前澤じゃんけんの当選確率を分析してみた


1. 前澤じゃんけんとは何か

前澤じゃんけんとは、arigatobankというアプリからLINEアカウントを使って参加できるサービスで、前澤氏とじゃんけんを行い連勝回数によって以下のように貰える賞金が増えます。あいこの場合は連勝記録を止めずに再度チャレンジができます。

賞金

一度でも負けて連勝記録が途絶えると賞金は没収され、再度1からチャレンジとなります。勝負は途中で降りて賞金を確定させることもできます
じゃんけんはアプリ内の広告を見ることによって1日あたり14回程度チャレンジすることができます。※アプリには1日10回までのチャレンジできると記載していますが、システム上にあるアイテムを使うと広告を見ずに追加で1日4回程度チャレンジできるっぽいです。
チャレンジ期間は2023/8/28~2023/9/10(14日間)です。
賞金は現金に換金できないようですが、Amazonでのショッピングなどに使えるらしいです。
こういった怪しいサービスがどうなっているのか個人的に気になったのと暇だったので、どのくらいの確率で賞金が貰えるのか、どういう戦略が合理的なのか調べてみました。

2. 当選確率の計算

①確率を計算する上での仮定

確率を計算する上で以下を仮定します。
・各じゃんけんは独立試行である。(各じゃんけんが後のじゃんけんの結果に影響しない)
・前澤氏がグー、チョキ、パーを出す確率はそれぞれ等確率(1/3)とする。

②1回のチャレンジで1勝以上する確率

負けが出るまでを1回のチャレンジと定義します。1回のチャレンジで1勝以上する確率は、あいこは再度チャレンジができるので、直感で考えると、結果として勝つか、負けるかの2通りとなり1/2になります。
数式を用いて考えると以下の通りです。あいこが出た後に勝つ確率を以下の図のように考えます。

1回のチャレンジで1回以上勝つ確率

あいこが出た後に勝つ確率を無限級数で足していくと、1回以上勝つ確率pは
$${p=\frac{1}{3}+\frac{1}{3}*\sum_{n=1}^\infty(\frac{1}{3^n})=\frac{1}{2}}$$
となり、直感と一致します。
結局このゲームは裏表を当てるコイントスと同じなんですね。

③1回のチャレンジでn連勝以上する確率

②の結果から1回のチャレンジでn連勝する確率は$${p=(\frac{1}{2^n})}$$となります。これを表にしてみると以下の通り。1回のチャレンジだと100円に到達するのもかなりラッキーであることがわかります。

賞金と当選確率

④200回チャレンジして少なくとも1回はn連勝が出る確率

1回のチャレンジだと難しくても何度もチャレンジすれば当選確率を上げることができます。期間内に200回程度はチャレンジできそうなので、N=200回で連勝できる確率を計算してみましょう。
N=200回チャレンジして少なくとも1回はn連勝が出る確率pは、1度も当たらない余事象を考えて
$${p=1-(1-\frac{1}{2^n})^N}$$
となります。これを表にすると以下の通り。

200回チャレンジして少なくとも1回は当選する確率

6連勝する確率は96%の確率で1回は発生するようなので、頑張ってじゃんけんを続ければほぼ確実に300円は貰えそうですね。
一方、1000万円は0.6%なのでほぼほぼ無理でしょうか。。

⑤何回連勝で降りるのが合理的な(利益を最大化できる)のか

前澤じゃんけんは勝負をやめて賞金を確定させることができます。
何回連勝で賞金を確定させていくのが合理的なのでしょうか。
仮に200回チャレンジして勝負を降りる回数を変えた時の賞金をエクセルのマクロを使ってシミュレーションで計算してみました。(コードは6を参照ください)
その結果が以下です。

200回チャレンジした時に降りる回数と賞金の関係

運が良ければ3000円が出るので、リスクを取りたい人は3000円で確定させ、保守的な人はだいたい100~300円で確定していくべきなのかと思いました。
ちなみにチャレンジ回数をもっと増やすことができれば、以下のように合理的な賞金確定タイミングが後ろにずれていきます。保守的な人は赤線の左側の連勝回数で賞金を確定すべきでしょう。

チャレンジ回数と降りる回数を変えた時の賞金

3. とりあえず実際に100回チャレンジした結果

一応自分でもじゃんけんに100回チャレンジしてみました。特に何も考えずに気分でテキトーに出す手を変えて、賞金は一度も確定させずに続けました。その結果が以下の通りです。

最大で5連勝でまあこんなところだろうなという感じです。
連勝の発生確率分布は計算結果とほぼほぼ一致していますね。
あと、100回チャレンジした際に実施できるボーナスチャンスみたいなチャレンジで明らかに連勝しやすくなってるので、そのタイミングで100~300円獲得できれば確定すべきなのかと思いました。(私は300円の挑戦で負けた)

4. 連勝した人のツイート

X(旧Twitter)を見ると3000円は当選している人がいるようです。1万円は怪しいアカウントしか見つからなかった。。。
・3000円当選した人

・3000円当選した人

5. 結論・所感

・200回じゃんけんを頑張れる人で、リスクを取りたい人は3000円で確定させ、保守的な人は100~300円で確定していくべき
・実際にじゃんけんを100回行った結果、連勝の発生確率分布は一応それっぽい指数分布になっていて計算と一致しているように見える
・こういうのはある程度連勝が続くとそれ以上はあからさまに勝てないようにシステムを作ってることが多いのでいずれにしろ3000円くらいで利益を確定した方がいいと思います(何)

6. シミュレーション用のコード

素人が突貫で書いたコードなので冗長なのはご容赦ください

Sub coin()
' 定数の定義
Const N1 As Long = 100
Const N2 As Long = 200
Const N3 As Long = 300
Const N4 As Long = 1000
Const N5 As Long = 2000
Const N6 As Long = 3000
Const N7 As Long = 10000
Const N8 As Long = 20000
Const N9 As Long = 30000
Const N10 As Long = 100000
Const m As Integer = 6   ' 連勝を降りる回数(ここは適当に変えてください)
Const P As Long = 300   ' mで降りる際の賞金(ここは適当に変えてください)

' 変数定義
Dim i As Long   ' チャレンジ回数カウンタ
Dim w As Long   ' 連勝回数カウンタ
Dim MONEY As Long   ' 賞金カウンタ
Dim r As Integer   ' コイントス乱数
Dim resultRow As Long ' 結果を貼り付ける行

' ランダムシードを初期化
Randomize

' ワークシートを指定(必要に応じて変更してください)
Dim ws As Worksheet
Set ws = ThisWorkbook.Sheets("Sheet1") ' シート名を適切な名前に変更

For Each N In Array(N1, N2, N3, N4, N5, N6, N7, N8, N9, N10)
    i = 1
    MONEY = 0 ' 賞金をリセット
    resultRow = resultRow + 1 ' 結果を貼り付ける行を進める

    Do While i <= N
        ' 乱数を生成
        r = Int(Rnd() * 2) ' 0または1を等確率で生成

        If r = 0 Then
            ' rが0の場合
            i = i + 1 ' 試行回数をインクリメント
            w = 0     ' 連勝回数をリセット
        Else
            ' rが1の場合
            w = w + 1 ' 連勝回数をインクリメント
            If w = m Then
                ' 連勝回数がmに達した場合
                MONEY = MONEY + P ' 賞金を加算
                w = 0            ' 連勝回数をリセット
                i = i + 1        ' 試行回数をインクリメント
            End If
        End If
    Loop

    ' 結果をセルに貼り付け
    ws.Cells(resultRow, 1).Value = N
    ws.Cells(resultRow, 2).Value = MONEY
Next N

End Sub

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