いつかの日記 #13 〜こわい先生の話〜
こわいと思う先生がいた。習い事のバレエ。
バレエに行くとなると必ずお腹が痛くなる。いつも車で送ってもらうかバスに乗って行っていた。教室の前の大きな坂道が来ると「もうすぐだ…」と思って冷や汗をかいていた。
何回怒られたか分からない。お団子を引っ張られて怒鳴られた。足の爪は剥がれてボロボロになっても踊り続けた。役を降ろされたこともしばしば。精神的な指導もされた。教育方針が間違っていると親の前で断言するような先生だった。
その先生は美しかった。きつく結った髪も細い体も凛としていた。プロの道をひたすらに進んでいた先生にしか見えない世界もあったと思う。
違う世界で生きる未熟な人を指導するのは歯がゆくて難しいから厳しいのも無理ないな。当時はそこまで考えられなかったけど。
世界で活躍していた先生のおかげで色々なことを知った。バレエ以外のことも。先生は生徒の発表会の衣装を1人で全部作っていた。どれも綺麗で可愛くて、発表会が行われる度に踊りたい役も着たい衣装も増えた。発表会の終わりには余った衣装のパーツで小物を作ってくれた。
ちなみに悪役をやったことがなかったからやってみたかった。あとはかっこいい役。赤と黒の衣装。黒鳥とかカルメンとか。妹と海と真珠もやりたかった。
本当に厳しかったけど、逆にあれ以上のスパルタはないと思う。(先生からしたら全然スパルタじゃないんだろうな)だからちょっとのことじゃへこたれない精神が出来上がった。
私がバレエを辞めて数年後に教室を閉めたと人伝に聞いた。人伝だから本当か分からないけど、今は何をしてどんなふうに生きてるんだろう。
発表会のDVDを久しぶりに開けたときふと思った。
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