阿川せんり「ウチらは悪くないのです。」が良い小説だと思ったので、感想とかレビューとか書評とかなんかまあそういう感じのアレを書いてみる。

 ハロにちは。アナタのアイドルささやかです。嘘です。

 さてさて。今回は久しぶりに感想とかレビューとか言われるものを書こうと思います。対象は、阿川せんりの単行本三作目「ウチらは悪くないのです。」です。ですです。

 私、これを読み終えたとき、「お、これ結構ネットにレビューとかありそうだな」と思ったんですよ。だけどなかったんですよねー、これが。なので、今後インターネットなるドブ泥をあさる後輩のために、このささやかさんが書いてやろーと思ったわけですよ、ええ。諸兄、感謝するがヨロシ。

 さて。

 まずは総論というか、感想の要旨だけ述べると、阿川せんりの三作の中で一番エンターテインメント性が強く、なおかつ一番優しかったと思います。ということで、①エンターテインメント性、②優しさ、の二本立てで進めていこうと思います。お楽しみに、うふふふ。

①エンターテインメント性

 阿川せんりの特徴っていうかなんていうか、基調として文章の洒脱さみたいなものがあると思うんですよね。この言い方が気に食わないのであれば、自意識性の強さとでも言ってみてもいいですが、つまり、語り手と親しいごく一部の間(今作でいうと、うえぴ・あさくら間)でしか通じないワードや表現をポイポイと出してくるのです。まァ好みはわかれるのかもしれないですが、私は結構そーゆー私的世界の拡張みたいな感覚は好きです。

 今作ははっきり言って物語に(意図的に)大きな起伏があるわけではなく、ダラダラと続く日常といった態なのですが、それでもなんつーか阿川せんり節みたいなのが健在であるのと同時に、エンタメ的な伏線もきちんとはつて (というところまで4月11日時点で書き上げて面倒だから放置していたのだけれど、やっぱり私が読みたいような感想がないので、仕方なく続けて)、そこがこの小説を読ませる強みになっているんだと思いますわ。

②優しさ

 畢竟、この小説内において、主人公らは成長しない。変わらない。つまらない。だらだらと日常を送っている。青春を浪費している。アルバイトや学業や恋愛など、およそ大学生ないし若者が精を出すとされている事象に対して成果を残すことはない。それは傍から見れば虚しい生き方かもしれないし、懐古主義めいた大人たちはもったいないことをすると嘆くだろう。

 しかし冷静に考えてみてほしい。大学生の時分において、アルバイトだの学業だの恋愛だのサークルだのこれら大学生ならうちこむべきだとされている諸々を、全てこなすことなんて無理じゃあない? まあ無理じゃないとしてもこんなこと全員ができるわけじゃあないし、このうちのどれかができれば十分だし、これら全部ができなかったとしてもしかたないよねーって感じじゃあない? そんなさ、社会から求められていることが上手くこなせないことなんていくらでもあるじゃないか。

 そういう社会から「かくあれかし」と押し付けられた人生のToDoリストに放り投げて、できなくても「ウチらは悪くないのです。」とのたまうのが本作なのだ。青春を送るだけが良い人生ではない、この言葉に救われる人間は、まあ思う以上に多いんじゃないかなって思う。優しさとは他人のために理不尽と闘えることだ。社会が夢とか希望とか小奇麗な言葉でデコレーションされた青春のおしつけに対して抗った本作は、優しいと私は思う。アンチ青春小説とかデータベース上で称されることもあるが、「かくあれかし」の呪縛に囚われない本作は、アンチ青春(ドグマ)小説といったところだろう。

ちなみに私が読メにまとめた感想は、「前々作と前作に比べると一番エンターテインメント性が強く、なおかつ優しかったように思える。一言でまとめてしまうと、結局何も変わらないし意味もなく大学生としての時間を空費しているわけだが、しかし、それは青春ではないと否定しないところが白眉。世の中ってのは若者なら夢と熱意に溢れていないといけないかのような風潮があるが、そうでないようにあってしまう人なんていくらでもいる。本作はそんな誰かを肯定しているわけで、その視線の当て方は評価されるべき。アンチ青春と帯にうってあるが、私は意見を異にしており、これも青春なのだ。」でした。


 はいっ、ではだいたい言いたいことは言ったような気がするし、というか長期間の中断のあと〆ることができた私まじ偉いし、もうこれくらいでいいかなって思うので、もう終わらせます。おしまーい。どうせこれくらいの分析と感想なんていっつもネットに書評をあげている方々なら把握してんだろ、私やる意味なくなーい? って思ってるので、私やる意味なくない? と思うけど、まあたまには私でもいいか。あと余談だけど、や、まあいいや終わり。



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