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M-1グランプリ2019を2年ぶりに見返した感想 バチェラーで歯を食いしばるオタクの誕生 笹見

どうも、個人的な感想をただ書きたい人です。
現在は2021年ですが、突然2年前のM-1を見返したので感想を書きます。

注意書き
ここで言う「ハマらなかった」などの感想は、あくまでも自分の感想であり、各コンビのネタの出来に対してケチを付けている訳ではありません。ましてやネタ一つ一つを批評しようなどという意図も一切ありません。ただ感想を書くだけです。

読みづらかったら我慢して読んでください。

ファーストラウンド

1.ニューヨーク「ラブソング」
この年から準決勝はライブビューイングで全国の映画館で上映される様になったので観に行きました。なので、決勝ではおそらくラブソングをやるだろうと予想はついてました。そして、クジで1番最初に引かれたのはニューヨーク。トップバッター...歌ネタ...。2010年のカナリアだ...!それを思い出してしまい、順番が決まった時点で最下位かなと予想し、的中。
ネタ自体は、ありがちな歌ネタのフォーマットでありながら、中身は既視感を感じさせない内容で面白かったです。細かい所ですが、「冷静〜」の所で、「れ〜せ〜」ではなく「れいせい〜」ってちゃんと「い」をハッキリと発音してるのが好きです。
ただ、最初の「ラブソング」や「ソング」という単語を変にねっとり発音するというボケは理解出来ず、こちらはカナリアの二の舞になりそう(カナリアに失礼な話ですが)とヒヤヒヤしているところで初手このボケが来ている訳ですから、凄く困惑してしまいました。ですが歌パートに入ってからはちゃんと面白かったので、最後再びねっとり発音するオチも微笑んで観る事が出来ました。

2.かまいたち「UFJ」
正統派しゃべくり漫才ですね。ワードチョイスとか独特な言い回しとかに頼る訳でもなく、言い合いの内容だけで成立させているのって結構珍しい気がします。
凄く面白かったんですけど、前年と似たフォーマットでありながらここまで前年より点が跳ね上がるものなのかと意外には感じました。今回が高過ぎるというより前年もこれくらい評価して欲しかったな〜って思っているので。まあその年の他のネタや順番等によってある程度左右されるのは分かりますが。
にしてもニューヨークととんでもない点差が出ましたね...。

3.敗者復活 和牛「不動産」
人気投票だの言われていますが、何だかんだ毎年通過するのはちゃんとトップクラスにウケた組なんですよね。ちなみに自分が投票したのは天竺鼠、マヂカルラブリー、セルライトスパでした。
和牛は敗者復活戦と同じネタを決勝で披露。準決勝でやっていたネタ(なんかビリヤードとかやってるネタだった気がします。)よりは好きだったので、その選択は良かったんですけど、前年までの決勝ネタと比べると全然ハマりはしませんでした。
好みの話なんですけど、僕は「上手い漫才」ってのがあんまり好きじゃなくて、ネタに余裕が感じられるとちょっと冷めてしまうんです。だからある程度地位のあるベテランの漫才師のネタって基本好みじゃないんです。和牛はこの当時はまだ芸歴、結成年共に15年以下ではありますが、もう既に4回決勝に出てて(TheMANZAI含めると5年連続)、内3回2位を取っているのでもう相当貫禄が出ているんですよね。しかも今回は決勝が初の若手ばかり。余計上手さが悪い意味で目立って感じられてしまいました。
ネタに関してですが、前半視点役を務めていた川西さんが後半ではボケ出し、感情移入しづらいキャラだな〜と感じてしまいました。視点役が途中で狂い出す展開はお笑いに限らず好きではあるのですが、同時にこういった展開は視点役としての仕事を放棄してしまう為、行動に共感出来なくなるという危険性もある訳です。私は途中で突然川西さんに突き飛ばされてしまったのです。勿論、事故物件にイイネ!と喜ぶのは誰も住んでいない家を探していたが故の行動ですから、めちゃくちゃ突飛な行動をし出したという訳では無いので全く理解に及ばないということは無いのですが。
あとはもっと水田さんの憎たらしいキャラを観たかったなと思いました。
まあでも和牛ってそもそも他のファイナリストと比べて不利なんですよね。毎年決勝でネタを2本披露してしまっている為に過去の強ネタを使えない訳ですから。

4.すゑひろがりず「合コン」
着物を着た2人が扇子を掲げて鼓を打つ。そういった風景がこのM-1の舞台で、あのギラギラしたセットの上で繰り広げられているのが趣深いです。かまいたち、和牛と続いた中でのこの漫才でしたので、余計異形感がありました。
1番笑ったのは「誰そ」ですかね。序盤でガッチリ心を掴まされました。観ていて楽しい時間でした。

5.からし蓮根「教習所」
オーソドックスな正統派漫才はそんなに好みではないんですけど、からし蓮根は別で、最初から最後まで面白かったです。準決勝観た後、私の予想ではからし蓮根が優勝すると思っていました。三連単もからし蓮根、ぺこぱ、ミルクボーイという順番で登録しましたし。ツカミも強いしラストで轢く所も絶対に跳ねると思っていたので、予想を的中させる自信はあったのですが、思っていたよりツカミがハマっていない様に感じたので、それで全体的にフワフワしたウケになってしまったのかなと。ただ最後の部分はやっぱり大ウケでしたね。
採点後、上沼さんが突然荒ぶり出したのが面白かったです。和牛を貶し始めてどうしたんだろうと不安(フアン)になりましたが、からし蓮根の初々しさや優勝するぞという姿勢を評価していた事に関してはとても共感しました。折角結成年制限のある大会な訳ですから、やっぱりある程度コンビの勢いやスリリングさが欲しいんです。

6.見取り図「第一印象」
見取り図の2人にそこまでこう...特別個性を感じる見た目に見えないというか、それが逆にミソなのかもしれないですけど、この2人がお互いの見た目をイジるというネタにあんまり理解が出来ませんでした。
出だしで盛山さんが自身の第一印象は「不快の塊」だと仰っていましたが、誇張した表現とはいえ全然見た目に不快感を感じないんですよね。せいぜいガタイが良過ぎてちょっと怖いなって位で。直前の紹介Vで写ってた昔の盛山さんがそのままの見た目で現れたらあぁ不快の塊...って思うかもしれないですけど、今は2人とも小綺麗にみえます。なので、お互いの特徴を別の物で例え合う部分はイマイチピンと来ませんでした。

あとバチェラーって何〜?!名前くらいは聞いた事あったんですけど。翌年の2020年の時もそうだったんですけど、見取り図はM-1で良く固有名詞を使いますね。賞レースでいえば他のコンビのネタでJYパークとか小田和正のCDジャケットとかも使われてましたけど、こんな大舞台で前提知識を必要とするネタを披露するってのは中々勇気がいるんじゃないでしょうか?なんていうか、例えば今回のネタでリリーさんが両手を振り下ろしてベジータの戦闘シーンの真似するじゃないですか。あれなんていくらドラゴンボールとはいえニッチ過ぎると言うか、ニッチだからこそ伝われば凄いウケるんですけど、伝わらなければ当然笑わないし、なんなら元ネタを知らないという疎外感が生まれてマイナスな印象を受けてしまうというかなりハイリスクなボケだと思うんです。それをM-1の決勝でやります...!?すゑひろがりずの古文は教養の範疇ですので別ですけど、バチェラーとかベジータは雑学みたいなモノじゃないですか。
とはいえバチェラーとかJYパークはまだ流行り物だし伝わりやすいでしょうね。本来は。オタク以外には。
偏見の話しますね。お笑いオタク、いやサブカルオタク全般は基本的にプライドが高く、流行り物、特に芸能界に対するアンテナが人よりうんと弱いんです。なんなら流行り物を目の敵の様に扱うのがプライドの高いオタクっていうものなんです。偏見ですからね。
私はそんなクソ人間の1人です。私はプライドがほんともうすんごい高〜いサブカルキモオタクであるが故にバチェラーとかJYパークとか知らなかったんですよ(逆にプライドの高いオタクは世代よりちょっと前の文化の事とかについて妙に知識があったりするので小田和正のCDジャケットは当然に知ってた)。
つまり決勝当日、バチェラーの下りで笑う観客様の声を耳にして、ただギリリと歯を食いしばり画面を睨みつける他何も出来ないキモオタクが密かに誕生していたのです。全国各地にそんなオタクが絶対に居たハズです。
何が言いたいかってこれ以上ネタに流行り物を入れて仲間ハズレにするのは辞めてくれ!全国放送だぞ!イテオンクラスとかも知らないぞ!
あと最後に翌年のネタの話ですけど、ドンキーコングの下必殺技とモハメド・アリを両方知ってる人ってどれくらい居るんですかね。これを同大会でやってしまう見取り図は化け物そのものなんですよね。

7.ミルクボーイ「コーンフレーク」
久しぶりに見返した訳ですけども、こう改めて観てもお腹痛くなる程笑えました。パッケージ裏に描かれた妙にパラメーターの高い五角形を突いた下りでもう優勝しそうな兆しが見れます。
SNS等が普及した現在、何かを小馬鹿にしたお笑いって基本的には既出ネタになってしまうので、その中でエンタメに昇華する為には演出や演技で工夫が必要になってくると思っているのですが、このネタの場合、フォーマットや喋り方も当然面白いですが、刺す視点がそもそも他と被っていないんですよね。私はコーンフレークをこんなに刺してる人達見た事無いです。生産者の顔が見えないとかそんな所突いた人は流石に居ないですよ。パフェの傘増しとかは誰かが言ってるかもしれないですけど、「これ以上増やしたら俺は動くよ」と脅しを掛けている角刈りはここでしか観れません。
歴代最高得点の名に相応しいネタだったと思います。審査員一人一人の得点開示シーンも何度も見返してしまいます。

8.オズワルド「先輩への対応」
「1ターン会話聞き逃してる」とか印象的なフレーズが多くて面白かったです。1番好きな所は板前かどうかの見分け方として「昨日居たかどうか」と返した下りですね。
オズワルドはこのネタに限らず大体面白いと思うのですが、決勝行くのも納得!って程はハマってないんですよね。自分でも何が理由でハマりきって無いのかは分からないんですけど。雰囲気が苦手だとも感じませんし、同じローテンションの漫才師でもカベポスターとかは結構好きなんですけどね。
改めて見返してみると結構新たな発見があるもので、オズワルドの点数が出たあと突然伊藤さんが下を向いて眼鏡を外し出しました。伊藤さんの顔真似ギャグである「細稲垣」をこのタイミングでやろうとしていたんですよ。ですが、タイミング的にあっ違うなと気付いたのか、隣の畠中さんをチラッと見たあと画面が切り替わっている間に何事も無かったかのように眼鏡をかけ直していました。「細稲垣」自体は審査員の講評後に披露していたのですが、それまでの間に何時やるかという葛藤があったんだなと考えると何だか面白いです。

9.インディアンス「おっさん女子」
普段のネタの方が好きかな〜って感じでした。おっさん女子っていう設定に新鮮味を感じないというか、そもそも本来の女子にもこういうおっさんみないなノリが有るというか...無いけど。有るというか...無いけど。そもそも私自信女子じゃないんで知りませんけども...。同じ「おっさんシリーズ」でもおっさんみたいな赤ちゃんのネタの方が設定が突飛で好きですね。
凄い会場はウケてるんですけど点数には反映されていませんね。9位がここまでウケているのも珍しい気がします。現場ウケが凄いコンビだとは聞いていましたが。
田渕さんが序盤ネタを大幅に飛ばしたそうなのですが、改めて見返しても本当に飛ばしたの...?ってくらい自然に話を進めています。見取り図もそうでしたがこんな大舞台でも直ぐリカバリーが利くとは流石ファイナリストですね。

10.ぺこぱ「バスの運転手」
準決勝で観た時点で絶対決勝でもウケるし、審査員も高得点付けるタイプのネタだと思ったし、最終決戦通過は確実だと思ってました。実際3位でしたけど、なんなら序盤もっとウケても良いんじゃないかとすら思いました。
ツッコミの新しさがメインなんですけど、「知識は水だ...独占してはいけない...」というセリフもちゃんとキザなキャラを活かしているんですよね。新しいツッコミというのも、キザなキャラやわんぱくそうな2人の雰囲気が漫才をポップにしているからより受け入れ易くなっていると思います。
松陰寺さんがツッコんでいる時のシュウペイさんが、口をフワッと開けながら斜め上を見てにこやかにしているのが怖いですね良い意味で。
ぺこぱを初めて観たのは前年の準々決勝の動画だったのですが、その時はただのキャラ芸人の1人だって認識でそこまで印象には残って無ませんでした。ですが、年始のおもしろ荘優勝を皮切りに、1年でここまで印象が変わるものなんだなと本当に驚きました。
この年のM-1が例年と比べて特に評判が良いのは、かまいたち、ミルクボーイ、ぺこぱと、序盤中盤終盤で大会を盛り上げてくれたコンビが居たからでしょうね。
おもしろ荘で優勝したとはいえ当時無名だったぺこぱが、この大会のあとめちゃくちゃ売れて、翌年の敗者復活戦で人気票が集まるという理由で厄介者扱いされていたのが印象的でした。実際その敗者復活戦ではぺこぱはそんなにウケていないネタを披露していながら上位3位に食い込むという状態になっていた訳ですが。やっぱり敗者復活戦のルールは変えて欲しいですね...。ミキとかはプラスマイナスを破って通過した結果叩かれてましたし。

あ!あとぺこぱのネタって「誰も傷つけない笑い」とか言われていますが、ぺこぱの醍醐味ってもっと純粋にツッコまない、ボケを受け入れるツッコミというユニークさが面白いのであって、誰も傷つけていないから面白いって訳では無いと思います。というか「誰も傷つけない」エンタメなんてそもそも無いと思うんですよ。70億人居て、その人達全員に配慮した物が面白いと思います?それで文化が広がり、発展していくと思います?ただの呪縛にしかならない肩書きをM-1ファイナリストにぶつけるのって芸人にとって侮辱行為だと思うんです。え?てことはつまり...「誰も傷つけない笑い」という言葉で芸人を傷つけているという怪現象が起こってしまっている...!?ウワーッ理解不能!
飛躍し過ぎましたかね?

最終決戦

1.ぺこぱ「席を譲る」
1本目程では無いですが面白かったですし、優勝のポテンシャルはあったと思います。

2.かまいたち「トトロ」
唯一準決勝でやっていたネタを温存していたコンビですね。決勝でも観れて良かったです。準決勝でこのネタを観た時は、前年のポイントカードと比べてしまい、あれで5位だったのにこのネタで優勝出来るか...?と不安に感じ、なんなら準決勝敗退するのではとすら考えていました。ですが、いざ決勝が始まってみると全くの杞憂でしたね。もしトトロを1本目にやっていたらどんな結果になっていたか分かりませんが、このネタもミルクボーイから1票取っていると考えると、かまいたちが相当な評価を受けていたという事実は変わらないでしょうね。

3.ミルクボーイ「最中」
多少1本目には劣るかなと思いましたし、家系図の下りとかちょっとややこしく感じてしまいました。観客にも家系図の下りは時間かけた割にはそこまでウケてはいませんし。ただあくまでも1本目と比べての話であって、優勝には相応しい相当面白いネタでした。「最中の双子」の所が特に好きです。

こんなにドカンとウケたコンビが居るのに票が分かれそうと思えるのがこの最終決戦の凄さです。
最終審査中に3組が横並びで立っているのを見て気付いたのですが、ぺこぱって意外とデカいんですね。シュウペイさんが身長180cmだそうで。2人ともガタイパンパンなミルクボーイが3組並ぶとミニマムなのが何か面白いです。

予選からミルクボーイが異様に騒がれていましたが、そういった期待を越えてくるネタを観れました。そういえば準決勝経験の無いコンビが優勝するのって珍しいですね。過去大会にも居たのでしょうか?

よし、なんか...もう満足してきたので、この辺で...
個人的に好みだったネタの順番書きますね。

ミルクボーイ
ぺこぱ
からし蓮根
  ミルクボーイ2
かまいたち
  かまいたち2
  ぺこぱ2
すゑひろがりず
ニューヨーク
オズワルド
見取り図
和牛
インディアンス

2本目が皆面白かったのが良かったですね。

書く前は数年前の決勝の感想なんて誰が読むの...?なんて思ってましたが、よくよく考えたら自分が読むんですよね。自分の感想読むの楽しいです。
という訳で2018、2017辺りも書こうかな。

笹見

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