思い出は美化される

ふとしたときに、あの頃聴いていた曲、あの頃気に入っていた香りを嗅ぐとなんとも言えない気持ちになる。


あの頃の私は、今よりもキラキラしていたはずで、今よりも難しいことを考えず苦労せず生きられていたはず。それなのに、なんであの頃の曲や香りではそんなキラキラとした幸せな気持ちで満たされないんだろう。



小さい頃、ちっちゃな宝石を集めるのが好きで、集めた宝石は箱の中にずっと大切に閉まっておいた。「あの頃」という過去はそんな宝石みたいで、大切に閉じ込めておくと綺麗に見えた。


あの頃に戻りたい。
あの頃が1番幸せだった。


でも、あの頃の好きだった曲、香り、服…

そういう形ある具体的なものに触れると一気にその過去が現実的で冷たいものに変わってしまう。

閉じ込めたものに実際手をつけてみると宝石なんかじゃなかった。


この曲聴いてた頃はあの人がまだ近くにいて、すごく辛かったな。
あの嫌な出来事に打ち勝つためにこの香りで元気出そうとしてたっけ。


そんな過去ばかり思い出される。



あの頃を思い返しても幸せになれない。
私はそうすることであたたかい気持ちになれたことが一度もない。


あの頃触れていたものは、あの頃の私に必要だったもの。つまり、今の自分には必要ないものだった。


今の自分には必要のないものだからこそ、あの未熟な頃を思い出してなんとも言えない気持ちになるんだと思う。


思い出は美化される。


今よりも苦労せず難しいことを考えずキラキラして生きられていたのは未熟だったからで、今はきっとあの頃より成長した自分になっていると思う。



あの頃、自分に必要不可欠だったものは、あの頃の私に預けたままにして、今の私は興味本位で触れることがないようにしたい。


もし、また閉じ込めていたものに触れてしまったら、きっとなんとも言えない気持ちになってしまうから。


あの頃より今の方が幸せだと思う。





※このお話はノンフィクションです。



櫻坂46『何歳の頃に戻りたいのか?』


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