還暦花火の詐欺
中学校の同級生の思いつきで、
「還暦になったらみんなで花火をあげよう!」
同級生は二百人はいる。
ひとり5000円一口でお金を集め、還暦になった夏に花火を上げる算段。
ほぼ百万円の花火資金になる計算。
既に実家を離れている私の家にも来た。
母は、「本人に話して、本人から連絡します」
わたしは、ひと口も乗らなかった。
若くして亡くなった同級生もいる。
そこにも参加を持ちかけたらしい。
親族には傷口に塩を塗り込められた気分だろうな。
それを聞いていたから、乗らなかった。
それから経年して。
先日、母から聞いたのは、
「花火資金、持ち逃げされたらしいよ」
開設していた口座は地銀の支店。
地銀同士の金融合併がありそこに勤務している同級生が何気なく調べたら、口座が無かった。
還暦花火の、ひと口のお金を振り込んだ口座は既に解約されていた。
そして、計画していた奴は既に田舎には居ない。百万円に利息。
昔から口だけはうまい奴だったなぁ…と思い返している。
乗らずによかった、還暦花火。
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