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中国語非ネイティブによる中国語発音批評(『光る君へ』)

『光る君へ』第22話、藤原為時が越前に赴任し、多くの宋人が登場した。

日本のドラマで中国語(注1)が聴ける機会はそうそうない。耳の穴をかっぽじって聴いてみる。そして上から目線で批評する(感じ悪いぞ)。

岸谷五朗さん(為時)は、初級者特有の中国語だ。さすがプロ、練習のあとはみえるが、不自然の感は否めない。というか、それも演出の一部だろう。ペラペラだと逆にヘンだ。

次は初登場、宋人の代表らしき人物・朱仁徳。中国人っぽい雰囲気だし、岸谷さんよりはうまいが、四声がもうひとつ自然ではない。とはいえ、日本の俳優さんにしては十分にうまい。

次も初登場、宋人医師の周明。イケメン。名乗って「再見」って言っただけだけど、中国語うまい!というか、ネイティブだから当然か。本物はすぐわかる。

…と思ったら、ラストで日本語べらべらしゃべりだす。あれ?と思って調べてみると、松下洸平さんという日本の俳優さんだった。うそーん。「周明」と「再見」だけ、血を吐くほど練習したのだろうか。

巻き戻し(注2)て鍼治療の場面を厳しい目で観なおしてみると、第二声の発音があまい。寡黙なイケメンに惑わされていたか。「本物はわかる」とか言ってたが、私が本物でないのは間違いない。

さらに調べてみると、朱仁徳役の俳優さんは浩歌という名前の中国人だった。あれあれ?自信なくす〜。

……と思ったら、経歴を拝見すると、中国で活躍された日本の俳優さんだった。日本人にしてはうまいけど、ネイティブではないという判断は、我ながら正確だった。名誉挽回である(ひとりで何やってんだ)。

というわけで、非中国語ネイティブによる非中国語ネイティブのしゃべる中国語批評という、誰得?な記事であった。


注1 私が把握する限りでは、宋人たちは現代普通話の日常会話を話しているように聴こえる。平安時代の日本人が時代がかったしゃべり方をしているように、そして中国の歴史ドラマが往々にしてそうであるように、10世紀の宋人であることを配慮した演出はされていないのだろうか。

注2 ふと気になってリモコンを見てみると、「早戻し」と書いてあって驚いた。「巻き戻し」って死語なのだろうか?と思って調べてみると、やはり調べてみたという人がいた。なんと10年前の記事である。

この記事によると、DVDの普及にあわせて、2000年ごろからリモコンの表記が変わっているそうだ。なんと四半世紀近く前である。皆がスマホを持っているのに気づかずに、PHSを使い続けていたようなものか。ともあれ、私は「巻き戻し」を使い続けることにした。人生は巻き戻せないものだからである(意味不明)。

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