アメリカで格闘技だけをしていた話
記念すべき1つ目の記事です。
私の脳内でタイムリー、なおかつ記憶が鮮明な物から届けていこうと思います。
少しばかり長くなりますがご容赦ください。
ラスベガス修行のきっかけや目的の話です。
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ジョンの言葉に自分は大きく突き動かされた。
2022年の3月1日から5月1日まで2ヶ月間、ラスベガスで格闘技だけの生活をしにいきました。いわゆる海外武者修行というやつです。格闘技に詳しくない人はそもそも何故アメリカに行くのかということが気になるところでしょう。答えは簡単で、市場があり沢山のお金が動いているから、そして強い選手が集まる実力主義の市場であるからです。総合格闘技(以下MMA)は日本でも大きな大会が行われていて近年一般の方にも身近になってきていると感じます。しかし根本的に競技人口の少なさやカルチャーとしてのMMAを見ると北米の足元にも及びません。
自分は日本で修斗という競技(競技というのがミソ)をやっています。修斗で戦い修斗の定めるタイトルを2つ獲りました。少し話がそれますが自分の格闘技キャリアは順風満帆ではありませんでした。平たく言うと大きな怪我を負い20代前半というアスリートとしての旬の時期を格闘技をせずに過ごしました。それでも格闘技をやめなかったのは格闘技以外に楽しいことがないからです。
で、話は戻って自分の好きなこと、つまり格闘技に時間を費やしてるうちに格闘技を仕事にしたいと思うようになりました。好きなことを仕事にしてお金を貰うって事が自分の中では最高の幸福度の高さだと思っているからです。つまりファイターとして戦う事で稼ぐ、そこに美学を感じたんですよね。そうして考えた時に自分が稼ぎたい額を提示してくれる市場は北米にあったのです。そして額に見合っただけの実力を兼ね備えたファイター達が鎬を削り戦いリスペクトをされる。だから自分はUFCに行きたい。UFCで勝てば稼げる。UFCに行けばVISAもおりる(らしい)。UFCで勝てば自分の努力が実を結ぶ。UFCで勝てば自分の存在価値を証明できる。結局全ては自己承認欲求ですがそう思い続けて格闘技を続けてきました。そして勝ち星を重ねていく内に日本を飛び出して海外に挑戦できる兆しも少しだけ見えてきました。
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しかしそこで自分は今すぐに海外で試合をすることではなくて
アメリカへ単身武者修行に行くことを決めたのです。
アメリカに行くことの目的は大きく2つ。
ひとつはUFCファイターとスパーリングをして彼らの強さを身をもって体感すること。
もうひとつは現地のファイターがどのような練習、減量、調整、果てはどのような生活をしてるのかリサーチをすること。
つまりは全て「視察」です。
結果としてこの2つの目的は果たせたと言っていいでしょう。※後々別の記事に詳しく書いていきます。
もし仮に海外の試合が決まったとして、いきなり試合をしに外国に飛び込むよりも現地での生活や練習の経験があるのとないのでは経験があることは大きなアドバンテージです。海外で試合をした経験のあるファイターに聞く話にも日本では当たり前に出来ることが出来なくて苦労したと言う話もチラホラ聞きます。例えばブラジルで試合をする選手が最後のドライアウトをしようとバスタブにお湯を溜めようと思ったらホテルのシャワーからお湯が出ないというトラブルがあったと。その選手は日本から持参していた電気ケトルでお湯を沸かしてちびちびと浴槽に入れて熱湯風呂を作ったと。極端な一例かもしれませんが日本での当たり前が通用しないのが海外。だからこそ経験は大きなアドバンテージになります。どんな事が起こりうるか予想が出来れば備えられますからね。異国の地でしっかりと生き残る為の力をつけることが必要です。
同じ考え方を格闘技の練習に当てはめましょう。(いやこっちがメインか笑)外人と組み合った、外人と殴り合った、外人と関節を捻りあったり首を絞めあった、こうした経験があるのとないのとではやっぱり経験があるのがアドバンテージ。外人特有の身体の強さやしなやかさ、骨格や体型を生かしたテクニック、知ってると知らないでは大違い。
したがって今回のアメリカ修行をするにあったって自分に課した条件や課題は以下の通りです。
現地にしっかり馴染む為に2ヶ月間
1人で行く
自分の金でいく
スパーリングはマストで行う
メニューを記録として残し日本の練習にフィードバックをする
自分のファイトスタイルにアクセントを加える
ざっとこんなところです。まあ何当たり前のこと言ってんだ的な事もありますが(笑)これに関して補足を入れると「自分の金で行く」っていうのは自己投資です。スポンサーに金銭を援助してもらう事は出来たのかもしれませんが、今回の資金は今まで自分が戦って稼いだファイトマネーやスポンサーマネーを使いました。自分の気持ちの問題かもしれませんが覚悟と緊張感を持ってアメリカに行きたかったんですね。
「1人で行く」のも似たような理由です。行くジムにはいくつか候補がありました。その中で日本人同士で群れる事がないように1人で、なおかつ日本人がいない、と言うのを条件にしました。しかし結果的に向こうジムには日本語を喋れる選手がいて彼女に助けてもらう事もしばしばあったのでここまではする必要がなかったと思いました(笑)いざという時にとても助けてもらったので。
肝心な格闘技的な条件はスパーリングを中心に行うこと。英語がわからない喋れないアジア人が単身で乗り込んで親身にあれこれ教えてもらえるとは最初は思っていなかったからです。スパーリングでしっかりと実力を示して認められて始めて教えてもらえるだろうと思っていたので必ずスパーリングで力を示すことを一貫して意識しました。
そしてもうひとつ、向こうのプロ練の内容を記録として残して日本でも同じように反復練習をすること。自分がその技術を日本で教えられるようになるまで反復する事で確実に会得する事ができます。そうすることが自分の格闘技の成長になると思ったからです。そして自分のファイトスタイルにアクセントを加えること、もっと詳しく言うなれば自分の長所や独特のテクニックは消す事なく更に出来ることの幅を増やす。自分の経験値から言えるのはトップ選手や本当に強い選手は「他の選手が真似できない独特の何か」を持っています。その独特の何かが軸となり他の攻撃が生きてくるわけです。例えば僕のスタイルでいう独特の何かとは柔道で培った足払いでのテイクダウンでしょう。詳しくは自分試合を見てみてください。そしてそれを軸に攻撃のパターンを増やしていくことが今の自分には必要でした。
性格的に慎重な自分にはこれくらい入念な下調べが必要でした。「試合なんていつなんどきでも受けて立つのが格闘家だろ」って考え方もありますが準備をする時間があるとないでは結果に大きく影響すると考えます。というか自分は天才ではないので入念な準備をしないと勝つことはできないのです。今のレコードを考えるとこれから戦うであろう相手に楽な選手はいないので尚更です。
そして27歳という年齢は格闘技選手にとって若い方ではない。チャンスを棒に振るとか勿体無いとか言われるかもしれません。
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だけどここで実戦から離れてでも修行をしてよかったと今なら胸を張って言えます。
大切なことは自分のやったことが
成功か失敗か
正しいか正しくないか
正解か不正解か
ではなくて
自分のやった事を
いかに成功にするか
いかに正しいことにするか
いかに正解にするか
だと思っています。
そしてここから自分の修行はスタートするのです。
詳しい修行の内容や生活は続編で。
I appreciate it!
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