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ふらり・ゆらり・下北沢 その2

その1はこちらです

グラスの中のアイスティーが残すところ二口分になったところで、次はどうしようかと考える。だって時間はまだまだたっぷりあるのだ。
やっぱり謎解きしてみようかな。それとも、昨日眠る前にネットで見つけたシーシャ(水煙草とか水煙管って呼ばれるもの。わたしは不思議の国のアリスでイモムシが吸っているアレっていうイメージ)のお店で煙草デビューかな。

結局ここと決定できないまま、クッキーを食べ終えてからアイスティーのお供にしていた『詩と科学』(湯川秀樹著)を棚に戻して店を出た。鞄が重くなるのが億劫で購入しなかったけれど、思えばあの時してしまえばよかった。


さっき通ったかもと思う道をぐるぐるしながら、ナゾビルをまた発見できたら重畳。そう思い歩きだしたけれど、極度の方向音痴のわたしにとってそんなラッキーは滅多にないことを自分で分かっていた。
だって、全部がさっき通った道にも見えるし、ひとつもそんな道なんてないようにも見える。不思議。謎すぎる。
こんなに不思議な謎がすぐそばにあるのに、わざわざ謎解きをしなくてもいいか、なんて思ってたからだろうか。再びナゾビルに出会うことはこの日なかった。


歩いて歩いて、次に見つけたのは、B&Bという本屋さん。ネットでシーシャ屋さんを見つけた時に、この店名も見かけた気がするな、よし行ってみよう、と暗い階段を下りた。

階段を下りた先で、息をついた。次から次にこんなにわくわくしてしまったら、心臓がもたないぞ、と思ったのだ。
入口に積まれた本達以上に、透明なガラスのドアの向こうの空間がわたしにそう思わせた。普段行く本屋とは、匂いも温度も全然違う場所だ。
自分が入って本棚の間を歩くことで、なにか目に見えない、ぎゅっとここに詰め込まれたものを崩してしまうような、そんなイメージが浮かんでしまった。

ドアを開ければ、予感は間違っていなかった。人の匂いがしない。紙の匂いしか、しない。その所為で、恐らく数字ではそこまで低いわけではないはずの室温が、やたらとひんやりとして感じられる。
奥に進めば、店員さんが二人とお客さんが一人、わたし以外の人がいた。それでも、やっぱり人の匂いを感じないと思ったのは、よくある本屋との違いで、手書きのポップがないからかもしれなかった。
本そのものが、静かに黙って、誰かに背を触れられて引き出されるのを待っていた。


ダーウィンルームで我慢したのに、結局ここで本を買ってしまった。正確には、同人誌を5冊と、分厚い文庫本(B&Bの店頭限定販売の本)を1冊。こういうところ以外で出会えそうにないと思ったものばかりだったから、つい。
荷物は一気に重たくなって、外に出れば日はゆっくりと陰ってきていて。さぁ、あとは無事に帰るだけかな、と考えた。

鞄を肩に掛けなおした瞬間に、撤回。
この本を読めるどこかへ行って今日を終わりにしようと決めた。

ひとつめのBは本(Book)のBです。もう一つは、このお店で飲めるお酒の頭文字です。わたしはまだあまり美味しさを解せていないので頂きませんでしたが、Bから始まるアレがお好きな方はぜひ。
もう少しだけ続きます。

2023.12.23 追記
なにを続けるつもりだったのか、もうなにも思い出せません。陳謝。

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