見出し画像

仕事について

これまで、美術や作家や作品が持つ時間軸の中で、どの時点に関わることに自分は最も喜びを感じるのか、最も貢献できるのか、を探りながらいろいろな仕事をしてきた。
肩書きや職種を決めると探索ができないだろうとわりと早い時期に思ったので、一貫性がなさそうに見える転職を重ねることになった。
ただ闇雲の中にいる感覚に陥るときもあるし、漂流経験が不思議に組み合わさって活きるときもある。キャリア設計としては失敗例だろうが、この経験を知に変えられたら成功例と言い張ろうと思う。

境界をわたるときに関われるのが刺激的で楽しい。アイデアがかたちになるときに関われたのがインストーラー業、作られたものを世に問うときに関われたのがギャラリー業や企画運営業だろうか。
近年多かったデザイナーとの仕事は、表現の欲望みたいなものと常識とされるものの境界を一緒にゆらゆらしている感覚で、それまでに経験のない面白さがあった。

今の仕事で、これほど作家が何かを作る現場に近いことがあるとは想像していなかったが、頻繁に作家のアトリエに足を踏み入れ、すごく近い距離でその創作を肌で感じたり、作家のSNSで目にしたりすることに、湧き上がる嬉しさがある。
アイデア未満でさえある何かを目撃している感覚だ。
こんな境界に、こんな触れ方をすることができるとは。
まだ自分が楽しいだけで、そこに貢献する方法があるのか、する種類のものなのかはまだわからない。また、ただ単純に、何か人がたくさん出会ったり急速に仲良くなっているのが見ていて楽しいだけかもしれないので、それだけじゃない理由は言語化したい。

創作の見え方、現れ方、は作家それぞれずいぶん違うが、この場とすごく相性がよく、早く、見えやすいかたちで面白さが現れているのが持木さんの映像のような気がする。軽演劇、という手法も合っていそう。メモとのことなので、ほんとに即興な、フレッシュな何か、という感じ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?