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村上春樹長編ミリしらやっつけ感想その2「アフターダーク」編

前回、なんの深い考えもなくペッと挙げたこちらを、私からすると本当に沢山の方に読んでいただきました。嬉しかった。(埋め込みなんて機能もはじめて使った)
これがプチバズリというやつなんでしょうか…人生最初で最後の。読んでくださった方どうもありがとうございました。

そんなこんなで見事に味を占めて、二冊目の村上長編を買ってみました。
シリーズになるかどうかなんて知らんけどとりあえずその2「アフターダーク」編。
おつむが弱いので考察とかできませんので、とりあえず箇条書き戦法は変わらずでいきます。

そうそう、なぜ「長編」ミリしらなのか?というのも、上記の記事でもちらっと触れた「父の遺品」が、エッセイと短篇しかなかったからです。
私が、大切に大切に読んできたその遺品たちというのはこちらの四冊。
・レキシントンの幽霊
・女のいない男たち
・やがて哀しき外国語
・風の歌を聴け

もうこの四冊は思い入れが深すぎる。そんでもって、素直に「えっ普通におもろいやん」と感じたので、その後、個人的に読んだものも全部エッセイか短篇、もしくは翻訳だったのです。(うずまき猫とか空飛び猫、猫を棄てる、人生のちょっとした煩いなど)
で、なぜか長編は一切読んだことなかったので、長編ミリしらシリーズと相成りました。今思えばこの四冊、村上入門編としてかなり優秀なんじゃないでしょうか。生粋のハルキストのみなさま方、どうでしょう。(パパありがとう。)
この四冊については、気が向いたら別で語りたいと思います。

前置きが長くなりましたが、「アフターダーク」、テキトー箇条書き感想に参ります。

・そもそもなぜこの本を選んだのか。古本屋さんで村上コーナーの前に行き、ハードカバーの色味が良いなぁと思ったから。あとハードカバーって、文庫本と違ってあらすじとか載ってないから、余計な先入観なく、頭まっさら、0から読めるのでこれはこれでいいですね。(今さら)

・読み終わったとき(読んでる途中も)、えっこれ本当に村上春樹?って表紙を何度か見返してしまった。

・全体通して、めっっっちゃくちゃ読みやすい…それこそ村上初心者に優しいよ。。なんか現代文の教科書に載っててもおかしくないというか、中高生が読書感想文書いてそうなかんじというか…(あるいはそういう目的で書かれたものなんでしょうか?)
正直、なんも知らん状態でノルウェイの森読み始めたら、その性描写とか奇天烈さ、独特な女性像と「いかにも」という女言葉、そんなものたちに対してアレルギーになること不可避なんじゃないかと思うけど(実際そういう人いそう)この作品は全然そんなことありません。
学生時代に教科書で読まされた「カンガルー日和」に出てくる女性、めっちゃ嫌だった記憶あるんですが、もしこの作品を先に読んでたら、もっと早く村上春樹好きになってた気がする。

・あくまで主観ですが、同じ村上でも村上龍作品の雰囲気にちょっと近い感じがした。「空港にて」という短篇のことを思い出した。雑多な都会で、次から次へと、いろんな人生が現れては消えていくかんじというか。
デニーズとかサザンオールスターズとか、有名で身近な固有名詞がいっぱい出てくるからというのもあるかな。
夜中の喫茶店で、ぼーっと人間観察してるかんじの心地良さがある。
それこそノルウェイの森よりこっちの方が映像化しやすいんじゃないの?

・出てくる女性陣が「ネチャネチャ」してなくて、いい。男性陣も「やれやれ系」じゃないから読みやすいです。
マリちゃん可愛いし、中国人の娼婦の女の子も可愛い。私のなかで一番好きな村上女性キャラは問答無用でドライブ・マイ・カーのみさきちゃんだったのですが、マリちゃんも良い。「~だわ」「~のよ」をあんまり言わないところが好き。カオルさんも良い。
(みさきちゃんにスポットを当てた長編が読みたいです。けど、村上世界として、こういう…所謂サバサバ系女性は、長編ではあまり活躍させてもらえない気がする。好きなのにかなしい)

・これは完全に、一介のオタクによる個人的な感想ですが、高橋くんのルックスと雰囲気に、どことなく、当方最推しである宮本浩次を感じてニヤニヤしてしまいました。めっちゃ似てるってわけじゃないし口調も全然違うんだけど、纏っている匂いが近いかんじです。試しに、本文から高橋くんの特徴を挙げてみると…↓
・ひょろりと背の高い、若い男
・髪はかなり長く、ところどころほつれている。つい今しがたどこかの深い藪をくぐり抜けてきたのかもしれない。それとも髪をくしゃくしゃにしていることが、彼にとっては自然な、心安らかな状態であるのかもしれない(ここめっちゃ好き)
・痩せているが、スマートというよりは栄養が足りてないかんじ
・黒い楽器ケースを持っている。中身はトロンボーン
・道に迷った性格の良い、しかしあまり気の利かない雑種犬のような雰囲気(ここもめっちゃ好き。若い頃のみやじは私の中で、鼻がピンクで可愛くて尻尾と耳はシュッとしてる、日本由来の雑種犬のイメージだったのです(どうでもいい情報))
どうでしょう。どことなく、若い頃の宮本を感じませんでしょうか。別に背は高くないんだけれど、音楽家というところが一緒だし、特に髪の毛と雑種犬の描写にそれっぽさを感じる。
同好の士がおりましたらぜひご一読ください。

・娼婦の女の子を殴った男の結末は書いてないけどいいの?ご想像にお任せ系?
・それでいくと、マリと高橋の二人は、村上作品としては(たぶん)珍しく、ハッピーエンドというか前向きな終わり方で、読後がさらっとしていて良かった。

・そしてこれも一介のオタクによるチョイスですが、この本のテーマソングはCoccoの「ウナイ」で決まりです。(たしか姉妹という意味。)
マリとエリの最後のシーンにぴったり。よろしければご一聴ください。

・コムギとコオロギ、カオルの会話シーンが映画の脚本みたいになっていて新鮮。急にこのシーン出てくるにも関わらずとても自然。さすが。

・それでも、今回は純文学というかんじではないなぁと思った。とても読みやすいし爽やかなんだけれど、歴史に名が残るのは、きっとノルウェイの森のほうなんだろう。上手く説明はできないけど…
とにかく、別の切り口でも面白いお話を書く方なのだなぁ、と。村上さん、さすがです。

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