列になる。敵チームの一人が、弱そうな繋ぎ目を狙って突撃し、その列を破ったら勝ちで、1人自分のチームに引き入れる。列が作れなくなったら負け。羊か馬かの白い骨を1人が草原に向かって投げる。他の人はその時は目をつぶる。投げた骨が着地した瞬間のカサッ、という音が聞こえたら、みんな一斉に目を開けて、着地音を頼りに骨を探しに走る。音が全然分からなくてモンゴル人側が超優勢だったが、現役大学生でスポーツもしている参加者側女子が徐々に聞けるようになっていた。暗くなってから月あかりのもとでやるのが本式だそうで、暗闇に白い骨が光って見えるらしい。骨を見つけて、投げた人に渡した人が勝ち。これも2チームに分かれて行い、途中で奪ってもいいので、敵チームのタックルからもみくちゃの奪い合い、パス回し合いからの突然の独走、などさまざまに展開した。

ゲルから適度に離れたところで焚き火を囲む。焚き火のまわりを音楽に合わせてぐるぐる回る、モンゴルの歌や日本の歌を歌う。モンゴルの人たちは歌がものすごく上手かった。馬に乗っている途中も、歌を口ずさんだり、口笛吹いたり、何か日本の歌を歌って、とリクエストされるなどあり、歌や歌うことが身近なんだなと思わされた。とにかく老若男女みんなで、身体を使って遊ぶ。

キャンプの食べ物はけっこうちゃんと料理していた。ソーセージにみんなでパン生地を巻いてから油で揚げたり。

ゲルの中で雑魚寝した翌朝、周りの草原をブラブラ散歩した時間は気持ちよかった。白樺のような木々の間をしばらく歩くと、羊の群れが休んでいたりする。

12 羊の解体

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羊の解体を見せてもらった。羊は、血も含めて全部活用できるので、遊牧民の人たちは血も一滴も漏らさないほど周りをまったく汚さずに解体できる技を身につけているようだ。いったん血を内蔵のどこかに全部流れるようにして、そこに溜めることによってまったく漏らさずにできるらしい。

目の前で、白黒まだら模様のぷっくりした羊が鮮やかに解体された。なんとなく、解体中と解体後に体の部位ごとにキッチンに運ばれていく姿は自分ではシャッターを切れなかった。でもしっかり見た。シンプルな調理法で味わった。大きな骨付きの固まりは焼いて、内蔵は茹でて。

13 食べ物

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行く前のイメージは、羊肉、ボーズという小籠包みたいなもの、バター茶?(チベットとごっちゃになっていた)程度。土地としてはあまり野菜や果物が育たないから肉中心の生活だ、それゆえに栄養素が足りずモンゴル人の平均寿命は短い、という説も聞いた。

合宿中は3食しっかりとさまざまなごはんを出してくれた。朝食はそれほどお国柄は出てなく世界共通なものだった記憶。目玉焼き、ミックスベジタブルのカラーリング、果物。個包装のお菓子。肉うどん的なものの羊肉版。あたたかい干しぶどうジュースなるもの。薄めの紅茶。紅茶はお湯1リットルにティーバッグ1個くらいの感覚。

モンゴル料理を教えてもらう場面が数回あった。カルツォーネかエンパナーダのような、小麦粉の皮で具を包んだホーショル。具は肉やら、内蔵メインやら、いろいろ。餃子のようなボーズ(合宿時に何と呼ばれていたかは忘れてしまった)。羊乳を煮詰めていくと分離した油やら残った脂肪やらでさまざまな食べ物ができる。油はシャルトスというらしい。乳の量に対して、ほんの少ししか取れない。コンニャクの真ん中に切れ目入れてねじった時と同じかたちのドーナツ的揚げ菓子。解体されるのを目の前で見た羊の骨付き肉と内蔵。内蔵はフレッシュなので臭みまったくなく、茹でるだけで食べられる。ボウルの中で黒ずんだものがぷるぷるしていた。ちょっとエネルギーをもらいすぎたような感覚になったようななってないような。骨付き肉は文字通りの見た目で野性味あふれる状態だった。こちらも臭みなく食べられるのだが、生命に真正面から向かい合う感覚というか、一生懸命食べた、奥の方でざわざわおさまらない気持ちがあった気がした。ゆえにか、ふと周りを見たら自分の食べるスピードはずいぶん遅かった。全然気づいてなくて焦った。

調理に参加する時もあったが、基本何か用意された食べ物をいただく姿勢。非日常な新しい食をいろいろ味わったが、振り返ってみると、意外とぼんやりした記憶になっている。いつもの一人旅だと毎度毎度、自分で決めていて、しかも迷っている時間が長いので、それに比べると食に頭を使う時間が少なかったからかもしれない。

14 オプション都市編

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オプションのウランバートル都市探索は2日程度。車でいろいろ連れていってもらったので、ほとんど自分たちで街を歩くことはなかった。土産物も専門店かデパートでしか買わなかったので、現金も手にすることなく終わった。場所によっては万引きが本当に頻発しているらしい。デパートの中も要注意。なお、後日のツアーでは期間中に本当に万引きに遭ってしまったが、見知らぬ人が気付いて取り返してくれたそうだ。万引き多発の状況を憂慮して行動する人もちらほらいるらしい。

乗せてくれる車の準備待ちで、建物前でうろうろしていたら、参加者仲間がおじさんに話しかけられていた。そんなに鬼気迫る感じに私は見えなかったので分からなかったが、オジサンは酔ってて、我々は絡まれてたらしい。お前何人だ?日本人は好きだからいいけど〇〇だったら、と親指を立てて首を切るような動き。まあまあ、みたいな感じでなんとなくどこかへ行ったが、印象深い出来事。歴史を学ばなければいけない。

ウランバートルはずっと恐ろしく渋滞していた。人口の半分がウランバートルにいるらしい。山の尾根まで建物が建っている、数年前はなかったのに、とは伊藤さんの言。

オプション都市編では、モンゴル料理に限らないバリエーションに富んだ食べ物と出会った。
日本で見かける庭木に見えるが、それとは違うらしいシーバックソーンという黄色い小さい果実はモンゴルで採れるスーパーフルーツとして注目されているらしい。ドレッシングやらジュースやらチョコやらを味わった。
羊のマークの有名火鍋チェーン店。それの世界一面積の大きい店舗があるのはウランバートルらしい。world’s largest...というレリーフのあるフォトスポットが用意されている。火鍋は、自分で味をアレンジする調子がつかめずじまいだった。ロシアかウクライナ料理店でスープ的なもの。カトラリーが布袋に入っていた。デパート前の横断歩道の際では松の実を売る露天商。

15 買い物

デパートの食品売り場(デパ地下のオシャレ方向ではなく、スーパー的)では韓国製品や日本製品がかなりあった。ゴビ砂漠ブランドのようなものがあり、チョコレートの種類がいろいろ。なんだか万能な岩からできる?とれる?黒いペーストが人気ということで合宿中に熱烈推薦された品があり、仲間たちは数人買っていた。

紐を結わえたような形状のチーズがおすすめとのことで買った。塩気強めでつまみに良しな味だった。シャルトスも売っていたらしいが自力で見つけられず。中国茶チェーン店的なところの店頭で売っていた大きいガラスのティーポットが良いカタチをしていて欲しくなった。塩、モンゴルミルクティー粉末等が手頃な土産。ロシアなイメージのある毛皮の帽子、革製品、ミニゲル組み立てキット等もあった。

カシミヤ製品、ウール製品がハイクオリティな割に他国より安めとのこと。ティーポットにかぶせて保温するのを買った。ウール類等布製品は、ゲル内の布や馬の鞍クッション、遊牧民お兄さんがオシャレだったことから期待していたが、ウール、フェルト類は基本、毛の色を活かしたままのナチュラルな薄いベージュ、グレーを基調としており、模様も同系色。絵柄は羊やゲルなどの分かりやすいモチーフか、ファニーフェイスで愛嬌のあるキャラクターパチもんであった。記憶違いかもしれないが北欧デザインの影響があるとかないとか?模様に関しては、一部の土産物、アーティストが作品の中で採用してた柄、インテリアに使われてた模様、民族衣装等を見ると、中国っぽい感じもある。市場に行ったらまた違うのだろうか。7月の参加でナーダムが見られたのは嬉しかったが、それゆえ祭日期間で市場が休みなのは残念だった。

16 モンゴル現代美術

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高層ビルの中に入っている現代美術のギャラリーに行った。美術には日頃特に親しんでおらず、ギャラリーに足を踏み入れたことのないという参加者仲間もいたが、引いたり嫌がるようなことはなくみんな進んで参加していたのが印象的だった。女性のペインター2人展。各々観て、一人ずつ、買うならどれかを発表していきましょう、という流れに。大学の時に、買うつもりで観よ、と教えられた記憶が蘇る。また、こんな、美術を観た感想をストレートに発表することなんて、本当に久しぶりだったので、頭を必死に回転させながら真剣に考えた。引いてしまうような人はいなくて、みんなも楽しそうで、真剣に考えていた。その様子を見るのも、感想を聞くのも純粋に楽しかった。みんなが選んだ作品の価格をギャラリストに聞いてみたりした。けっこう作品ごとに価格差があったのが興味深い。

版画の文化がなく、マルチプル作品的な展開がなく、勝負する作品より糊口をしのぐ方面の作品も一点物の絵画を小品で展開させている等と聞く。

アーティストのアトリエも訪問した。その場で小品を購入する仲間もいた。先程ギャラリーで観た作品が印象に残っていて、ギャラリーに戻って購入したい、という仲間もいた。ほぼ初めて触れた現代美術、その勢いで購入まで。ダイナミックな展開が目の前で起こり続け、ずっと驚いていた。

17 日本のモンゴル

行った後は、大小さまざまなモンゴル情報が目や耳に留まるようになった。

・大阪にモンゴル製雑貨を扱っている「モンゴルセイ」というお店があるらしい。
・靭公園では毎年秋頃にモンゴルのイベントが行われるらしい。
・篠山にはモンゴル料理のレストランがあるらしい(参加者仲間情報)。
・京都にモンゴル雑貨を輸入販売しているお店があるらしい。(過去参加者とのこと)
・2004-2005年くらいに、百万遍から少し北の方にボーズ屋さんがあった気がする。
・福岡に井上陽水お気に入りのモンゴル料理店があるらしい(テレビの情報)。
・国立民族学博物館にはゲルが展示されている。
・横浜では定期的にゲル関連の展示が開催されるところがあるらしい。
・東北には篤志家がいるorいたためモンゴルからの留学生が多い、という説あり。
・米子駅から延びる大通り沿いに「モンゴルショップ」があった。モンゴルに限らず、中国その他の輸入食品やツアーを取り扱う店のようだった。モンゴルの土産でもらったゲル型容器の羊骨占いグッズもあった。
・ピエール瀧のYoutube「YOUR RECCOMENDATIONS」ウラジオストク編を見ていたら、入った喫茶店で店員さんにおすすめされて飲んでいたお茶のうちひとつにシーバックソーン入りのブレンドティーがあった。

Twitterで、穏やかな表情の子羊を膝に挟んでいる写真と、友達のストーリーではこんな画像がよく投稿される、最高に癒やされる、といった趣旨のコメントがバズって流れてきた。そのツイートに何かわからないが引っかかりを感じ、しばらく見つめて考えてたら、参加者仲間の投稿だったことに気づいた。驚く。

神戸・塩屋の旧グッゲンハイム邸では、数年前から年に1回、モンゴルの音楽を聞くイベントを開催していたらしい。北海道を拠点にするNPO法人しゃがぁの西村さんという方が、豊富なモンゴル関連エピソードや写真とともにガイドしてくれながら、モンゴル音楽奏者兼歌い手の演奏を聞く。2020年は内容を変えて2日開催。カザフ音楽の回に参加した。演奏と歌を披露してくれたのは、何回も出演のために来日しているらしい、人の良さそうなおじいさん。元医者だけど演奏家に転身した方とのこと。

モンゴルにツアーで行った、と話していた友人に、その友人の友人も今後モンゴルに行くって言ってる、もしかして同じツアー!?と聞かれ、その通りだった。友人の友人さんが参加するきっかけは、地元の横浜にかつて良いモンゴル料理店があって、よく行ってたから、だそうだ。

18 アイオワ

アメリカ・アイオワ州のアイオワ大学は文学で有名。毎年各国から小説家や詩人を招いたライター・イン・レジデンスを開催している。文芸誌を長年読んでいると、そこに招かれた作家の滞在記などがときどき目に入ってくる。2019年に招聘された小説家・滝口悠生氏の『アイオワ日記』は数回に分けて『新潮』に掲載されていた。氏の小説は未読だったがその日記が面白くて、掲載されたら喜んで読んでいた。氏はモンゴルから来たバイサ氏と親しくなり、多めに日記に登場する。
その中か滝口氏か好きな編集者の方のTwitterかどこかで、数年前に招聘された水村美苗氏もモンゴルの作家についての記述があった、との指摘を見た。水村氏の当該テキストが収録された本、数年前に読んでいた。そこにモンゴルの作家との話があるなんて、まったく自分では思い出せなかったが。書籍化された『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』(2019, NUMABOOKS)の特設サイトではバイサ氏のコメントも。

19 マヌルネコ

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元々は、とある写真家氏が撮影したカナダオオヤマネコのビジュアルインパクトに衝撃を受けて、検索したところ、シベリアオオヤマネコなら王子動物園にいると知って見に行ったところでたまたま出会った。その顔に惹かれた。冷凍ウズラ等を食べている。後でモンゴルに縁ありと知る。別名モウコヤマネコ。アゼルバイジャン、アフガニスタン、イラン、インド、カザフスタン、キルギス、中国、ネパール、パキスタン、ブータン、モンゴル国、ロシア南部に分布。アルメニアでは絶滅。マヌルはモンゴル語に由来し、「小さい野生ネコ」の意。(Wikipediaより, 2020.3.2)
モンゴルではざっくりウランバートルより左下(南西)の方にいるっぽい。そのあたりにある国立公園で見られる動物リストに入っていたが、「運が良ければ見られる」カテゴリだった。

けっこうマヌルネコ関連のニュースは流れてくる。2019年のいつかに、どこかの動物園に新しく来たマヌルネコ2匹の名前を公募してモンゴル語由来の名前に決まった、年末に17年くらい長生きした王子動物園のマヌルネコが死亡、2020年2月、神戸どうぶつ王国に2匹のマヌルネコが加入、など。

時期は定かではないが、感覚的には2020年入ったくらいからか、Twitterを見ていると、特定のテーマの投稿が集中的に最初の方に表示されるようになった。自分がフォローしているかどうかに関わらず。最初は特定の芸能人関連のがとにかくたくさん。その人は特に好きでも嫌いでもなかったが、本当に毎度なのでしばらくしてミュートにした。その次にTwitterが浴びせかけてきたのがマヌルネコとスナネコ関連。つまり那須どうぶつ王国か神戸どうぶつ王国のどちらかの投稿がとにかく頻繁に表示されるようになった。スナネコとマヌルネコ(ボルとボリー)の名前と顔を覚えた。


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