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㉔【誤判】財田川事件 谷口繁義(19)

この事件は「四大冤罪死刑事件」として、沢山の方が調査しネット上で公表しているため、ここではわかりやすくまとめたいと思う。

財田川事件とは

昭和25年2月28日深夜2時、香川県財田村のブローカーK方に金員強取の目的で侵入し、包丁で刺殺し13300円を奪った事件。
谷口繁義は同年4月2日に神田農協強盗傷人事件で逮捕勾留され懲役3年6月が同6月30日に確定。
その確定前に別件の窃盗で6月29日に逮捕勾留され、更に暴行脅迫での逮捕を経て、同8月1日に本件、強盗殺人で逮捕された。
(この時代は不良少年を捕まえてきて拷問で自白させるケースが多かったのではないか?と同年代の少年の冤罪事件をみても疑いの念を抱いてしまう)

昭和27年2月20日 高松地裁丸亀支部 死刑
昭和31年6月8日 高松高裁 控訴棄却
昭和32年1月22日 最高裁 上告棄却
【判例時報1107号】略称は【判時】
【刑集37巻6号】
【昭和27年2月21日四国新聞】
【昭和32年1月23日読売香川版】

再審請求と棄却を繰り返しやっと再審開始

昭和32年3月30日に再審請求をしたが、翌年3月20日に棄却(谷口氏の父からも最高裁に再審請求されているが棄却)
昭和44年4月9日に再び再審請求。昭和47年9月30日に棄却。昭和49年12月5日に抗告棄却。
昭和51年10月12日最高裁第一小法廷は棄却決定を取り消し高松地裁に差し戻し
ズボンに付着した血痕、自白内容の不合理な変移などを理由に再審請求を求めていたがついに昭和54年6月7日に再審開始が決定した。
なんとも気が遠くなる道のりであったろう。
【昭和54年6月8日読売新聞】【判時1107】

昭和59年3月12日ついに無罪判決下る

真実性を疑うべき理由
①犯行状況の供述が取り調べの進行に変転し記憶違いとして看過出来ない食い違いがある(被害者を二度突きした件、被害者の胴巻きの置き場所など)
②被害者の胴巻きに血痕が付着していない
③被告人がはいていたと自白する靴を押収しながら証拠として提出しないのはサイズに若干相違があるため
④凶器の刺身包丁が発見されていない
⑤奪取した金員8000円は護送中に密かに車外に投棄したとすることの裏付ける証拠がまったくない。

◆判決理由骨子
1、谷口の自白や手記は真実性に疑いがある。有罪の証拠とはならない。
2、犯行時に着用していたとされるズボンの血痕は付着の時期や着用の事実を確定出来ない。
3、他に谷口氏を有罪とする証拠がない。

【昭和59年3月12日読売新聞夕刊】

この無罪判決はD1-Lawにも収録されている。
【判例ID:27915572】

※余談だがこの件が無罪になり、四国での少年死刑囚はゼロになった。


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