命の声
「私はずっと、ああじゃなきゃいけない、こうじゃなきゃいけない、って、思って来たの。
だって、子供の頃から、大人達はみんな、そう言うんだもの。
でもね、そうじゃないんだね。
ああしなきゃ、こうならなきゃって、
それが私を、傷付けて殺して、
息が出来ずに溺れさせてた原因だったんだね。
危うく死んでしまうところまで追いつめた、
原因だったんだ。
私はそれで傷付いて、苦しくて、
私の心は、それをずっと訴えてきたのに、
私は気付いてあげられなくて。
私は、私の心より、
大人達に、親に愛される、肯定される、
望まれるいい子になりたいって、
それにばっかり、一生懸命になってて。
私の心を、全然守ってあげられなかったんだ。
誰よりも私が、私の心に気付いて、
大切にしなくちゃあならなかったのに。
だって、心は、命なんだから。
命がなかったら、
どこにも行けやしないんだから。
心はずっと、
痛いよ、苦しいよ、やめてちょうだい、
聞こえないの?
お願い、ぶたないで、殺さないで、
閉じ込めないで。
お願いよ、やめて。
助けてよ。
って、泣きながら叫び続けていたのに。
私はちっとも、心の声を聴いて、
守ってあげられなかった。
それどころか、他人と一緒になって、
うるさい、だまれ、
だめな子、うるさい子、いらない子。
お荷物で役立たずの穀潰し。
お前なんかいらないんだよ。
死んでしまえ!
って、言ってたんだもの。
周りの人に好かれたい一心で、
私は私を殺そうとしてきた。
そりゃ、苦しくて、当然だよね。
死にたくなって、当然だよね。
何してたんだろう、私。
一番大切なものを、
自分で守るどころか、
周りと一緒になって、傷付けてたなんて。
馬鹿みたいだよね。
本当に大切なものが何なのか、
分かってなかったんだ。
命が何より大切だって、
分かってなかったんだよね」
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