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日銀のマイナス金利解除による為替変化とヘッジの必要性とリスクについて

先週に春闘な集中解答日があり、大企業の高い賃上げが報道されていました。

これを受けて、日銀の17年ぶりのマイナス金利解除が決まりました。

一方で米国の金利は年初5〜6回の利下げが見込まれていましたが、物価は高く失業率もさほど悪くないなど金利を下げにくい環境になっています。

今まで日米の金利差拡大によって円安に振れていたという説明や報道が多くありました。

それでは今後はこの金利差が縮小すれば金利差拡大前の為替水準に戻るのでしょうか?

このような中で僕のような素人の個人投資家はどのように考えてどのように行動すべきでしょうか。

短下記のような疑問に対する考えを纏めます。

  • 日銀がマイナス金利を解除して金利を上げたら日米金利差が少なくなって円買いドル売りが進むのではないか。

  • 為替の変動があるとしたらどのくらいのスピードで進むのか?

  • 金利差解消による影響が想定できるのであれば予め対策を講じて為替影響をヘッジするべきではないか。それにはどのような方法があるのか。

  • 日銀がマイナス金利を解除して金利を上げたら日米金利差が少なくなって円買いドル売りが進むのではないか。

  • 為替の変動があるとしたらどのくらいのスピードで進むのか?

日米金利差解消はドル円にどの様な影響を生むのか


金利差は為替を変動させる?



近年の円安は日米の金利差によって生じている

このような説明がされることは多いと思います。

実際に日米の10年国債の金利差とドル円の推移を見ると相関しているように見えます。


金利差縮小でもドル円は上昇?

しかし細かく見てみると、金利差が小さくなっていてもドル円が上昇している局面があります。

直近だと2014年の動きがそれに当たります。

相反する動き

また、この時のドル円の動きは金利差の縮小の動きに比べるとかなり速いスピードで進んでいるように見えます。

なんだかおかしいですね。


一方で金利差に為替が相関的に動く場合でも、為替の動きが限定的な場合があります。

2018年〜2019年には金利差が極端に小さくなり、ドル円も低くなりましたが金利差のドラスティックな動きに対して為替はあまり大きく動いていないように見えます。

こういった点を考えると、当たり前ですが金利差だけで為替が定義されるわけではない様です。

金利差の動きに対して為替がどちらの方向に、そしてどれだけのスピードで動くかは想定できないというのが答えではないでしょうか。

為替の実需や投機の動きなどが複雑に絡んでいそうなので今後もう少し勉強してみます。


為替ヘッジの必要性は?


  • 金利差解消による影響が想定できるのであれば予め対策を講じて為替影響をヘッジするべきではないか。それにはどのような方法があるのか。

米国株投資をしていて、その為替ヘッジとして為替取引を行うのはある程度妥当性があるように思われます。

為替ヘッジの例


例えば1000万円分のドル建て株式資産が20%増えて1200万円分になったとしても、ドル円が20%下落すれば評価額は960万円と元の1000万円を下回ってしまいます。

これに対して株式の成長を100%享受するために為替が20%下落した際に240万円利益が出るような為替取引を行えば相殺することができます。

例えば今のドル円が150円だとして、そこから20%円高の120円まで為替が変化すると想定します。

1万通貨ペアが1円変動すると1万円の資産が変化することになります。ということは240万円÷30円=8なので8万通貨ペアのドル円ショートを行えばこのヘッジを行えることになります。

取引額は150万円×8なので1200万円

5倍のレバレッジで取引するとしたら240万円の証拠金が必要になります。

めでたしめでたし、、、

ではありません!

いくつか落とし穴があります。

スワップポイント

一つは金利差によるスワップポイントの支払いが必要になる点です。

SBI証券の場合、1万通貨ペアのドル円ショートの支払いスワップは1日236円です。

8万通貨ペアなら1,888円になります。

このヘッジ取引のクロージングが半年だとするのであれば、合計で339,840円になります。

3ヶ月ならその半分、一年ならその倍になりますので見過ごすことができないヘッジコストといえます。

キャピタルロス


また、この為替取引において損切りやロスカットをする場合のリスクが有ります。

円高方向に進むと思っていたら逆に円安に振れてしまいロスカットにあうなんて最悪のパターンですが、ありえない話ではありません。

またいいのか悪いのか意に反して円安が進んだ場合、この為替ヘッジをしたばかりにトータルのリターンを悪化させてしまうことになります。

特に高いレバレッジをかけて取引する場合はこのリスクを踏まえなければいけません。

機会損失

レバレッジを高くするとその取引自体で損失を生む可能性があります。

一方で低いレバレッジにすると多くの証拠金が必要になります。

リスクを排除するためこの為替ヘッジに資産を当ててしまうと他の資産運用の機会を犠牲にしてしまうことになります。


最後に


僕は日銀のマイナス金利解除発表前にヘッジ目的でドル円ショートポジションをとっていましたが数日で決済しました。

過去の利下げに相反する為替変動を起こすことが度々あったことが分かったからです。

また日足チャートのテクニカル面も怖いと思ったのも理由としてあります。

そしてマイナス金利解除は完全に折り込まれており、今後日銀が継続した利下げを明言しない限りサプライズにはならないだろうとも考えました。

しかし1ドル150円というのは消費者としては苦しいですし、感覚的には異常に思えます。

今後金利差のさらなるドラスティックな解消などにより急激な円高が起こることも想定できます。

一方の主張に捉われることなく相場に臨んでいきたいですね。


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