ハロウィンへのカウントダウンがスタート!!ってわけで、かぼちゃポタージュヌードルをご紹介。
『か・ぼ・ぽ・た』( かぼちゃポタージュヌードル)です。
―――生まれて初めて頂きました。
かぼちゃにしなやかさが表現されていました。
圧倒的なクオリティーの高さに、これまでの食事を全否定されたかのような衝撃を受けました。
ミルクの個性に素直に呼応するかぼちゃの柔らかさと滑らかさ…、これこそ美を極めた一杯だと語るべき内容であります。
けして派手さを売りにした作風ではありませんが、前例のない創造性と、前例のない上質さで名作中の名作と語るべき感動を提供してくれました。
その珠玉のスープは、鶏白湯を支えとしたかぼちゃのポタージュがベースとのこと。
一見シンプルな素材構成ではありますが、ここに築かれし完璧な風味のバランスこそが、この作品が特別たる所以であります。
口当たりにミルク(牛乳)の個性が柔らかに広がります。
ミルク特有の癖や臭みは感じられず、舌触りにシルク生地のような滑らかさを覚えます。
そんなミルクの個性にかぼちゃの個性はするりと緩やかに重ねられていきます。
そして後味ではかぼちゃらしい柔らかな味わいが、浮かび上がっていくのです。
このミルクとかぼちゃの重量感の釣り合いが実に秀逸!!
それ故にミルクからかぼちゃへと展開する風味の変化があまりにも滑らかに感じられるのです。
―――絶妙なる調和力!!!!
まるで超一流のスイーツを思わす超緻密な構築美が、ラーメンという大らかさのあるジャンルの料理においてなお完璧に完成させられていたのです。
生まれて初めて頂きました。
私がこれまでラーメンにおいて、ただの一度も感じたことのない凄みがこの一杯に存在していたのです。
もちろん世界観や技巧美だけでなく、味わい自体も超一流であります。
かぼちゃという素材を用いたスープに予想する、かぼちゃのざらつきや、独特の癖、甘味の重さなどはここに感じられません。
一つひとつのかぼちゃの実から、かぼちゃの綺麗な味わいの部位だけを取り出し、使用しているようなその味わい・・・、いや、使用しているとしか思えない味わいと表現すべきでありましょう。
かぼちゃの個性が散漫とせず、ブレなくピタッと収まるその味わいは、かぼちゃでありながら風味の輪郭が凛と立ち、キメの圧倒的な細やかさがゆえにポタージュながらも透明感すら感じさせるのです。
実際、店主様に「かぼちゃ、使わない部分がたくさん出ちゃうんじゃないですか?」と尋ねたところ、「そうとう多いですよ」とのお答え。
緻密で贅沢な仕込みに定評のあるこのお店の店主様が「そうとう多い」と語るのです。
これは間違いなく「そうとう」なものでありましょう。
スープは鶏白湯が支えになっていますが、鶏の臭みや野性味といったものは一切感じられず、ミルクとかぼちゃの透明感ある滑らかな表情に内側から肉を与えて支えるといった印象です。
この美肌テイストが本当に凄いのです!!!!
透き通るように美しい肌にして、その内にある温かみを感じさせるようなその質感に、心がぐいぐいと奪われてしまいます。
―――それにしても素晴らしい。
今まで食べてきた数多くのかぼちゃのポタージュスープの中でも、これだけかぼちゃの魅力に意識を集中させ、さらには透き通るような表情と艶の滑らかさを主張するものは他にありません。
一般的なかぼちゃのポタージュに比べるとかぼちゃの重量感こそ弱いかもしれませんが、その反面、かぼちゃの味わいが雑多になっておらず、かぼちゃの魅力に舌のピントがピタリと定まります。
そして一口一口と加速していくように素材感の深みが表現され、心の奥に柔らかに入り込んでいくのです。
このお店らしい素材感の表現が、心の深くに響きました。
まさに美意識や気品を求めたかぼちゃのスープと言わんばかりの完成度だと思えます。
麺をスープに引きつける塩ダレの味わいもまさに絶妙です。
塩気が味わいを引っ張ることはありませんが、一方では塩気によってスープの旨味に締りが生まれます。
穏やかな塩気を感じさせるスープの個性が麺を包み込みます。
そして麺の味わいがむちっとした表情を上品に奏でるのです。
ベースとなるスープがもつ素材感を妨げることなく、しかしラーメンとしての重心をしっかりと定めるこのバランスに、節度ある引き算の美しさを感じさせられるのです。
もちろん麺とスープの調和も完璧です。
麺がその表面にかぼちゃのスープを纏うと、その境界がまるで一体化しているかのようにすら思えます。
しかもそれによって互いの個性が埋もれることはなく、むしろ舌の意識が滑らかにスープから麺へと誘われることにより、両者それぞれの魅力がしっとり明瞭に伝わってくるのです。
麺は食感で気張ることはなく、しかし柔らかさがすぎることもなく、そのもちっとした食感に極まった品格を覚えさせます。
その上質さを極めた性格がこのスープの表情にシンクロし、総合的にも細部的にも完成された料理であることを際立たせるのです
味変にはカレーが用意されていました。
これをスープに加えると、かぼちゃの個性がよりくっきりとボディーを構築し、カレーの味わいがぐっと深くに染みわたります。
スパイス感によりスープの味わいが雑多に拡散することはなく、むしろ芯を感じさせるような、筋肉質な旨味を誘うのです。
驚愕のラーメンですね。
まさに完璧な一杯と言える内容でありました。
もし大好きな女性が、人生において一杯のラーメンしか味わえないのであれば、この一杯を紹介することでしょう。
「か・ぼ・ぽ・た」は私にとって、「これをレビューをできたのなら、いつラーメンレビュアーを辞めさせられても構わない」と思える程の料理でありました。
ラーメンの定義とか、ラーメンらしさといった議論が、まるでくだらないことのように思える程、この料理は完成されています。
ブランドの凄みを象徴し、同時に店主様の実力を証明する一杯でした!!!!
―――この料理、完璧なり!!!!