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2021年の映画の話をします

ササニシキです。2021年は、月に4〜5本(つまり週1)くらい、いやもうちょっと映画館に行きたいなをモットーに生きていたのですが、2020年に引き続きコロナウィルスの感染拡大が勢いづいていたり、ワクチン接種を待ってたりとかそんなこんなで映画館にいけなかった時期があったりして、結果的に去年よりも観た映画の本数は少なかったみたいです。

個人的な状況をちょっとお話すると、9月に会社を辞めていわゆるフリーランスになったのですが、ここでかなりの心変わりをして映画に対する感情が変わりました。つまり、映画館に行くよりも仕事(とか、仕事にまつわること)した方が楽しくない?みたいな気持ちが芽生えたんですね。
我ながらちょっとキモいですよね。

そんなわけで観る本数がどんどん減ったのですが、面白かった映画を月ごと(たまにない月もある)に書きつらねていこうかなと思います。正月休みに観る映画にでもいかがでしょうか。

1月 新感染半島 ファイナル・ステージ

三面スクリーンの4DX「ScreenX」でやるゾンビ映画だし4DXの本場韓国の本気、観てやるよっていう謎の上から目線で行ったら最高すぎて土下座しました。少なくとも、4DXに最適化した映画づくりになっているのが凄かったです。
ScreenXは料金も高いし上映作品/上映館ともに少ないですが、個人的に原始的なVRっぽさを感じるので大好きです。観る機会があったらおすすめです。

前作となる新感染ファイナル・エクスプレスは観ても観なくてもいけるくらい独立して楽しめるエンタメ作品となっており、さながらジョージ・ミラーへの熱いラブレターのような、カーアクションに心躍る映画なので、配信で観ても楽しめると思います。

2月 春江水暖

2021年最も期待していた映画のひとつで、ものすごく期待して観に行ったのですが、それ以上の素晴らしい映画体験が待っていて、号泣しました。中国第8世代を信じてよかった。
都市開発で変わりゆく春江という街で生きる人々の人生の一片を、取り立てて目立った何かがあるわけではないかもしれない日常をつぶさに、ワイドに映しだしています。

どうですか?この巨匠感あふれる画づくり。なんとまだ20代の若手監督で、しかも映画オタクというわけでもなくて、滲み出るセンスで撮っているという壮絶な才能の持ち主なのです。中国映画界はこういう監督がごろごろいるのがとても好きです。
基本的に長回しを多用しているのですが、中でもデートシーン10分間の長回し柳川散歩のシーンは本当に美しくて、このシーン自体は全然泣かせるシーンじゃないのに泣いちゃいました。
上映館も少なかったし観てない人も多いかもしれないんですけど、ネトフリで配信してるのでぜひ。

3月 シン・エヴァンゲリオン

エヴァンゲリオンが芸術に昇華されてひたすら感動しました。のべ6回くらい観ました。
20年かけて観た一本の映画の終着点として素晴らしく、死んでもいい理由がひとつできてしまいました。なんかもう、すごかったよね。
ちなみに、9月に会社を辞めたときに「One Last Kiss」を聴いて階段を駆け上がりました。

6月 閃光のハサウェイ

ガンダム未履修だけど、予告をみてこの映画4D映えすごそうだな〜と思ってMX4Dで観に行ったらめちゃくちゃ面白くて、ここからガンダム沼に落ちることになったという、個人的にエポックメイキングな出来事でもあります。
ガンダムについては感銘を受けまくったので別でnoteかきたいな。
本作を最初に見たせいで、たぶんガンダムのエモーショナルはハサウェイが起点となってしまったのでクェス・パラヤに囚われてしまいました。
次作は濡れ場があるそうなので、モーションが派手な4DXで観たいと考えています。

7月 とびだせ!ならせ! PUI PUI モルカー

「ならせ!モルカーボール」付き4D上映で観たんですけど、非常に感動しました。
モルカーボールというのは握りしめるとモルカーの鳴き声を模した音が鳴るラバーダックのようなファニーなおもちゃで、入り口で渡されるモルカーボールを手にした観客が、上映前からところかしこでPUI PUI鳴らし始めるのです。CMの展開や、映画泥棒に合わせてPUIPUI。いよいよスタートすると、輪をかけてPUIPUI大合唱。
感染症拡大予防の観点から常時マスクの着用を促され声を出したりできなくなった2021年、声を出さずにこれだけ盛り上がれるなんて、と驚いた。銀行強盗が逮捕された時、シロモちゃんがゾンビになったとき、アビーがヒーローになったとき。モルカーボールというアイテムに自身を投影するかのようにPUIPUI鳴らしてコミュニケーションできた喜び。最終話のモルカーパーティーで主人のOLさんが寝ている隙にパーティーをしていたモルカーたちが、OLさんがふと夜に目覚めた瞬間に声をひそめるときに、観客のモルカーボールが一斉に鳴り止んだあの瞬間。言葉を一言も交わしていない観客全員の心が通じ合ったことを確信し、胸が熱くなってしまった。
2021年の映画演出として最高なので、誰かそういう賞をあげてほしい。

9月 リョーマ! The Prince of Tennis 新生劇場版テニスの王子様

予想を裏切る良作でびっくりしました。わたしはテニプリの女なので(推しキャラは全くフォーカスされない橘さん)、おっかなびっくり2回(2バージョン同時上映するやばい仕様だったので)観に行き、感動に震えて心はテニプリのキャラソンをカラオケで歌っていたあの頃に戻りました。オールナイトで全曲テニプリ縛り余裕なんですよね。
わたしはテニプリや許斐剛先生がどのような作品を発表しているのか、ただそれだけを観るために映画館に行ったというのに、蓋を開けてみればテニプリと許斐剛先生だけにしか到達し得ない映画になっていたことに感動してしまいました。不適切な言葉かもしれないが、庵野秀明監督がシン・エヴァンゲリオンを作り、許斐剛先生がリョーマを作ったくらいのことは思うなど……。
主題歌の「たとえ世界を敵に回しても」は、どれだけ世間に笑われようともネタにされようとも、自分はテニスの王子様とそのファンのために制作し続けるんだという決意表明であり、その愛や信念の強さを越前リョーマに託しているんだなと思うと、胸に熱いものが込み上げてしまうのです。
テニプリっていいな。

せっかくなので冒頭3分の動画も見ていってください。
勘のいいオタクは分かると思うのですが、週刊連載時の最終回が本作の冒頭であり、最終回に唐突なポエムと共にJASRAC申請中の文字が本紙に印字されたあの場面です。そして、その曲から始まるんですよ。もう好きになっちゃうよね。

12月 マトリックス・レザレクションズ

「マトリックスでコレをやっちゃうの?」っていう賛否両論はあると思うんですが、わたしはマトリックスだからこそ、この強度のメタフィクションが完成できたと思うのと、純粋にネオとトリニティーがあらゆる運命を越える愛で結ばれるというベタなセカイ系的な帰結につい涙ぐんでしまったので、総じて嬉しかったです。
また、今回はメタファーへの没入がテーマである中でボリュメトリックな技術を使用しているところもよかったなと思いました。

さいごに

2021年は、エンタメをもっと体験しまくるぞ〜!というモチベーションで生きていたのですが「生きていることが最大のエンタメなのでは?」くらいに思うようになり、たぶん来年は普通に月に1、2回映画館に行くくらいのゆるふわ映画ファンになると思います。
もしかしたら、会社員であるというある種の抑圧や差し迫る業務スケジュールがわたしを映画館に引き寄せていたのかもしれない。フリーランスとなり無限の時間を得た結果、別に今この映画を観なくてもいいかとなってしまった自分にアイロニーを覚える2021年となりました。

以上、お読みいただきありがとうございます。
たまにTwitterで○○観たよ的なことをつぶやく思うので、ふらっと映画の話でもしましょう!

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