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美術検定3級にチャレンジする人へオススメの5冊-西洋美術編-

0. 3級の出題範囲と公式本のおさらい

4級と異なる点は単に作家と作品を知っていれば良いのではなく、歴史的な流れや時代背景をつかんでいなければ点が取れないところです。

3級-西洋美術・日本美術の基礎的な歴史的な流れを理解する
西洋美術・日本美術史に登場する作品や作家だけでなく、美術の動向や形式、時代背景など、歴史的な流れについても問われる。
※主な出題範囲:「この絵誰の絵?」「改訂版 西洋・日本美術史の基本」
■出題形式: マークシート問題

以下に公式本の3冊を挙げておきます。『この絵、誰の絵?100の名作で西洋・日本美術入門』は4級の公式本と全く同じです。2冊目に挙げている『西洋・日本美術史の基本』を丸覚えすると大変なので、『美術検定3級問題集 -基本編:アートの歴史を知る』を解いて分からない箇所を押さえて確認するとよいと思います。

 美術検定3級レベルでオススメの5冊-西洋美術編-

1.『増補新装 カラー版 西洋美術史』

まずは、美術出版社の美術史シリーズの中から『増補新装 カラー版 西洋美術史』です。先ほど挙げた3級の問題集を見ると、西洋美術史も日本美術史も1970年代までが出題範囲として掲載されているので『増補新装 カラー版 西洋美術史』は1970年代までしか読まなくてよいと思います。

2.『西洋美術入門 絵画の見かた』池上英洋

4級の本を紹介したnoteで池上先生の本を挙げましたが、それに続いて今回はこの1冊をオススメします。こちらも絵や図が多く解説が親切で、気になったページからサクサク読めます。小難しい専門的な話がないので楽な気持ちでページをめくって下さい。初心者にとって『増補新装 カラー版 西洋美術史』は作品の掲載量が多く情報過多になってしまう可能性がありますが、こちらの本は名画を厳選してくれているので安心です。

3.『西洋絵画のひみつ』藤原えみり

藤原えみりさんの絵画の解説を読んだ人は、間違いなくその日からファンになります。本の帯を見ると現代美術家の束芋さんが「耳元で優しく囁いてくれた"ひみつ"は人間的で魅力的。こんなに面白い見方があったんだ。」と書いています。心に染み入ってくるような優しい言葉選びに心がホクホクしてきます。キリスト教美術の基本や描かれるようになった絵画の変遷を押さえたい人はぜひ手にとって下さい。ルビがふってあるので漢字が読めない小学生でも大丈夫です。

4.『マンガでわかる「西洋絵画」のモチーフ:美術展がもっともっと愉しくなる』池上英洋(監修)

こちらの本は旧約聖書、新約聖書、ギリシャ・ローマ神話、様々なシンボルを解説する4つの章から構成されています。「アダムとイブ」や「サロメと洗礼者ヨハネ」など絵画を鑑賞する上で外せない定番のストーリーをひと通り網羅していますし、「ユリ」や「ザクロ」そして「魚」などの身近なモチーフが絵画で何を表象しているのか知ることができます。図象学(イコノグラフィー)の入門としてオススメです。

5.『まんが西洋美術史2 バロック→印象主義の美術』高階秀爾(監修) 

3級では4級と異なり美術史の流れや時代背景をつかむ必要があるので、この1冊を選びました。これは3冊シリーズの2番目ですが、もちろん他の2冊も余裕があれば読んでいただきたいです。2番目を取り上げた理由はルネサンスまで順調に美術史を勉強した人がバロックに来たあたりからちょっと疲れが出てくるからです。「あれっ?ゴシックとバロックってどっちが時代的に先だっけ...?」となってきます。個人的にはバロック時代のカラヴァッジョが描く『聖マタイの召命』ような劇的な明暗表現が好みです。ぜひバロック好きに育ってください。

今回は美術検定3級をチャレンジする方向けに、公式本と合わせて読みたい本5冊-西洋美術編-をまとめました。本を読み終わったあとに、東京上野の国立西洋美術館の常設展にもう一度だけ足を運んでみてください。「こんな名画がなぜ日本に...?」という感動を味わえますし、日頃はスルーしていたモチーフが目にカッと飛び込んで語りかけてくるかもしれません。


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