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ダビマスKKO問題

「牡馬は不当に差別されている。我々はこの事実に目を向けるべきだ」
Boba Lives Matter運動の旗出、人権派ダビマサーSはこう指摘する――

 「KKO」という言葉をご存知だろうか?キモくて・金のない・おっさんの略称であり、弱者ゆえに救われない中年以上の男性を差す表現である。そんな過酷な呪いを一身に背負った存在がダビマスにもいる。古馬牡馬だ。彼らはどれほどの苦渋を舐めているのか。まずは下の比較表を見てほしい。

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 斤量差は最重要パラメータであるスピードに直結する。ほとんどの混合G1では牡馬と牝馬で2kg、さらに古馬と3歳馬とで同じく2kgの差があり、最強属性の3歳牝馬とKKOとの比較では合計4kg、スピード値にして8もの差が生じると言われている。これは最強馬戦線においては致命的だ。

 気性は主に位置取りに関係する重要なパラメータであるが、今作では何故か牡馬が冷遇されている。「彼ら」の辞書に慈悲という文字はないのか。

 牡馬唯一の長所と言えるため、根性が重要な能力であることは確定的に明らかだ。しかしここではあえて言及しない。敵に利する情報を隠すことは当然だ。例え卑怯者と罵られようが私は目的のために手段を選ばない。

 牝馬は限定戦がある分ハンデマックスに到達することも容易だ。現実に即しているとはいえ、ここでも牡馬は不利を被っている。

 このように牡馬、特に古馬牡馬が明確に不遇であることは論を待たないだろう。牡馬と分かる画像をネットに上げれば裁断機を携えた巡礼者が介錯の儀式を行ってくれることもある。しかし例え彼自身を切り落としたとしてもその呪いは深く刻み込まれたまま、生涯逃れることはできないのだ。

 私にはかつて、これはどこで役立つのだろうとついぞ言わずに終えた言葉があった。「シャナク」は彼らのためにあると今は確信している。システムが生んだ窪みに捕らわれ、世界の片隅に追いやられたまま言葉にならない祈りを捧げている彼らの前を、ただ通り過ぎることは私にはできなかった。


■どうしてこうなったのか

 そもそもどうしてこのような事態になったのか、原因を探らねば解決策を見つけることもできないだろう。「彼ら」は敢えて手を下したのではないと信じたい気持ちだってある。

1.歴史的経緯を踏まえた女性性への配慮説
 女性が差別的な扱いを受けていた時代があることは紛れもない事実であり、ダビスタにもおいても多くのシリーズでは牝馬が不利であった(根性の限界値が牡馬より低いことが主な要因)。このような背景を考慮し、今回は牝馬に光をと考えたのであれば一応の理解はできる。しかし斤量差は性別だけでなく馬齢でも生じるため、3歳牝馬>BBAという序列が出来てしまうという致命的な欠陥を抱えている。フェミニズムを勉強し直すべきだろう。

2.リアル競馬をなぞっただけ説
 近年は混合戦における牝馬の活躍がめざましい。多くの競馬ファンがアーモンドアイを現役最強馬と認知しているであろうし、直近の宝塚記念ではクロノジェネシスが史上最大着差で圧勝している。またこの流れは日本だけのものではなく、凱旋門賞は過去10年のうち7勝を牝馬が上げている。KKO勢の勝利は極悪馬場で開催された昨年のヴァルトガイストのみと、「彼ら」は実に的確ではないかと納得させられそうになる。

3.意図せず過去仕様の一部だけを引き継いでしまった説
 BCで斤量を自由に調節し模擬ハンデ戦を開催することもできたので、斤量がスピードに影響するという仕様そのものは従来より存在している。過去作では性別・馬齢別に異なる補正をかけ、定量戦においては斤量差と相殺され同等のスピード値になるよう調整していたと思われる。一部のシリーズでは特定の馬齢が強かったが(それでもダビマスほどの差はない)、これは補正後の結果が完全にはイーブンではなかったためと考えられる。 
 ダビマスはその多くの部分を過去作をベースに作られていることは明らかだが、斤量については相殺のための補正が何らかの理由で引き継がれず、斤量によるスピ差のみが顕在化してしまったでのはないだろうか?

4.当たりを絞りゲームの寿命を延ばしたい説
 仮に性別の差がないとすると単純計算で当たり確率は現在の2倍となり、能力のインフレはその分加速しゲームとしての寿命は縮まることになるかも知れない。最強馬生産を素体・サブパラ・才能を揃えるスロットだとすると、性別とメモリというリールを加えることで究極の1頭が出てしまう可能性は飛躍的に小さくなるからだ。


■どうすればよいのか

 仮に「彼ら」にこの歪みを正そうとする意志があるとすれば、いったいどのような方法が考えられるだろうか?ここではその可能性を探っていく。

1.性別と馬齢でスピ差が出ないよう仕様を修正する
 一番の正道だが、リリース当初からの仕様を変更することになるので実行には相応のハードルが存在するのであろう。出来ないのか、あえてやらないのかは私には分からない。

2.全馬同斤量にし、斤量差をなくす
 仕様を変えられないならレース条件を変えてしまえばよい。性別も馬齢も関係なく全馬同斤量にしてしまえば斤量差は生まれず、少なくともスピードに関して牡馬と古馬は救われる。ハンデ戦が開催出来るのだから可能であろう。リアル競馬のルールに反することとなり、強烈な違和感は避けられないだろうが…

3.専用才能で斤量差を相殺する
 例えば有効な常時バフ才能である八千代をベースとし、スピ―ドをさらに+8とした古馬牡馬専用才能を実装する。同様に斤量差を加味した才能を3歳牡馬&古馬牝馬専用に作ればよい。才能枠1つを潰すことにはなるが斤量によるスピード差は解消されることになる。凱旋門賞など3歳と古馬の斤量差が大きいレースについても追加条件を設定すれば対応できるだろう。仕様変更が不要で最も即物的な解決策である。

4.限定条件の公式BCを開催する
 これは既に牡馬限定戦(アパルトヘイト)という形で時折実施されているが、救済されるのは非凡な才能を持つ3歳牡馬のみであり、KKOの救われなさをさらに際立たせる結果になってはいないだろうか。


■いつも心にエーピーインディ

 以上のように私は明確な解決策を提示できるわけではない。結局のところいち私企業が出すゲームに過ぎないのだから、そんなものだろうと納得してしまった方が良いのかもしれない。だがしかし、それでも。
 
 事情を知らないものが公式BCの出馬表を見て。牝馬ばかりなんですねと素朴な疑問を漏らす。それを聞いて指揮官が苦しそうに言葉を濁す様を私は見たくはなかった。斤量の仕様は負の遺産とも言えるし、経営戦略における合理性と整合性を保ちながら解決策を見出すことの困難さは先述の通り私もよく理解しているつもりだが、それゆえにモヤモヤを抱えたまま運営を続けるのは辛くないだろうかとやり切れなさを感じてしまうのだ。どのような結論でも構わない。明確に語られる言葉を「彼ら」から聞きたい。例えそれがKKOへのレクイエムであろうとも。


 ――とまあ何となくシリアス風にここまで書いたものの、私としては環境に合わせて遊ぶだけなのでどう転んでもいいというのが正直なところである。ただ臭いものに蓋をする状態が続くのはあまり気持ちが良くないので、調整するかどうかは置いといてこの問題について公式に言及してほしいなと思っている。

 私は少し格闘ゲームを嗜むのだが、あるタイトルではバランス調整と称してソニックブームの威力を10上げました→強すぎるのでソニックブームの隙を2フレーム増やしましたなどと微調整を延々やっとるわけです。ダビマスでも再調整の可能性を留保しながらもう少しカジュアルに色々お試しになられてはと思ったり。過去には相性の仕様というゲームの根幹に関わるところも変更してるわけで、アッパー調整であれば多少のバランス調整をしてもそれほど反発もないんじゃないかとか。勝手に言うてるだけですが。

 過去炎上したエーピーインディも、間違ってたわスマンナと砂塵を巻き上げながらしれっと再登場させれば良いんじゃないかと個人的には思う。ええんやでと微笑んで迎え入れる準備はいつでもできているぞ。




 



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