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掌編

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最後のホモ・サピエンスはきっと野郎で温もり不足で死んでゆく

最後のホモ・サピエンスはきっと野郎で温もり不足で死んでゆく

「国際環境保護局の報告によると昨夜、保護していたホモ・サピエンスの番の雌『イブ』が死亡したとのことです。この番に子はなく、雌の死亡によりホモ・サピエンスの自然繁殖は不可能となりました。保護局は、今後、残った雄『アダム』と手元にある研究用の生殖細胞を使用した人工繁殖を試みるとの方針を明らかにしています。では、続いてのニュースです。」

 特に信心深いわけでもないけれど、『アダム』が最初の人間の男の名

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Like me

私は、私のような生き物なので、

「絶対に許さない」
とか、呪いみたいだ。

去ってゆく背中に、
悪意なく投げつけられた言葉に、
そう呟いたこともあった。

「絶対に許さない」

呟く度に棘が刺さる。
その痛みを無視した。

「絶対に、なんか、無理なのに」

そう思うとかつての自分は哀れだ。

だけど、

そう思うのも間違いなく自分だった。

身体中に食い込んだ棘に、生臭い血を流しながら、呪詛を吐

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Girly angrily

願わくば、

早く帰りたい日に限って、妙な打ち合わせをねじ込まれて、 予定が台無しになることが往々にしてある。
今日もそんな日だった。
社会に出て数年経てば、そんなもんだと飲み込めるものも多くなるけど、それでも心の何処かがささくれだたないわけでもない。

(段取り悪いんだよなぁ)
と、心の中で呟きながら、ただいま、とドアを開ける。

「ねえ!聞いてよ!」
おかえりよりも先に耳に飛び込んできた言葉に

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Can't escape

「逃げたい」
「何から?あたしから?」

止めろ、見せるな、暴くな。
俺を、
そっとしておいてくれ。

「逃げたい」
「何から?あたしから?」
「全部」
「そんなことが可能なのかしら?」

「だってあなたは此処にいたのよ」
「確かに此処にいたのよ」
「それは覆せない」
「あなたの痕跡はあなたが死んでも残るのよ」

「俺が一体何をした!!」

「何もしてないわ」

「ただ、息をして、食事をして、適度

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Love enough

それは、時間にして30分くらいだったと思うけど、
重苦しさが永遠に続くのではないかと錯覚した。
私は、彼の眼を見ることができなかった。
彼は、私を見ていた。
少し前に、髪を切ったことを後悔した。あと数日、どうして待てなかったの。私は、顔を上げることができない。
彼は、私の言葉を待っていた。 

私は、彼が好きだ。過去形にできない。
今も、こうしている瞬間も好きで好きでたまらない。
けれど、相容れな

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世界、或いは箱庭

「何をそんなに苛々してるの」
「どこまで都合よく私を解釈すれば気が済む!!」
「他人の理解は全然足りない?」
「足りない、足りない、何一つとして十全じゃない!!」
「十全であるものなんか、一つとして存在するのか」
「なかったとしても、理不尽だ。何で私だけこんな、」
「『我慢しなきゃならない』って?何を?無理解を?不条理を?」
「全部!全部!全部!!」
「それだけ叫んで、最後の最後に言葉を閉ざすのか

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忘却哀歌

忘れた!忘れた!
本当に忘れちゃったんだ!

本当は何一つとして忘れていない。
その瞬間を克明に覚えている。
小さな擦り傷のような痛みさえも覚えている。

人間は忘れる生き物だと誰かが言った。
忘れなければ、生きていけない。
と、誰かが言った。

だから。

「忘れちゃった!」

家賃の振込み!バイトのシフト!
親の説教!燃えないゴミの日!
行きずりの女の顔!昨日見た映画の結末!

全部全部、忘れ

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ムジュンノムコウ

笑っているけど、笑ってない。
期待するけど、期待しない。
求めているけど、求めない。

「俺はね、ただ、安穏と過ごしていたいだけなんだよ」

どうせ心はこの上もないほど死んでしまったんだから、せめて。

だって、理解されない。
この胸に上る痛みも何も。

ならば、言葉も何もかも捨て去ってしまえば、
心は。

「お前、それを本気で言ってるのか」

静かに、問いかける言葉に、
本気だよ。
と薄く笑って

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---CUT HERE---

「○○ちゃんは、工作が好きなのね」

 幼稚園の時に、先生に言われた言葉だ。

 確かに、私はお友達の誰よりも手先が器用だった。
 お絵かきも、粘土遊びも、砂場でお城を作るのも上手にできた。
 なかでもいちばん得意だったのは鋏で切り絵を作ることだった。

 それに気づいたのは小学4年生の時だった。

(先生、違うわ。私、工作が好きなんじゃないの)

(鋏で切るのが好きなのよ)

 高校生の時、観た

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mail to (business)

 明日の方が近いくらいの時間帯に、ひっそりと静まり返ったオフィスでキーボードを叩く。エアコンやプリンタが駆動している中で、その音はことさら大きく聞こえた。あまりにも静かなので、カバンの中のスマホが震える音もきちんと聞こえる。通知がやけにたくさん届いているようだった。
 ディスプレイに表示されている日付と時刻に、ああ、と合点がいった。
 今日は誰もが知る国民的アニメ映画と言っても過言ではない映画の地

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Justice in my hand

Justice in my hand

 Are you ready ?

「私、何か間違ってる?」
 ああ、萎える。
 僕は目の前に座る自分の彼女の顔を直視することができなかった。
 この前オープンしたばかりの雰囲気のいいカフェで、こだわりのマシンで淹れたというエスプレッソの香りも台無しだ。本日のケーキも、本当はきっと美味しいはずなのに、途端に味気なくなってしまった。丁寧に作られたはずのケーキに、その後ろに見える店員さんに声にならない

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under full bloom of the cherry blossoms

夢を見た。

裸足の女が歩いている。
白いノースリーブのワンピースを着た女が歩いている。

桜が咲いていた。
手を伸ばせばすぐ届きそうな距離で、桜の花が咲いている。

その枝先をくぐるように女は歩く。
まるで踊るように。

俺はしばらく、その様子を遠巻きに眺めている。
女の周りが淡い光で彩られ、そこだけが夜の中で浮かび上がっている。

女が振り返った。

呼んでいる。
手招きしていた。

俺はおそ

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Please become a substitute.

side M

床に放られた携帯が震えている。
俺は無視してコントローラーを握る手を離さない。
とうの昔にクリアしたRPGを再び始めてもう三日。

ずいぶんと長いこと携帯が震えて、不愉快。
相手が誰かはわかってる。
ようやく止まった携帯に、手を伸ばして番号を確認する。
名前は表示されない。
電話帳からアドレスと番号を消したのはもうずっと前のことだ。

88秒、ご苦労さん。
着信履歴はそいつの番号で

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alphabet

01.Around my sun
 私はあなたの周りを公転する惑星。
 
 あなたに焦がれ、何度、その周囲を回転しようとも、
 決して、交わることはないのです。

02.Before meets you
 あなたに出会う前のことを思い出せない。
 あなたに出会う前のことを思い出せない。

 どうやって息をしていたのか。
 世界は何色に見えていたのか。

 あなたに出会う前のことを思い出せない。

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