音を彫刻するサンプラーでピアノ曲をグラニュラーエフェクト ▶︎ t|so S-4
ピアノソロ曲をTorso Electronicsの
音を彫刻するテープフロー型
サンプラーS-4
(以下、S4表記)に通して演奏動画を制作しました。
今回はこの楽曲をもとにS4を使った使用感などについて書いていきます。
【 音を彫刻するテープフロー型サンプラーS-4とは 】
▼購入時の紹介記事を書きました。
当初はバグがとても多く使いづらかったですが、ファームウェア更新後は動作が安定しています。
S4の機能を簡単に説明すると以下です。
内蔵マイクを搭載した4トラック・ルーパー
グラニュラーエフェクター
フィルター、ディレイ、リバーブなどを搭載
LFOで各パラメーターのモジュレーション可能
▼カリンバの音を使ったメーカー公式動画
【 使用感 】
グラニュラーシンセシスが核になっていることで、
狙った音を作るよりも、
実験的な音作りや
即興的なパフォーマンスに
機能を発揮する機材
であると感じます。
あくまで個人的な感想ですが、たとえば普通のシンセのように「こういう音を鳴らしたい」と思ってもその音を作るのがとても難しく、
意図していない音になる
ことがほとんどです。
逆に
どういう音になるのか
分からないこと、
それこそが最大の魅力
であり購入理由ですので、「狙った音作り」をいうこと自体はナンセンスかもしれませんが(笑)
仕組みを理解するのはあとにしても、「自分の好きな音」を手早く作るということが難しいです。
ただし、
音作りの過程で
「こういう音になるのか」
という新しい発見がある
ので、予定調和にならず通常のシンセよりも面白さはあります。
【 グラニュラーシンセシスについて 】
Wikipediaの解説とgoogle翻訳したものを下記に引用します。
▼google翻訳
つまり、
音を細かく分割して、
それを再配置したり、
音量、ピッチなどを変えて
再生するということ
です。
下記はS4で音をサンプリングしたあとグレインのパラメーターを編集する画面です。
波形に重なって縦に長短の白線が入っている所が音の断片=グレインです(多分)。これをもとにして画面下にある各パラメーターの値にそって音を鳴らしています。
各パラメーターの説明は以下です。(個人的考察含む)
上記でグレイン(音の断片)を編集した後、フィルターや歪み、ディレイ、リバーブ、LFOを使ってさらに音を作っていくのが基本的な流れです。
【 グラフィカルなインターフェイス 】
上記の画像でもお分かりいただけるようにS4はパラメーターを編集する画面に表示されるグラフィックがとても魅力的です。
たとえば動画内1:58に表示されるS4のLFOの波形と鳴っている領域が推移していく様子はユニークだと思います。
数値だけで表示するのではなく、こういう遊び心のあるインターフェイスのデザインは音楽を作る時のワクワク感を刺激してくれるので、自分にとって
機材選びの際に機能と同じくらい大切な要素
です。
【 ピアノトラックとS4の音の重ね方 】
S4の機能についてではないですが、今回制作した楽曲について機材的な視点で解説して終わりにしたいと思います。初心者の方向けの内容です。
楽曲制作の手順は以下です。
上記の
②DAWのバスアウトから①のピアノトラックを出力しS4へ入力
③S4でピアノトラックをエフェクトし再度DAWへ録音
について解説します。
・・・
これはDAWで録音したトラックを外部のアウトボードやエフェクターを通した後、再度DAWに録音する方法です。
(ただしオーディオインターフェイスにサブアウトがあることが必要)
上記はlogic pro xの画面です。トラック名「動画…出し」というのはMIDIで録音したピアノトラックをオーディオで書き出したトラックです。
このトラックに任意のバス(画像ではBus 9)を作成し、Bus 9のアウトをオーディオインターフェイスのメインアウトではないアウトに設定します。(画像ではOut 3-4)
オーディオインターフェイスのアウト3-4からS4の入力1-2に接続。Bus 9へのセンド量はS4への入力レベルになるので適宜調整。
S4のアウト1-2からオーディオインターフェイスの任意の入力端子へ接続。
DAWでピアノトラックを再生し、S4でエフェクトをかけた音をDAWで録音。
まとめると下図になります。
もしよかったら参考にしてください。
今回制作した曲はピアノがメインですので、S4を前面に出していませんが、音楽の可能性がたくさんある機材なので、次回は違う切り口でS4を使った曲を書く予定です。
お読みいただきまして、ありがとうございました。