アメリカで格闘技だけをしていた話(2)〜初日と私の救世主編〜

今回はアメリカ修行の初日の話です。
気楽にお楽しみください。

日本を飛び立ったのが3月1日の20時30分。経由地のハワイを乗り継ぎとして約20時間のフライトでした。そしてラスベガスに着陸したのは時差も含めて3月1日の0時前です。異国の地に一定期間1人で行くのも初めてだし言語も違う国に飛び込む事に対して恐怖心はほとんどなかったです。ワクワクが止まらなかったのです。空港に到着したらある人物が自分の事を迎えに来てくれました。

空港到着時。夜だけどとっても元気。


そう。ロクサン・モダフェリです!
私の救世主とは彼女のことです。
MMAファンならおおーってなるはず。実は今回の修行、僕のSyndicate MMAに行く時にコンタクトを取ってくれたり手配をしてくれたのはロクサンなのです。とにかくこの修行には沢山のことがありましたがロクサンの助け無しにこの修行は達成できませんでした。
滞在した2ヶ月間色々なトラブルに見舞われましたがロクサンがいつも助けてくれていたのです。

ロクサン本当にありがとう。

ロクサンは夜に僕が泊まるコンドミニアムに送ってくれて、さらにはそこからシンジケートまでの行く道を教えてあげるといい車で1番わかりやすい道を教える為にドライブしてくれました。(後々聞いた話ですがロクサンは普段夜22時には寝て朝6時に起きる生活リズムだったみたいです。きっと眠かったろうに本当に感謝です。)

初めてのラスベガス。
眠らない街の雰囲気は六本木をスケールアップした感じ。

車の中でロクサンと話しながら大きなカジノを見つけた時にロクサンが言った言葉があります。

「ここは有名なカジノね、でも私はギャンブルはやらない、ギャンブルなんかなくてもこの街には楽しい事が溢れてるから」

何気ない言葉だったんだけど日本人の感覚も理解しつつアメリカ人の感覚もわかるロクサンのこの言葉が実は深く残っていたりします。なので僕はラスベガスで一度もギャンブルに触れる事はなかったです。(結果的に円安が進みすぎて触れられなかったのもありますが笑)

家に戻るとロクサンが鍵を渡してくれて生活のあれこれを教えてくれました。そしてガレージには自分がジムへ行くための自転車まで用意してくれていました。本当は翌日に自転車を買いに行く予定だったけどロクサンが翌日からフロリダに行ってしまうため一時的救済措置としてわざわざ知人から借りてきて準備をしてくれたみたい。「すぐに練習に行きたいでしょう?」って。自分のことをよく分かってくれています。戻ってきたらまた自転車を買いに行きましょうと言ってその日は終わりました。

て、初日って言うのはここからです(笑)
ここまではプロローグ。夜が明けておおかたの準備をしたらジムへの挨拶へ、その後は日用品の購入に行って翌日から練習というプランです。

初日ジムへ着いたのは大体12時位。プロ練のスタートは11時半なので30分の遅れてしまった、自分は本当に方向音痴で(笑)ロクサンに教えてもらった道を最初から曲がる方向を間違えてしまったのであります。とはいえジムに着いて受付で挨拶と2ヶ月分の会費を支払い見学をました。この日は水曜日でプロ練のメニューはレスリング。
30人近くの選手が打ち込みを繰り返している様子をじっと見てました。コーチのフランクヒックマンは有名なレスリングコーチ。何を隠そうUFCのフェザー級チャンピオン、アレクサンダーヴォルカノフスキーのレスリングコーチ。それを知った時これ以上ないラッキーだと思いました。
これも後々書きます。そして練習が終わりヘッドコーチのジョンに挨拶をしました。初めてなのに笑顔で受け入れてくれました。そして日本からお土産で持って行ったブラックサンダーを渡したらさらに笑顔で喜んでくれました(笑)
挨拶も済まして帰ろうとした時に1人のファイターが
「日本の方ですか?」って日本語で話しかけてきたのでびっくりしたのです。
それがSyndicateMMA所属のUFCファイター、ナタン・レヴィ(Natan Laey)でした。ナタンはイスラエル出身の空手バックボーンのファイターで日本での滞在経験もあるとのこと。だから他の人よりも日本語が喋れます。そこから一気に打ち解けました。向こうのファイターの中ではナタンが1番最初に話しかけてくれたことは鮮明に覚えてます。余談ですが自分は普段赤坂でクラヴマガというイスラエル発の護身術を教える仕事をしていますがナタンもイスラエル人、クラヴマガの話で盛り上がりました。
そして後にわかるのですがこのナタンとSyndicateMMA所属のブランドンジェンキンスと自分の3人は皆同じ日に生まれたファイターでした。全員9月30日生まれ。
特にこの2人とは沢山練習もしたし色んな事を教えてもらいとても仲良くなりました。
全くの偶然ですが何かと縁が深いとこのジムを選んだのも何かの縁だったのかもしれません。

翌日からプロ練習に参加する約束をしてジム内を見学しました。ここからは写真と共に初日の様子です。

まずはジムから。日本とは違いすぎる設備。

マットスペース1。こっちではムエタイクラスをやります。サンドバッグはモンスターエナジーロゴ入りで約20本。右奥にはリング、BOB(人型サンドバッグ)常設。
大体柔術の試合をするマットが5〜6面分くらいの広さ。
これでもマットスペース2に比べたら小さい方。
マットスペース2。右半分。こっちは自分がメインで練習していた方。iPhoneの0.5倍広角で撮っても収まりきらないほどの広さ。マットスペース1の3倍以上はある。写真は2分割してます。
マットスペース2。左半分。見えにくいけど奥にフルケージがひとつある。ケージの中でブランドンやナタンと沢山スパーをしました。最後の日にはアルジャメインもきた。ちなみにこの写真を撮るときに立っているのはベンチスペース見学者やキッズクラスの親御さんたちが練習を見るスペース。

マットスペースだけでもかなりの広さ。日本の比にならない広さ。最初はただの広さに目を奪われたけどそれよりもマットの硬さがちょうどよかったです。自分が日本で練習しているジムはレスリングマットなのでふかふかしてます。アメリカで学んだステップを踏もうとしたら変な感覚になるんです。
Syndicateで学んだ技術は沢山ありますがその内のひとつがステップワークでした。これだけ広々してたら周りとぶつかる心配がないのでたくさん動けます。フットワークの練習もとてもやりやすいです。

更衣室はなくみんなトイレで着替えます。ほとんどのファイターは着替えてからジムに来て練習が終わるとそのままの服装で車に乗って帰っていきます。トイレは全部で4個ずつあります。そのうちシャワーが付いているのはひとつ。これだけ広いジムでこれだけ人数がいるのにシャワーがひとつだけと言うのもなんともアメリカらしいです。
他にもフロントには物品販売のスペースがあり、Tシャツやファイトショーツ、グローブなどが売られています。

練習に向かう道の途中の風景。ペプシの工場(?)があった。
その大きさに圧倒されて写真を撮りました(笑)
とにかくラスベガスは暖かい、日中は半袖短パンで毎日自転車を漕いだ。

そしてこちらは練習に向かう時の道。3月初旬ですが気候は暖かく25℃前後がほとんどです。雨はほとんど降らなかったです。毎日自転車を漕いで2〜30分、ジムに着く頃には大体汗だくでした。ご覧の通り広大なラスベガスの砂漠地帯は乾燥が激しく水分をかなりもっていかれます。リップクリームはマスト。後は道路にはゴミが沢山捨てられてます。自転車移動の僕はガラス片や釘などを踏んでしょっちゅうパンクしました。パンクには何度も泣かされ苦労しました。やはり車はあった方がいいです。

僕が住んでたコンドミニアムも少し紹介します。

キッチン、アメリカは冷蔵庫がでかい、オーブンがついてる。ディスポーザーがあってとっても便利。
洗濯機と乾燥機。パワーが強くてスウェットが少し縮んだ。
部屋の中のマットスペース、ケトルもあるから筋トレもできる。

実はここもロクサンのコンドでロクサンにお金を払って住ませてもらってました。ここにはデーブというルームメイトが1人いて彼もSyndicateのファイター、口数は少ないけどとってもナイスガイで困った時は大体助けてくれました。ロクサンには水道光熱費Wi-Fi込みでかなり安くしてもらいました。何から何まで頭が上がりません。
共用部分はキッチンと洗濯機。トイレとシャワーは個別であります。何よりマットスペースがあるのが大きかったです。ストレッチや打ち込みが自宅でできるのでかなり活用しました。

コンドミニアムにはプールがついてる。アメリカはプールがあるのが普通みたい。日中のプロ練から帰ってきたらゆっくり泳いで体をほぐして日光を浴びてから昼寝というのが主な平日の過ごし方。
このベンチで英会話を聞きながらコーヒーを飲む朝が最高でした。
家の敷地には桜の木。
美しい夕焼け。でも実は19時半。
夜は綺麗にライトアップされます。右端の部屋に住んでました。


後に詳しく書きますがジムのプロ練は昼にあり、プロ練を終えて家に帰ってくるとすぐにコンドミニアムに付いているプールで体をほぐすのが日課でした。その後の昼食をとり昼寝をします。時がゆっくり流れているように感じます。夜は練習に行って帰ってきたらライトアップされた家が迎えてくれます。衣食住の「住」に関してはなにひとつ困ったことはありませんでした。

こうして初日はジムとスーパーでの買い出しをして生活準備を整えました。いよいよ翌日から練習編です。

今回も長々とお付き合いいただきありがとうございます。

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