アスコットロイヤル = ダイナギフト (Family#1-t)
血統
1976 Ascot Royal
1981 Dyna Gift
父 1959 El Centauro ⁃ ARG
父父 1948 Sideral ⁃ ARG
父母 1953 Planetaria ⁃ ARG
母 1966 Royal Sash ⁃ GB
母父 1951 Princely Gift ⁃ GB
母母 1957 Sash of Honour ⁃ GB
Full Sail = Blue Peter 4×4
Nearco 4*4
父 El Centauro ⁃ ARG
El Centauro[エルセンタウロ]は、父父 Seductor から三代続くアルゼンチン父系の種牡馬として数年過ごしたのち一年だけ米国で供用され、遥か彼方の日本へとやってきました。
彼は南米生まれですが、所謂米血主導配合ではありません。アルゼンチンで歩んだアウトサイダー街道を数代遡ってみれば、全てのラインで英国産馬に直結している血脈です。
五代の中ではまず、生粋のステイヤーにしてその無尽蔵なスタミナを産駒にも伝えまくった Son-in-Law 5×4。父 Phalaris と母父 Chaucer が共通する《Fairway ≒ Sickle》の3/4同血4×4も持ちます。
日本での代表産駒はニチドウタロー。母父としてはギヤロツプダイナが有名どころです。祖国アルゼンチンに残してきた産駒からも複数の後継馬を輩出しました。
El Centauro × Royal Sash
Full Sail = Blue Peter
El Centauro と Royal Sash で生まれる《Full Sail = Blue Peter》4×4 。
英国馬として走りアルゼンチンで種牡馬となった兄 Full Sail と祖国に留まって産駒を残した幻の三冠馬 Blue Peter。離れた土地で過ごすことになった〈Fairway × Fancy Free〉全兄弟の血が更に遠い日本で再会しました。
Fairway は〈Phalaris × Scapa Flow〉、全兄は Pharos。となると母に色濃く受け継がれた Nearco が黙っているわけもなく。
Black Duchess
別の視点で手繰っていくと El Centauro の牝系、先ずは母母 Crescent に目が止まりました。彼女の五代母は Black Duchess で、父父 Son-in-Law を通じた5×5のファミリーラインクロスになっています。
Black Duchess の息子 Bay Ronald は大種牡馬となり、名馬 Dark Ronald と Bayardo を最良の後継者としました。El Centauro と Sash of Honour は其々の息子を6×5と5×6で掛け合わせており、ここでご対面。
また娘 = Crescent の四代母 Black Cherry は Blandford の母母でもあります。そして Royal Sash の父 Princely Gift は Blandford の4×3ですから、つまり Black Cherry 6×5。
Ascot Royal とDyna Gift からみれば少し遠目ではあるものの、配合に含まれていたもうひとつの脈略が現れたように見えたのです。
El Centauro は吉田善哉氏が世界中を飛び回って見出した馬ですから傍系の血や馬体だけで評価したはずもなく、名牝のバックボーンがきちんと備わっていて然るべきだったのだということなのかもしれません。
Ascot Royal (1976)
白老 社台フアーム
淀牧場
栗東 渡辺栄
日本ではじめて牝系の爪痕を残したアスコットロイヤル。
Royal Sash が日本に来て最初に産んだ半兄で Bold and Able 産駒のヤタノヒカルは新馬戦から1-1-3-1の着順と順調な出だしをみせていました。しかし(おそらく怪我で頓挫したせいで)一年近く休養してしまった後は、2着4回が精一杯の戦績でオープンまで辿り着けませんでした。
対してアスコットロイヤルは初勝利まで6戦を要したスロースターター。紆余曲折しながらも阪神芝2000mで2勝、クラスがあがって足踏みしはじめたように見える数戦後。重賞格上挑戦となった中京記念でいきなりの勝利。メンバーや斤量が軽かったのか4番人気でした。前走条件戦で1番人気14着を度外視されている気配があるオッズなので、何か理由があったのかもしれません。なおグレード制導入前でレースの格付けはなし。
この後はもちろん重賞戦線で走ることになりますが、まあまあ苦戦しています。前述のニチドウタローが獲った天皇賞にも出走しており、さすがに敷居が高く距離も長すぎとみえて11着に惨敗。それでも小倉芝1800mで行われた北九州記念では3着に入っていて、その時の鞍上は武邦彦騎手でした。
Dyna Gift (1981)
早来 社台フアーム
社台レースホース
栗東 坂口正大
栗東 田中耕太郎
全兄が重賞をもぎとったのは1980年。
1981年に生まれたダイナギフトは、彼の走りがもたらしてくれた "贈りもの" だったのではないかと思います。そして彼女自身も頑張りました。
勝ち上がりはやはりどうしても遅くてなんと9戦目。そこまで2着3回3着1回を挟んでいるあたりがもどかしい。以降は3着が最高着順でしたが、障害4戦を含む全24戦を走り抜いて競走生活を終えています。
故郷に戻り、ダイナカプリを出産。その年の8月にはサツカーボーイが衝撃のデビューを飾りました。それまで牝系の経歴が華やかとは言えなかったところがあったせいか、もしくはぎりぎり間に合わなかったのか、父の評価的なものなのか……翌年には牧場を移動してしまいます。以降は9年で5頭となかなか産駒にも恵まれず、後継も現れませんでした。
これによってダイナギフトのラインは長女の子孫が唯一の糸となります。
Progeny
1987 早来 牝 黒鹿 ダイナカプリ
Dyna Capri by South Atlantic ⁃ IRE
日本ダイナースクラブ
JRA-1[0-0-0-1] 0.0
1988 浦河 牡 鹿毛 エチゴサンザン
Echigo Sanzan by Targowice ⁃ USA
未出走
1991 浦河 牝 鹿毛 イシヤククイーン
Ishiyaku Queen by No Attention ⁃ FR
JRA-8[0-0-0-8] 0.0
1992 浦河 牡 鹿毛 ツカサオー
Tsukasa O by Sirius Symboli
JRA-10[0-0-0-10] NAR-22[2-4-3-13] 133.2
1993 浦河 牝 鹿毛 オワリダイナ
Owari Dyna by Coined Silver ⁃ USA
NAR-45[0-5-4-36] 106.0
1995 浦河 牡 鹿毛 ヒシヘブン
Hishi Heaven by Hishi Masaru ⁃ USA
JRA-3[0-0-0-3] 0.0
いちいち調べながら試行錯誤して書いていることが多いです。 新たに気が付くこともあるので加筆修正はわりとすると思います。 どこまで続けられるかは気力と体力と時間次第です。