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マリ ニジェール川紀行 ジェンネ モプティ トンバクトゥ ガオ
マリ共和国
泥んこ遊びをしているうちにいつの間にか、泥団子づくりに熱中していることってなかっただろうか。子供の頃の話だけどね。楽しかったなあ。遊び仲間に教わりながら、夢中になって泥を手のひらで丸めていたもんだ。
砂が混じるとダメなんだなあ。小麦粉のような感触の乾いた土を水で湿らせて、何度も塗り重ねて団子を大きくしていくのが面白かった。芯に小石を入れておくとうまく作れたような気がする。適当な大きさに固めてから表面を磨くとツヤがでてきた。しかもカチカチに固い。それで完成だ。仲間と見せ合いっこして満足していた。家に持って帰るわけにいかないので団子は崩していったな。はかない遊びだった。
アフリカ大陸。マリ ( MALI ) は西アフリカの内陸国である。
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マリと国境線を接しているのは、北から時計回りにアルジェリア、ニジェール、ブルキナファソ、コートジボワール、ギニア、セネガル、そしてモーリタニア。
国の半分以上がサハラ砂漠だ。砂漠の南側はサヘルと呼ばれ、干ばつが頻発する地域である。首都はバマコ ( Bamako ) 。
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ニジェール川は、マリの西側のギニアから流れ込み、いったん北上し、大きく曲がって南下し、南東側のニジェールに流れ出ている。最終的にはナイジェリアからギニア湾に注いでいる。
今回は左のモプティ ( Mopti )、上のトンブクトゥ ( Tombouctou )、右上のガオ ( Gao ) と、
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左下のジェンネ ( Djenne ) を川下り気分で見ていこう。川の流れは左から上。モプティは右上。
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ジェンネ
衛星画像は、2023年11月18日。紀元前3世紀頃から集落ができた、といわれる。8世紀からニジェール川の水運による交易が発展、下流のトンブクトゥと「双子の姉妹」として繁栄を享受してきた。
13世紀、イスラム教への改宗にともなって泥の大モスクが建設された。もともとニジェール川が運んでくる泥によって、数多くの住居が建てられていたのだ。ジェンネの旧市街は1988年に世界遺産に登録され、「100年後に見られない可能性が一番高い世界遺産」になっている。ズームイン。
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参考衛星画像は、2019年7月23日。中央が旧市街。
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中央下が泥の大モスク。広場、正面の3本の塔が見える。半乾燥地帯なので日干しレンガができる。普通の建物は日干しレンガを積み上げ、壁の表面は泥を塗り固めている。木などの補強材を使っているが、やっぱり雨には弱いらしい。予期せぬ豪雨で大モスクの塔が崩落することもあるそうだ。
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モプティ
ジェンネの下流。現在は、交易の中心がジェンネからモプティに移っている。市街が川に取り囲まれていることから、アフリカのヴェネツィアと呼ばれることもあるそうだ。右上のモプティは、中央下のジェンネから川下170キロの地点。ズームイン。
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モプティは中央。
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右上に空港。
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参考衛星画像は、2023年4月14日。右は水田。
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左は漁港だな。
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トンブクトゥ
モプティの下流。13世紀から15世紀にかけて都市を支配していたのはマリ王国。サハラ砂漠のキャラバンルートで岩塩、織物が、ニジェール川ルートで金、象牙、毛皮が運ばれ、交易が行われ、北アフリカへ輸出された。黄金の王国の主要都市だった。
1324年、マンサ・ムーサ王は人類史に残る金ピカのメッカ巡礼を行った。巡礼の規模については、家臣などの従者6万人、奴隷1万2千人、などという口承の記録がある。家臣は黄金の杖を持ち、奴隷には金の延べ棒を持たせた、さらには10トン以上の金をラクダで運ばせた、という話もある。まあ、途中に立ち寄ったカイロで金を大盤振る舞いして、金の相場を暴落させた、というのは確からしい。
右にトンブクトゥ。ズームイン。
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参考衛星画像は、2023年4月23日。周辺では砂漠化が進んでいる。
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中央がトンブクトゥの歴史地区。
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世界遺産だが、イスラム系武装組織が街並みを破壊するリスクがあり、危機遺産になっている。壊されるたびに住民の手によって修復されているそうだ。
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ガオ
衛星画像は、2023年11月17日。
トンブクトゥの下流。ここでも世界遺産、「アスキアの墓」が危機遺産になっている。15世紀から16世紀にかけて栄えたソンガイ王国。イスラム法にもとづく国を築いたアスキア・ムハンマド王の墓がある。
1494年、アスキア王は800人の騎兵隊、多くのイスラム学者を従え、大金を持参してメッカ巡礼を行った。川の流れは上から下。ズームイン。
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参考衛星画像は、2023年5月1日。右に空港。
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中央上に「アスキアの墓」。
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ピラミッド型の墓が見えるだろうか。これもまた泥の建造物。高さは17m。
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ガオ国際空港。
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ニジェール川
たびたび洪水を起こすが、5,6,7月は減水期である。陸地の高低差が小さいのでジェンネやモプティのあたりに内陸デルタを形成し、広大な沼地、湿原ができる。その変化を見てみよう。ちなみに見出し画像は、トンブクトゥ近くのデルタの様子。
衛星画像は、2023年2月21日。水量が減り、緑が減っている。
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衛星画像は、2023年5月17日。水量が少なく乾いている。
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衛星画像は、2023年8月25日。湿原の緑が増え始めている。
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衛星画像は、2023年11月17日。湿原が拡大している。
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黄金の王国、マリ王国については謎の部分が多く、首都がどこだったのかもはっきりしていないらしい。どれほどのアフリカ的誇張が含まれているのかわからないが、マンサ・ムーサ王の豪勢なメッカ巡礼、すなわちマリ王国の金がアフリカ、ヨーロッパ世界の注目を浴びたことは間違いない。同時に、その後に黄金を追い求めて命を投げうった者たちの数、想像にかたくない。
注記)
a.衛星画像は、欧州宇宙機関 ( European Space Agency : ESA ) が運用する EO ブラウザからスクリーンショットしたものを使用しています。.
b.地図画像・参考衛星画像は、ESRI が運用する World Imagery Wayback からスクリーンショットしたものを使用しています。
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