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2005年以降に確定した少年無期懲役囚 【後編】

少年無期懲役囚前編の続き
今回の企画は漂泊旦那様『犯罪の世界を漂う』を参考にさせていただいた。
企画の趣旨を伝えたら快くOKしてくださり感謝。
では続きをどうぞ。

⑬寝屋川万引き強殺

2007年10月6日大阪府寝屋川で工員の19歳少年がアルバイトの15歳の少年を誘い「酒が飲みたいから万引きしよう」とコンビニで6400円相当の商品を万引きし、目撃していて追いかけてきた店員ともみ合いになり工員19歳がナイフで胸を刺して一度は通行人に取り押さえられたが逃走。店員はまもなく死亡し少年らは同日に逮捕された。パニック状態で刺したから殺意はなかったと主張したが至近距離から力いっぱい刺したと殺意の認定。
2008年3月18日大阪地裁で無期懲役判決
2009年2月26日大阪高裁で控訴棄却
2009年11月11日上告が棄却された。
15歳少年は中等少年院送致の保護処分
【読売08.3.18夕】

⑭大阪大分強殺強盗致死

中国籍の留学生の19歳は他一名と共謀し、2001年12月26日大阪市のホテルに呼び出した風俗嬢をテープで手足を縛りナイフで刺殺しカードを奪った。
2002年1月18日大分にて他四名と共謀し建設会社社長宅に押し入り妻を棒で殴り包丁で胸を刺して重傷を負わせ、社長の腰を刺して殺害した。2002年2月7日に逮捕。共犯者二人は逃亡し指名手配された。
強盗殺人、強盗致死などで起訴された。
「わずか三週間の間に同種の事件を起こし犯罪傾向は矯正不可能なほどに深刻化している」と大分地裁で死刑を求刑され2005年4月15日に無期懲役が言い渡された。(共犯一名も無期、もう一名は懲役14年)
裁判長「捜査と裁判では進んで供述した。殺人に関しては騒がれたら殺害するという黙示的な共謀。犯行時未成年で矯正の可能性がないとはいえない」
2007年2月26日福岡高裁で控訴棄却
2009年12月16日に上告棄却された。
【読売05.4.15夕】
あまり知られていない少年の死刑求刑事件である。

⑮浜松暴走族メンバー仲間割れ強殺

2008年12月10日浜松市で暴走族のメンバーだった土木作業員18歳は友人と共謀し暴走族の幹部だった17歳を雑木林に呼び出してゴルフクラブで滅多打ちにし更に車で轢き殺害、現金入のハンドバッグを奪った。
被害者から干支の置物を販売するように強要されて、断ったが暴行されて恨みを持っていた。
犯行日は売り上げを納める日だったが用意できずにまた暴行されると思い、やられる前に殺ろうという動機の犯行だった。10日後に逮捕。
2009年10月21日 静岡地裁浜松支部で無期懲役判決
2010年5月16日 東京高裁で控訴棄却を上告せずに確定
共犯の友人は求刑無期の懲役30年を控訴せず確定している。【読売静岡09.10.22】

⑯フィリピン少年連続強盗事件

2009年1月31日静岡県沼津市でフィリピン国籍の19歳と18歳の少年二人は帰宅途中の男性をナイフで何度も刺して殺害。財布の入ったリュックを奪った。
2月になり別件の強盗傷害2件と窃盗で逮捕されていたが24日に本件で再逮捕された。
2010年10月8日 静岡地裁沼津支部で19歳に無期判決
2011年3月14日 東京高裁で控訴棄却
共犯の18歳は殺意の認定がされずに強盗致死で起訴
5~10年の不定期刑が確定している。
【読売10.10.9】

⑰青森母姉弟殺人放火

2008年1月9日青森県八戸市で一家三人が殺害されて家の一室が全焼した。現場の状況からすぐに殺人事件と断定し姿の見えない長男(18)が参考人として捜査され翌日朝にJR八戸駅で刃物を持っている所を逮捕された。
被害に遭った母親は酒癖が悪く、長男は母親の交際相手とも合わず、弟と妹はこの交際相手になびいていたことで殺意を感じ以前から殺害を計画していた。
裁判では弁護側は前頭葉てんかんによる影響と主張したが鑑定では認められず、精神鑑定で軽度から中等のパーソナリティ障害は認められた。また実父が逮捕されて警察に連行される姿を見た記憶や酒癖の悪い母親など生育環境にも問題があったことも触れられた。
2009年3月27日青森地裁で無期懲役判決
2012年11月29日 仙台高裁控訴棄却
2013年12月24日 上告棄却
【読売青森09.3.28】

⑱吉祥寺女性刺殺事件

2013年2月28日深夜武蔵野市吉祥寺で通行中の女性が背中や左手首をナイフで刺されて殺害され財布の入ったバッグを奪われた。
目撃情報から早朝にルーマニア国籍の少年(17)を事情聴取し、一度は別件で逮捕するも姿をくらましたが3月1日に再逮捕。共犯の無職少年(18)は知人に付き添われて出頭し3月3日に逮捕された。
2月の上旬ころに知人を介して知り合い、遊ぶ金が尽きて人を刺して金を奪おうと合意しての犯行だった。

18歳無職少年
2014年2月7日 東京地裁立川支部 無期懲役
2014年7月10日 東京高裁 控訴棄却
17歳ルーマニア少年
2014年3月4日 東京地裁立川支部 無期懲役
2014年9月25日 東京高裁 控訴棄却
共に上告せずに確定
【読売14.3.5】【読売14.2.8】
犯行時17歳の無期確定(刑の緩和なし)は2例目
実名顔写真を週刊新潮が掲載したものがネットで拡散したのでこの事件を知ってる人は多いのではないか。
個人的には他にも沢山ある重大な少年による強盗殺人も取り上げてほしいものたが…

⑲京都市北区知人男性強殺

2013年9月26日京都市北区のマンションに19歳の少年が侵入し住人の男性を台所の包丁で胸などを刺して殺害。携帯電話や財布を奪った。少年は3日後に再び被害者のマンションに侵入し犯行に使った包丁やマンガを持ち出した。
10月15日に9月24日にオートバイを盗んだ件で逮捕。その後11月4日に強盗殺人で再逮捕。遺体は被害者と連絡が取れなくなっている事を心配した知人により発見された。
この被害者と少年は同じ児童養護施設出身で手紙のやり取りなどをして近しくなり被害者宅に泊まりにきたりしていた。借りていた携帯電話を返したくなかった事が理由というなんとも言えない事件。
被害者宅には児童養護施設の後輩が何人も訪れていた。
2014年7月14日 京都地裁 無期懲役
2015年3月17日 大阪高裁 控訴棄却
2015年8月25日 上告棄却
【読売14.7.15】

⑳NPO法人代表女性強殺

2015年4月9日沖縄市のNPO法人事務所兼自宅に盗み目的で18歳の少年が侵入し、代表の女性に見つかり包丁で刺殺。現金の入ったバックを奪い逃走。過去にも盗みで侵入した事があった。
同日に被害者の長女が帰宅し通報。少年の指紋が検出され11日に指名手配され、携帯の電波から愛知県にて同日に検挙された。他にも沖縄で数件の窃盗を繰り返していた。
弁護側はADHDの影響と計画性がないことを主張したが被害者の長女は厳正なる処分を求めた。
かなり強い力で刺していること、首も絞めていることなどから強い非難に値する。ADHDの影響は小さいと2016年1月22日に那覇地裁で無期懲役判決を控訴しないで確定した。【読売16.1.23夕】

㉑船橋18歳少女殺害

2015年4月19日千葉県千葉市で18歳の少女は他三人の男と共謀し同級生の少女(18)に声をかけ車に乗せて手足を縛り暴行し金品を奪った。日付が変わった頃に芝山町の男らが事前に掘ってあった穴に、被害者少女を顔や手足を粘着テープで縛った挙げ句に生き埋めにし殺害した。
金銭や洋服などの貸し借りのトラブルから加害者少女が知人の男らに声をかけて実行した。男らは被害者とは面識もなく16歳の少年(強盗殺人は不起訴で家裁送致)も含まれていた。
加害者少女が犯行を匂わすようなLINEを知人に送っていたことから警察に情報提供され24日に三人が逮捕され残りの一人も同日に出頭して逮捕された。
2017年2月3日 千葉地裁で無期懲役判決(判決時19歳)
2018年12月11日 東京高裁控訴棄却
2019年6月3日 上告棄却
【読売千葉17.2.4】
共犯の男二人も無期懲役が確定(逮捕監禁、強盗強姦、強盗殺人等)した
※この事件が「少女初」とか「最年少無期」などの情報が散見されるが事実とは異なるので注意

㉒茂原市老女強殺

2018年2月26日千葉県茂原市で18歳A、18歳Bと17歳Cの三人の少年が民家に侵入し就寝中の老女に暴行を加えて約1万円を奪い包丁で首を切り殺害した。
同居中の長女は事件時に入院中だったが近所に住む長男の妻が訪れて事件が発覚し3月2日に3少年は逮捕された。BとCは他の少年らと数十件の窃盗事件を起こしていた。
千葉地裁
A 2019年1月24日 無期懲役
B 2019年10月2日 無期懲役
C 2019年5月31日 懲役20年(求刑無期、強盗致死認定)
東京高裁
A 2019年 6月27日 控訴棄却 上告せず
B 2020年 6月3日 控訴棄却
C 2019年 10月28日 控訴棄却 
最高裁
B 2020年12月16日 上告棄却
C 上告の有無は不明だが2020年6月までに確定
3少年に無期懲役が求刑される大きな事件だがメディアでの扱いは小さい。
【読売千葉19.1.25】【読売千葉19.10.3】

㉓名古屋大学女子大生殺人

2014年12月7日名古屋市昭和区のアパートで19歳少女が千種区に住む知人の女性を手斧で殴りマフラーで首を絞めて殺害した。被害者女性とは宗教の勧誘で知り合い当日は少女の方から話がしたいと誘っていた。同月13日には被害者宅の郵便受けに可燃性の液体に火をつけて放火したがすぐに発見され消し止められた。
少女は2015年1月27日に逮捕されたがこの事件の前にも下記の事件を起こしている。
2012年5月と7月に同級生にタリウムを飲ませて一人に加療9ヶ月の神経障害ともう一人にも神経障害と視力低下を負わせた。
2014年8月30日宮城県でパート女性宅の縁台に点火した火炎瓶を置いたが近所の人に消し止められた。人違いにより家を間違えた末の犯行。
2017年3月24日 名古屋地裁 無期懲役
2018年3月23日 名古屋高裁 控訴棄却
2019年10月15日 上告棄却
少女は1997年に神戸市で発生した少年事件に深い関心があったとされている。
【読売17.3.25】

㉔茨城女子大学生殺害

2004年1月31日茨城県阿見町で女子大生が行方不明になっていた事件で迷宮入りかと思われたが、知人に事件をほのめかすような事を言っていた事から先に犯人グループの一人のランパノ・ジェリコ・モリが逮捕された(後に無期確定)
事件はフィリピン国籍の三人が散歩中の女子大生を車で拉致して乱暴の果てに首を切り殺害し川の近くに遺体を放置したというもの。共犯の当時18歳の少年も2019年1月24日に逮捕された。
2021年2月3日 水戸地裁で無期懲役
弁護側は犯行グループ内では最年少で従属的な立場だったと主張したが、乱暴することを持ちかけたのは被告でお互いが同意の元で犯行に及んだと認定された。控訴せずに確定した。
もう一人の共犯の当時19歳は国際手配中で逮捕されれば無期懲役が求刑されると思われる。
【読売茨城21.2.4】

㉕福島矢祭町祖母強殺

2022年2月9日から10日かけての深夜に福島県矢祭町の建築関係自営業S.K(19)は塙町に住む祖母の家に現金を奪う目的で侵入し、祖母に見つかったために鉄パイプで頭を何度も殴打し殺害。キャッシュカードを奪い複数回現金300万を引き出した。ATMの引き出し履歴から同年3月1日にS.Kを逮捕し5月に逆送が決定し5月18日に強盗殺人や住居侵入などで起訴され、福島県初の特定少年として実名が公表された。
同年9月15日福島地裁郡山支部で無期懲役判決
裁判長「更正できないのではなく、今後の服役の中で更正してほしい」
S.Kは控訴したが同年11月18日付けで取下げて、特定少年として初の無期懲役確定となった。
【読売福島22.9.16】

以上が2005年から2022年までの少年の無期懲役確定事件になる。
法務省が公表している【無期刑受刑者の仮釈放の運用状況等について】によると令和3年末時点の仮釈放の平均受刑在所期間は32年10月となっている。

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