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かこちゃんの後悔


なかないで、毒きのこちゃん約2年ぶりの本公演『かこちゃんの後悔』は発表の通り、全公演中止となりました。
公演を楽しみにスケジュールを空けていただいていたお客様には、本当に心苦しい気持ちでいっぱいです。
今回体調を崩した出演者の不安や心配な気持ちが少しでもやわらぐよう、1日でも早く回復出来るよう心から祈っています。

今回の舞台について、自分のことだったり作品のことを少し長くなると思いますが書きたいと思います。

今回は何年か前から構想を温めていた題材があったのですが、扱う内容が自分が巻き込まれた事件と偶然リンクしてしまい、作品を見る方がその事件と関連付けて見ることになるのを避けるため、ゼロからの出発となり、脚本の執筆にとても苦しみました。
書けない日々が続き、どんどん自分が嫌いになり、自分を信じられなくなる中、その事件への対応も迫られ、本当に何もかも投げ出したくなるような夜が何度もありました。

それでも13人の俳優さんたちが最後まで自分を信じてくれて、スタッフさんたちが支えてくれて、劇団員が助けてくれたお陰で本当に面白いと思える作品を作ることが出来ました。
本当に全員に感謝です、本当にみんなのことが大好きです、ありがとうございます!ビッグラブ!!!

大好きな役・大好きなシーンが沢山あって、すごく馬鹿みたいな大掛かりな仕掛けも用意して、演劇だからこそ出来る演劇を、劇場だからこそ出来る体験を用意して、観に来てくれるお客様と一緒に舞台を完成させることを本当に楽しみにしていました。
『ここのシーン面白いよね』『この俳優さんたち最高だよね』『馬鹿だね毒きのこちゃん』と袖幕からお客様と一緒に眺めてへらへら笑う大好きでご褒美な時間を自分が誰よりも待ち望んでいました。
なので、今回それが叶わなかったことは残念で、悲しくて、悔しいです。

でも、苦しみながらも大好きな人たちと作品を創り上げていく日々は本当に幸せで、本当に楽しい時間でした。
稽古場で悩む自分をただただ励ましてくれるだけの時間があったり、大量発生した謎の虫をみんなで1時間かけて退治したり、持ち寄った衣装の組み合わせでああでもないこうでもないと悩んだり、何回も観ているはずのシーンで涙が出るまで笑ったり。

今回出演してる劇団員のガンツさんもしょーちゃんもよしおも当たり前に最高で(出演してない田村さんも森岡さんも吉田さんも最高なんです自分が俳優さんとして大好きな俳優さんしかいないのが毒きのこちゃんです!)、弘中さんも、浅見さんも、工藤さんも、中澤さんも、中山さんも、今川さんも、小嶋さんも、竹内くんも、みしゃむーそさんも、二宮さんも初めてましてだったり初めましてじゃなかったりもするけれど、とにかくみんなが大好きで、過ごせた期間はとっても幸せでした。
ほんとにみんな面白くて優しくて最高なのでこれからの活躍もぜひ応援してください!

今回の舞台は後悔のお話でした。
中学3年生のときに、学校から帰宅したら自宅の庭からアレックス(という名前のコーギーでした)が脱走して居なくなっていました。
散々探したのですが見つからず途方に暮れている中、夕方、佐川急便の人が段ボールに入って動かなくなったアレックスをうちに届けにきました。
なんでもっと早く帰らなかったんだろう、なんでもっと散歩をしてあげなかったんだろう、なんで轢かれる前に自分が助けてあげれなかったんだろう…と冷たくなったアレックスを撫でながら何度も後悔しました。そして今もずっと後悔しています。
そんな、未だに思い出してしまうアレックスへの後悔の気持ちと向き合って書こうと思ったのが今回の脚本でした。これを書き上げたら少しは後悔しなくなるのかな〜なんて思ったけど、そんなことはなさそうです。

今回も後悔は沢山あります。
でも今回の脚本の中でかこちゃんが、かこちゃんに(かこちゃんが過去のかこちゃんに出会う話でした!)『いいじゃない、後悔したり失敗しても!そりゃ多すぎるぐらい多いかもしれないけどさ、それで作られてるのが今のかこちゃんなんでしょ?お金もなくて友達も少なくて仕事もなくて彼氏もいない…でもそんな私と私は会えて嬉しかったし、そんな私も私は好きだな~って思えたよ』って言ってくれてます、なかなか良いこと言うね、かこちゃん。
後悔も沢山あるけどそれも含めて今の自分だものね、今の後悔だって未来では笑い話になってるかもしれないものね、笑い話に出来るように前を向いて頑張りたいものです、頑張ります。

最後に、ギリギリまで一緒に上演を目指し真摯に向き合ってくれたキャスト、スタッフ、劇団員、劇場さん、本当にありがとうございました。
そして公演を楽しみにしてくれていたお客様、本当にありがとうございました。

いつかまたどこかでこの作品が再演出来ますように。
それではまた、劇場でお会いしましょう。

鳥皮ささみ

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